第9話◎ダッドウィンダー軍
ミッケンと名乗る男が
夏木達の傍に
やってきた。
ミッケン
「ふっ…お前らか?俺達の邪魔をし始めているという若者は。お頭も変わったお人だ。こんなガキ共を始末しろだなんて」
ミッケンは嘲笑うかのようにこちらをジッと見て、大きな図体で夏木達に影を作っている。
ダッドウィンダー軍の幹部。
幹部までがやって来るとは
相当夏木達を警戒
しているのだということが
三人にはすぐに理解できた。
ミッケン
「我々の快適な暮らし。お前達のようなちっぽけな存在。どう考えても我々の快適な暮らしが断トツで大事だ。ふははは」
高らかに笑い
夏木達を挑発する
アース
「この…っ」
アースがミッケンに
飛びかかろうとしたその時、
ブラッドは
冷静にアースを止め
ミッケンの前に立った。
ミッケン
「ほぉ…威勢がいいな。俺様とやるってか?」
ブラッド
「そんなつもりは毛頭ない。無駄な争いはやめないか。俺達はまだお前らに害を与えることはしていないはずだ。」
ミッケン
「これから可能性があると、お頭がおっしゃっているのだぁ!たとえ1%でもその可能性がある者は、容赦なく始末をする掟なのだ」
夏木
「ミッケン…あなた達は自分の野望のためなら、たとえ幼い子供でも命を奪っていくの?」
ミッケン
「ふっ、当たり前のことを聞くんだねお嬢ちゃん。」
夏木
「うまくいく訳ないわ。私はあなた達の計画が失敗するほうに賭ける」
夏木は強く言い放ち、
ミッケンを黙らせた。
ミッケン
「……っっ。黙れ黙れ黙れーーー!!」
ミッケンは暴れ出し
闇魔法を使い始めた。
ミッケン
「ブラックホール!!」
ミッケンは
手から黒い渦のようなものを
出現させ、次々と島の住人達を渦の中に巻き込んでいった。
ミッケンは
ダッドウィンダー軍の幹部。
そう簡単に
倒せる相手ではない。。
ミッケンは呪文を唱え、
夏木達に攻撃をしかけた
ミッケン
「闇に葬る魂よ。我に力を!」
その瞬間、崖が崩れ
波は高くなり
岩が飛び散って、砂が舞い
数々の自然が夏木達を
襲ってくる
夏木
「あぁぁああぁ!」
ブラッド
「…くっ」
アース
「…っ!痛い」
三人は一歩も動けなかった。
砂が舞っているせいで目が開けられず、視界を奪われ…
風と波が強くなっているせいで足が動かず、足の自由を奪われ、前へ進めない。
ミッケン
「さぁ…誰から殺してやろうか!?そこの女から血祭りにあげてやろう」
夏木
「!?」
ミッケンは槍を取り出し
魔力を込め始めた。
すると、銀色の槍はやがて黒に変わり、独特な雰囲気をかもしだした。
ミッケン
「この槍でその女の細い体を貫いてやるわ」
ミッケンは槍を握り
力任せに夏木の方へと投げた
時速200キロはあるだろう
尋常じゃない程のスピードで夏木の方へと向かってくる。
夏木は瞬時に避けたが、避けきれずに顔に傷がついてしまった。頬にツーっと生ぬるい血が流れ始める。
夏木は恐怖に襲われ、ガクガクと足を震わせてまるで金縛りにあったように、動けなかったのである。
ブラッド
「夏木!冷静になるんだっ。落ち着け!」
ブラッドは必死に叫ぶが
夏木の耳には届かない。
ミッケンはすかさず
もう一本の槍を持って
魔力を込め始めていた。
夏木は避けきれない。
ブラッドは砂や風に邪魔され、助けに行くことができない
ミッケン
「今度こそ息の根を止めてやる」
ギラッと目を光らせ
再び槍を飛ばす体勢に入る
すると…
??
「ファイアーバーン!!」
聞きなれた声。炎魔種の呪文。アースだった。
アースが呪文を唱え、
手を地につく。
アースの手から炎が生まれ…ミッケンの体を全て包んだ。
ミッケン
「うくっ…っ…。」
ファイアーバーンは
その場を動かなくとも
相手を攻撃できる呪文の一つ
それをアースは
既に習得していたのだ
ミッケン
「わたしは…わたしは負けんっ…。お前らのようなガキ共には…うぉぉぉぉぉ」
ミッケンはうなり声を上げ
闇魔法の一つ
「ダークテレパス」で
瞬間移動をして一時退散した
風はやみ、波も静かになり
また平和な命の島に戻った。
ブラッド
「夏木!大丈夫か?顔に傷がついている…。」
夏木
「ブラッド…大丈夫だよこれぐらい。」
ブラッド
「バカ!お前は女の子だぞ。顔に傷などついてしまったら大変だ。今治してやるからな」
ブラッドは風魔種の癒し魔法で顔の傷を治してくれた。
ブラッド
「…大丈夫か?」
夏木
「う…うん。あの…ブラッド…手離して…。」
夏木の顔を触る、ブラッドの手を少し照れくさそうにポンポンと叩いた。
ブラッド
「ん?あっ…悪いっ」
少し頬を赤らめ
ブラッドは手を離した。
夏木
「う…ううんっ。あっアース!」
アース
「ん?」
夏木
「さっき…守ってくれてありがとう!」
すると…アースは照れたのか頬を赤らめ…
アース
「べ…別に!オイラは仲間だから助けただけだ!オイラがいて良かったな。いなかったらお前達死んでたかもよ」
少しにやけながらアースは胸を張り、そう言い放った。
ブラッドはソッと
夏木の頭を撫で
切なそうな顔を見せた
ブラッド
「…いつも…守ってやれなくてごめんな」
いつもより低い声。
夏木は先へ進もうとするブラッドの手を掴み…
夏木
「ブラッド…。助けるだけが仲間じゃないと思う…。時には助け、時には助けられ…救い合うのが仲間だと私は思う…。例え守ることができなくても…今こうして私達が生きている奇跡に感謝してもいいんじゃないかな」
夏木は弱々しく笑い、
ブラッドの手を
より強く握った。
アース
「オイラさ…正直言ってブラッドは苦手だった。言うこと冷たいし、なんかそっけないし暗いし…だけど今は…、ブラッドが好きだよ。なんで?って聞かれたら息詰まるけど、やっぱり仲間だから!」
ブラッド
「アース…。夏木…。サンキューな二人とも。俺にとってもお前らは最高の仲間だよ」
ブラッドは微笑み
二人の髪をグシャグシャにした
ダッドウィンダー軍…。
これからも夏木達が
前へ進む限りは必ず
現れるだろう。
どんな罠を仕掛けてくるか
どんな敵を送ってくるか
それは誰にも想像ができない
奴等の好きにさせていれば…
この世界は崩壊してしまう。
未知の世界も…
夏木の世界も。。。
ソフィ
「お前ら無事じゃったのか!?」
ソフィが家から
駆けつけてくれた。
ソフィ
「ダッドウィンダー軍の幹部がこの島に上陸したと聞いて駆けつけたのじゃが遅かったみたいじゃの」
ソフィはふっと笑い、
単純に三人の無事を喜んだ
アース
「なぁソフィ婆さん!俺の腕はどれくらいで完治するんだ?」
ソフィ
「3日もすれば、傷跡さえも消えるさ。安心しなはれ」
三人は幻の薬屋の
老人の家への方向を
ソフィに教えてもらった。
この命の島からは
北の方向へ向かえとのこと。
ブラッドの作った船をこぎ
北の方向を目指す。
しかし…霧が深く、前後左右が真っ白になり方向がわからなくなってしまった。
夏木
「どうしよう…。どっちに行けば…。」
しばらく船は
波に流されるままで
動いていった
アース
「なんか何も見えないし、肌寒いね。」
アースは少し震え、夏木の傍に寄ってきた。三人は、みんな半袖の薄着の格好のため体力も奪われる。
アース
「なんだか眠くなってきた…」
ブラッド
「寝るなよアース。こんな冷えたところで寝たらどうなるかわからない」
ブラッドはとりあえず
船をこぎ、前へ進んだ。
すると、そこに小さな洞窟を見つけ…。洞窟に誘われるように船はそちらに向かった。
洞窟は薄暗いが所どころに電気がついている。昔、この洞窟で誰かが住んでいたのだろうか…
使いかけの食器。
薄汚れた本など
誰かが使った跡がたくさん残っていた。
夏木
「…ん?いやぁぁああぁ!」
夏木が突然叫びだす。
それもそのはず
夏木の視線の先には
いくつもの骨が転がっていた
ここもダッドウィンダー軍の基地の一部なんだろうか…。
どうも。
カラオケで喉を潰した
紫苑ですw
V系やらアニソンやらせめるとすぐに喉が潰れますね←
さぁ第10話は
9月19日に
更新する予定です。
良ければ読んで頂けたら
幸せすぎて溶けますw