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第22話◎母親として


アース

「シュルレアが…お母さんを呼んでいるみたい。」



夏木

「お母さんに会いたくて仕方がないんだよ。まだこんなに小さいんだもの」



ブラッド

「人間でいえばまだ2、3歳ぐらいじゃないか?ほら、手足がこんなにも小さいし…柔らかい」



そう言うとブラッドはシュルレアの足を夏木に向けた。


夏木はその足に優しく触れた。


夏木

「ホント…ちぃさい…。可愛い」



シュルレアは足を触られてくすぐったいのか、短い足をパタパタ動かしている。



その振動でシュルレアのつけている黄色い首輪がチャラチャラと音をたてている。



アース

「こいつの母ちゃんも…こいつを探してんのかな?」



ブラッド

「きっとそうだろうな。だとしたら遭遇するのにそんなに時間は、かからないであろう」



夏木が木と木の間を通り歩き、その後ろをアースとブラッドは歩き、ついていく。


シュルレアもお母さんを甘えた声で呼び続けている。



しばらく歩くと、シュルレアの鳴き声に答える鳴き声が微かに聞こえた。




   クォーン クォーン




夏木

「!?」



アース

「今…何か聞こえた?」



ブラッド

「あぁ…シュルレアの親…か?」



遠くから微かに聞こえるシュルレアの鳴き声に対して答えている鳴き声。


高く、とても響き渡る声だった。思わず聞き惚れてしまうほど…



シュルレアはブラッドの腕の中で、鳴き声の聞こえる方向へ向き、寂しさと甘えの入り交じった鳴き声を出している。



ブラッド

「どうやらこいつの母さんらしいな。こんなにも反応を示している。」




   クォーン クォーン




再び聞こえた。

微かだが、その鳴き声が徐々に近付いてきているような気がした。


母親もシュルレアの鳴き声に反応してこちらに向かってきているのか…?



シュルレア

「キューンキューン!」



しばらく鳴き声の連鎖が続いた。



そしてうっすらと霧が出てきた時、暗闇から黒い影が現れた。


シュルレアの母親と思われる魔物が姿を現した。


高さは普通の人間ぐらいあろう…シュルレアの数倍ほどの大きさの魔物であった。



首にはシュルレアと同じ

黄色い首輪がついていた。



アース

「あ!あれ…黄色い首輪がついてる。シュルレアの母親に間違いないよ!」



ブラッド

「やはり子供を探していたということか」



二人はゆっくり母親に子供を連れていこうとした。



夏木

「…待って」



夏木がふと…二人を止めた。



アース

「なんで止めるんだよ夏木!早くシュルレアを母親の元へ返さないと…………」



アースは夏木の前に立ち、地団駄を踏みながら訴えた。


しかし夏木は冷静に汗を流しながらアースの顔を見て言った。


夏木

「…母親の目を見てみなさい。」



夏木はそう言って、シュルレアの母親を指差した。


アースはゆっくり振り向き、母親の顔を見た。



すると……シュルレアの母親は、子供との再会を喜ぶような顔をしておらず、鋭い目付きでこちらを睨んでいた。



アース

「えっ…なんであいつあんな怒ってんの!?」



ブラッド

「恐らく…俺達がシュルレアをさらって怪我をさせたんだと…そう認識してしまったのだろう。頭に血がのぼっている母親を説得するのは難しいな」



そう…シュルレアの母親は、夏木達を敵として認識してしまい、警戒や威嚇、恨みや憎しみなどの感情をさらけ出しているのだ。



夏木

「シュルレアのお母さんに攻撃を仕掛けてはダメ。シュルレアが悲しむから…。でもどうすれば……………。」




夏木は少し考え、ふと思い付いた。


過去に、アースと初めて出会った時に使った「キャンドリア」という魔法。


あの魔法は暴走する心を静め、落ち着かせることができる癒し系魔法だ。


アースもその魔法で、人としての心を取り戻し、自分の村のことも自ら自身のこともたくさん話してくれた。…この呪文なら…。



夏木は手に気を集中し、呪文を唱え始めた。



夏木

「暴走心、怒り、苦しみ、悲しみ…良き心を操りし悪き胸に光を!キャンドリア」



七色の光が母親の大きな体を包む。母親の両腕が下に降り、心が静まった…と誰もが一瞬感じた。




…だが



母親の怒りはおさまらず、再びうめり声をあげて暴走し始めた。



夏木

「え!?どうして…」



ブラッド

「だめだ!こんな森の中では癒し系魔法は魔力が吸収されてほとんど効かないんだ!!」



アース

「癒し系魔法が効かないなら…どうしようもないじゃねぇか!」



三人はシュルレアを抱いて、半歩後ろへ下がった。


母親はこちらへ向かってきて、目を光らし、口から氷柱を吐き出して夏木達に向かって飛ばし始めた。



シュルレアの母親は氷魔種。

主に体の中で作って、口から吐き出す事が多い。



無数の氷柱が三人に向かって飛んでくる。



夏木

「きゃあぁぁ!」


夏木の腕に微かにかすり、ツーッと生暖かい血が流れた。



アース

「夏木ぃ!うわっ」


アースも必死で氷柱を避ける。身が軽いため、多少の余裕はあったが、避けるので精一杯だった。


ブラッドは剣で氷柱を真っ二つにしながら身を守っていた。


不思議と…どの氷柱もシュルレアには当たることはなかった。これも母親の愛情か…?



夏木も右腕を押さえながら、必死に氷柱を避ける。だが夏木にはまだスピードはない。


何度も…何度も避け損ね…

腕、足、顔、首などにかすって、夏木はボロボロになっていた。



夏木

「ハァ……ハァ……」


夏木は息を荒らして、意識が朦朧としながらもなんとか立っていた。



アース

「夏木ぃ!くそっ…」



魔力を使い、疲労が出始めたのか、母親は攻撃を止め、舌を出して大きな氷柱を作り出した。



ブラッド

「あいつは…何をする気だ。」


ブラッドとアースは、地に突き刺さった氷柱に囲まれて身動きができない。




夏木

「ハァ……ハァ……目…目がかすむ…」


夏木は今にも倒れそうな表情をしてフラフラと佇んでいる。


母親は通常の3倍ほどの氷柱を作り出し、夏木へ飛ばした。



夏木

「…!?」




ブラッド

「夏木!避けろぉぉ!!」



アース

「夏木ぃぃぃ!!」






こんばんわぁ。

今日は学校休みました。

おかげで就職試験の結果聞けなかったorz


布団の中でひたすらモゾモゾしている紫苑です∀`笑



1日1話更新続いてます



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