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第2話◎隠れた力

書けるときに少しずつ更新していきます。誤字、脱字がございましたらご指摘ください

目の前には荒野が広がり…

辺りには

草一本生えていません。

この景色が

これからの旅の厳しさを

夏木に物語ります。


ふと…ブラッドが

夏木に話しかけて

赤い花の事を

話し始めました。


赤い花の名は「シャーネル」

本当に悩みを持つ者の前に

現れるという幻の花。


夏木のような人間が

たくさん存在する

「地球」という広い世界


見たことのない

現実では考えられない

生物、気候、言葉などが

存在する「未知の世界」


この二つの世界を

赤い花「シャーネル」が

数億年前からずっと

繋いでいるらしいのです。


シャーネルには

水も太陽の光も空気も

何も必要ありません。


"悩み"をもつ

それだけがシャーネルを

呼び覚ます唯一の方法です


未知の世界に存在する限りは

例え夏木のような

普通の人間でも

ある程度の力は備えなければ

生き抜く事は不可能だと

ブラッドは真剣な眼差しで

ジッと夏木を見て言いました


夏木のような普通の人間でも

魔法や呪文などが

この世界では

使用することが

できるらしいのです


しかし、そのためには

通常、数年以上の

修行を得てようやく

習得が可能なのですが


はたして夏木に魔法は

使いこなせるのでしょうか


まずは基本的な魔法

「カッターゼーン」


ぶつり技の1つ。

無数の七色の光が

敵を攻撃します。


早速カッターゼーンと

唱える夏木だが

夏木は普通の人間。

修行も経験も

積み重ねてはいないため

もちろん光の一つも出ません


しかし夏木の中にも

必ず隠れた力が存在します

未知の世界に

存在する限りは…ー


ブラッドは手本を

夏木に見せました。


低いトーンの声で

カッターゼーンと唱え

七色の光を集め始めます。

夏木はそれに感動し

自分も習得せねばと

何回も何回も挑戦しました


しかし…

やはり夏木にはまだ早く

基本的な魔法さえも

使えなかったのです。


落ち込む夏木に

ブラッドは優しい声で

話しかけます。


ブラッド

「初めから上手くいく人など

 この世に存在しない。

 必ず努力は報われる。

 諦めずに前に進もう」


ブラッドの言葉には

説得力があり、

夏木の心に響きました。


夏木

「ありがとうブラッド。」


そう微笑み

焦る必要はないんだと

ゆっくりゆっくり

前へ進みました。



しばらく二人は歩み…

やがて荒野は抜けて

草むらに入りました。


草に遮られ前へ進みにくく

なってしまいました。


ブラッド

「少し遠回りになるが

 違う道を選ぶか?」


ブラッドは

夏木に問いかけます

夏木はうなずき

二人は

元の道に戻ろうとしたその時


草むらからコウモリのような

甲高い声が響きました


  キィーー!キィーー!


夏木はびっくりして

思わず両耳を塞ぎ

周りを見渡しました


すると草むらから

小さな魔物が現れたのです


名前:チャイブ

体長0.8m

真っ黒な体で紫の羽の持ち主


キィーー!キィーー!と

高い声で

夏木に威嚇しています。

どうやらこの付近は

チャイブの住処らしい。


チャイブは

牙に毒を持つ危険な魔物。

噛まれたりなど

されてしまえば命はない。


夏木は酷く怯え足がすくんで

動けませんでした。

魔物だなんて

初めて目にする生き物…

夏木には

恐怖でしかないのです。


ブラッドは夏木の前に立ち

夏木を守ろうとします。

その瞬間、チャイブは目にも止まらぬ速さでこちらに向かいブラッドの腕に噛みつきました。

夏木

「ブラッド!?」


膝を地につける

ブラッドの傍に駆け寄り

夏木は涙を流します。

恐怖と…

仲間が傷付く悲しみで…


ブラッドは苦しい表情で

必死に自らの腕を

力いっぱい握っています。

そうしなければ一瞬で

毒が体に回り、命を落とす

危険があるからです。

夏木

「ブラッド…」


夏木は手を震わせ

ブラッドの腕にソッと触れ

チャイブの方をジロッと

睨みました


その殺意に包まれた目で

睨まれたためか、

チャイブは怯えて

逃亡しました


夏木は一安心したが

ブラッドが大変です。

もう毒は右腕全体に

回っています。

夏木はどうすればいいのかがわからず、ただオロオロするばかり。涙が止まりません


目の前で

仲間が苦しんでいるのに

何も出来ないもどかしさに

襲われます。


ブラッドは自分を守って負傷した。ならば次は自分がブラッドを救うべきなのではないだろうか。


  “仲間を助けたい”


夏木は心から願い

自らの胸に手を当てます。


すると…


夏木の手から

真っ白な光が出現し

ブラッドの体を

温かく包み込みます


夏木は驚き

真っ白に輝くブラッドを

ただただ見つめていました


しだいに光は無くなり

ブラッドも再び姿を現します


夏木

「ぶ…ブラッド」


恐る恐るブラッドに近付くと

ブラッドは静かに目を開き

夏木をジッと見つめ

いつもの低い声で

ソッと微笑み……


ブラッド

「魔法…使えたじゃん!」


夏木はびっくりして

ブラッドの腕を確認すると

チャイブの毒で

黒色に染まっていた

ブラッドの腕が

元の肌色に戻っていたのです


夏木が使った魔法は

「ベール」という回復呪文


猛毒をも抹消するという

非常に効果の高い

回復呪文なのです。


仲間を救いたいという

強い想いが、きっと魔力を

呼び起こしたのでしょう。


夏木にも魔法が使え、

自然に自信と希望が

見えてきました。


ブラッド

「…助けるはずが

 逆に助けてもらって

 ありがとうな」


ブラッドはそう言って、夏木の髪がグシャグシャになるまで撫でました。


夏木は仲間を

救うことができた喜びと

敵を倒した快感で

すがすがしい表情を

ブラッドに見せました。


まだまだ道のりは長いが、夏木は胸をはって、ブラッドと共に再び未知の世界に歩み出すのでした。



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