第15話◎死と戦い
ランカの死は
あまりにも辛い現実で
夏木達はすぐには
受け入れる事が出来なかった
ブラッドもさすがに冷静な心を失い、砂を手に掴み地面に投げつけている。
"体は消滅してもランカは…"
と言葉を残し、夏木の腕から
姿を消したランカ。
夏木
「もう一度……もう一度ランカ…あなたの笑顔を見たいよ」
夏木は涙を溢し、膝と手を地についた。
すると…襟元でブローチが光り、夏木の顔を照らす。
驚いてブローチを手にすると
そこでは………
ランカが笑っていた。
ランカがアースの上に飛び乗り笑っている。
ランカが……夏木の手を握り
幸せそうに微笑んでいる
このブローチは過去の出来事も映すことができるのか・・・
ランカが夏木に向かって
笑っている。。すると…
ブローチの中から
聞き覚えのある声が聞こえた
"ランカは大丈夫だよ。ずっとずっと…見守ってるから。みんな大好きだから"
ランカの声だった。
もしかすると…今ブローチに映し出されている過去は…ランカが映し出しているのか。
夏木はブローチを強く握りしめ…ランカの名を叫ぶ。
……………………
ようやく落ち着きを取り戻し、ブラッドも冷静さを取り戻した。
ブラッド
「さぁ…ランカの為にも…前へ進もう。」
夏木
「うん…。」
アースも黙って
二人についていった。
多少だが…責任を感じていたのかもしれない。
自分のせいでランカが死んだ。自分のせいで…二人が辛い思いをしているんだ…と。
アースは自分を憎み…
頭の中で自分を責め続けた。
アース
「オイラがもっと周りに気をつけていれば砂地獄になんか吸い込まれなかった。オイラが死んじゃえば良かったんだ」
アースは叫んだ。
すると夏木はツカツカと
アースに近付き頬をぶつ
夏木
「何言ってんの!?本当は誰も犠牲になんかなったらいけないの。でもランカは自分からアースの変わりに天へ旅立ったわ。ランカは後悔していないと言った。でもアースがそんなんだったら…ランカは一生、空の上で後悔することになる」
夏木は涙を浮かべながら
アースを殴った右手を
強く握りしめている。
アース
「ご…ごめん。そうだよな。ランカが救ってくれたこの命を大切にして…前向きに生きてかなきゃならないんだよな!」
アースは目が覚めたのか、
再び真っ赤な瞳を輝かせ…
真っ直ぐに立ち上がった。
そして…また三人は
深い悲しみを背負い
少しずつだが足を動かした。
必ず目的を達成し、
究極の薬を手にして
元の世界へ戻るまでは、決して諦めることも逃げ出すことも許されない。ここまで来たのならば最後まで前へ進むしかない。
今は荒野を
抜けることが大事だ。
いつまたアダムスが
飛び出してくるかわからない
砂嵐だって
起こる可能性がある
三人はなるべく急いだ。
走ることが出来るところでは
なるべく走った。
日が沈む。思ったより
水や食料の消費が激しく、
休む暇もなかったため
休息をとる間もなく
三人は歩き続けた。
どれほど歩いたのだろうか…
また太陽が暗闇を照らし始めた。
夏木
「朝…私達どれくらい歩いているんだろう…。」
アース
「オイラ…もう足がガクガクだよ…」
ブラッド
「しっかりしろ!あともう少しで街が見えるはずだ」
ブラッドは
二人を支えながら歩いた。
それから数時間歩き…
ようやく景色が変わり始めた
奥に何かが現れた
街だ。それも大きい街だ。
ブラッドはついに夏木を背負い、アースを抱き締めて走り始めた。
数分走り、ようやく
街に着いたらしい。
夏木とアースはその場で
座り込み、足をほぐした
ブラッド
「ふぅ…よく頑張ったなお前達。ここで食料と水を買わないとな」
ブラッドも岩に座り込み、
休憩をした
???
「おーやおやおや?奇遇だねぇお前達。」
何者かの声がした。
ブラッドは立ち上がり
声のした方向を見る。
すると…あのランカと
出会った洞窟で見つけた
一枚の紙切れに記されていた
"血潮ワッペン"を
胸につけていた
ブラッド
「お前は…ダッドウィンダー軍か!?」
???
「ははは。鋭いではないか。まさかこのワッペンの事までも知っているとはね」
その男は身長は低いが
悪意に満ちたその目で
三人を睨んでいた。
???
「オレはウォッカだ。お前達からノコノコとこの街にやってくるとは思わなかったよ。もうこの街はダッドウィンダー軍のお頭のものだ!」
ウォッカは叫び
夏木達に出会ったからには
殺さねばならぬと語った。
アース
「オイラ達はまだ死ぬわけにはいかないんだ!頼むよ、水と食料を分けてくれ!そうしたらすぐにここから出ていくからよ」
ウォッカ
「あぁん?聞こえないねぇ。どうせお前らは死ぬんだから水と食料の無駄だよ。ウヒャヒャ」
ウォッカは
一人で三人を相手してやると
言ってきた。
ただでさえ三人は
旅の疲れでヘトヘトだ。
この状態で戦って
勝つのは不可能に近い。
だがやるしかなかった。
今はウォッカしか
この街にいないようだ。
別の仲間が来る前に倒して
食料を持ってこの街から
出ようと夏木達は考え、
残っている力を振り絞った。
夏木
「相手をするわ。その代わり私達が勝ったらおとなしくこの街から出ていって街人をここに戻しなさい。」
ウォッカ
「ふふふ…威勢のいいお嬢さんだ。いいだろう、約束してやる。ここの街人は全て牢屋に閉じ込めてある。お前らが勝てば牢屋の鍵は渡してやろう。」
ウォッカも
闇魔種の使い手だった。
三人はそれぞれの魔種で
戦いを挑んだ。
ウォッカ
「ふっ、話は大体聞いている。ブラッドは風魔法、アースは炎魔法、夏木は光魔法だろう。お前達のことはお頭がよく知っている」
ウォッカは
口を大きく開き、笑いたてて
夏木達に余裕を見せた。
闇魔法は種類は少ないが
一つ一つの威力が強いため
使い方によっては、魔力が
暴走してしまうこともある。
ウォッカは
魔法を唱えるための
円陣を空中に描き始めた。
ブラッド
「あれは…死盧鬼苦露饐!?」
死盧鬼苦露饐とは…
魔法を唱えるための
闇魔法の円陣の名称。
これを使って魔法を使うと
通常より魔力が5倍も
上がるという…
ブラッドが呼び出す風を
お互い受け…
戦いが始まった
さぁ再びダッドウィンダー軍の下部が現れましたね。
更新が不定期になるとか言いながら
ちゃっかり
1日1話更新続いてますw