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第14話◎仲間のために



時々大地が揺れている

グラグラと…そう、まるで

地震でも起きているかのように。



ランカ

「ランカ…ここきらい」


ランカは揺れが怖いのか

夏木にギュッとしがみついている。



アース

「うわあぁぁああぁ!!」



アースが突然叫び出した。

砂地獄だ。

砂に足を吸い込まれて、砂の渦に巻き込まれそうになっていた


砂の底では魔物が

こちらをギラッと睨み、アースを引きずり込もうとしている。


名:アダムス

魔種:地

説:砂の中に生息。生き物ならなんでも食べてしまう。砂地獄に巻き込まれた生物を片っ端から平らげる。



アダムス

「キイィィィ」


不気味な鳴き声で叫ぶ。

まるでアースに対して

こちらに来いと誘っているようだった。



だが行くわけにはいかない。

砂地獄に巻き込まれては

ひとたまりもないではないか


アース

「うわぁぁ!ハァハァ」


なかなか這い上がることは

出来なかった。



ブラッドも夏木も必死で

アースを引き上げようとする。

だがアダムスは威嚇して

砂地獄の威力が増した。

砂地獄が勢いよく動き出し

アースの体を吸い込んでいく


ブラッド

「アース!絶対に手を離すな!」


夏木

「くっ…絶対に助けるから!」


2人は必死だった。

大切な仲間を助けるために…


それをただ見ていたランカが

ついに動き出した。



ランカ

「うふふ…仲間仲間」


ランカは口が裂けるほど笑い、両腕を上に上げ

何やら呪文を唱え始めた



ランカ

「生命ノ危機ヲ光へ願イテ良キ仲間ヲオ救イクダサイ。梛浮駝離守(ナフタリス)


ランカの体が光り、

その光がアダムスを攻撃した


アダムスは苦しそうにもがき

甲高い声で泣き叫び

砂の中へと潜っていった。


すると…

砂地獄はピタリとおさまり、

また静かな荒野に戻った。



アース

「た…助かった…。オイラ助かったんだ!怖かったよー」


アースは泣きながら

ブラッドと夏木に飛び付く。


夏木

「良かった…アースが無事で…。」


ブラッド

「ランカが助けてくれたおかげだ。だがあの呪文は確か…」


そして三人は

ランカの方を揃って見た。

その時…三人は

強く衝撃を受けてしまった。



ランカは…

見違えた姿になっていたのだ


夏木の買った

白い綺麗なワンピースが

焼き焦げ、破れて

真っ黒になっており


あの綺麗な髪も

ボサボサになり、

ランカの怪しい笑いもなくなり、表情を無くしていた。

本当にランカなのかと疑うほどだった。



夏木

「ら…ランカちゃん!?」




夏木は真っ先に

ランカの元へと走った。

ランカはグラリと揺れて

夏木の腕の中に倒れた。



夏木

「ら…ランカちゃん…。どうしてこんなことに………」


夏木は思わず涙を流す


アース

「ランカ!?お前…なんで」


アースも驚きの表情を隠せず、ただただ…自分の為に

ボロボロになったランカを

ジッと見つめていた。


すると…ブラッドが

走り寄ってきて

言葉を発し始めた。



ブラッド

「思い出したぞ…。梛浮駝離守(ナフタリス)の呪文。さっきランカが唱えた呪文だ…。あれは…この世界では使用禁止となった究極魔法。光魔種の魔法だ」


夏木

「え……?」



梛浮駝離守(ナフタリス)とは、数年前まではよく使われていた魔法だが、あまりに威力が強すぎるため自らの身を滅ぼすという究極魔法。

若者の死が絶えないため、この魔法は使用禁止となったのだ。


だが、それを理解していながら、ランカはなぜ、あのような魔物にここまで威力の強い魔法を、自分の体を犠牲にしてまで唱えたのか。


ランカはボロボロになった体を振るわせながら、小さな口を開く。



ランカ

「アダムス…。他の魔法効かない。梛浮駝離守(ナフタリス)でしか倒せない。だからランカ使った。」


ランカは声がかすれながらも

アダムスのことを

詳しく教えてくれた。


炎、水、地、風などの魔法は

全て砂に吸い込まれてしまうためブラッドやアースが唱えてもまったく効果がないという。


アダムスを倒すには、

相当な魔力が込められた

光魔法を唱えるしか

方法がないのだ。


光魔法での究極魔法。

梛浮駝離守(ナフタリス)

それをランカは選んだ。


確実にアダムスを倒すため。

確実に…"仲間"を救うために


ランカはそう言って

みんなに笑いかけた。



ランカ

「いい仲間。いい友達。ランカ…みんな好き。みんな…大切なランカの仲間」


ランカは初めて

夏木達に涙を見せた。

あの怪しい笑いは無くなり

とても…とても優しい表情で

笑いかけていた。



ランカ

「ランカは一度死んでる…。だから次は…この体ごと消滅しちゃうんだ。でも…後悔はしないよ。大好きな仲間を助けること…できたから」



ランカは目に涙を浮かべ

ニコッと笑い、みんなの手を握った。


その瞬間、夏木はブワァと涙を目から溢し、ランカを強く抱き寄せた。





夏木

「やだよ…ランカちゃん。そんなこと言わないで…。ランカちゃんは私の妹みたいな存在なんだから…。死んじゃダメだよ。死なないで…ランカちゃん」



夏木はランカの名を

何回も叫び、小さな体を

強く…強く抱き締めた。


ブラッドも肩を震わせ

涙を流す夏木…ボロボロになったランカから目をそらしていた。


アース

「しっかりしろよランカ!お前はこんなに脆いのか!?お前…せっかくオイラも仲間だって認め始めたのに…っ」



アースは地面を殴り

手から滲み出る血を

ギュッと握りしめていた



ランカ

「うふふ…ランカ…大丈夫だよ。体は消滅しても…ランカは…………」



そう言ってランカは目を閉じ

スゥっと夏木の腕から姿を消した。



夏木

「ら…ランカちゃ…ん…。う…うぅ…うわあぁぁぁ」



夏木は…広い広い荒野

全体に響き渡るほど

大きな声で泣き叫んだ。


ランカは死んだ。

体も消滅したのだ。

"仲間"の死はこれほどまでに

悲しい事だったのか。


夏木は涙が止まらなくなり

ずっと…ずっと

ランカの名を呼び続け

体を振るわせていた。

ブラッドはその体を抱き

共に涙を流した。



ランカ…不思議な女の子だったが温もりのある子だった。



夏木の手を握る小さな手。

アースよりも小さく小柄な体。

サラサラの黒髪。

綺麗に光る紫の瞳…。

柔らかい肌。

高く可愛い女の子らしい声。



ランカの全てを心に刻み…

きっと…忘れることのない

たくさんの温かい思い出を

勇気や希望に変える。

そうすることがきっと…

ランカの幸せだろう





アースも強く拳を握りしめ

悔しそうな顔を見せる。


アース

「オイラ…もっともっと強くなる。強くならなきゃいけないんだ」



アースは涙を流し、唇を噛みしめ、髪を逆立てていた。





お気に入り件数が6件になりました。これは感動です…

PVは400越えるし

ユニークも100越えたし


友達の小説を読んでいると

感想をもらっている人が多くて、羨ましく思ったりしてますw


いつか感想を頂ける日が

来るといいなぁと

微かに願っています←


by 紫苑



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