第12話◎平和な日常
夏木はしばらく風にあたりウトウトとしていると、ランカとアースは外に飛び出して遊びに行った。
(ふふ。まだまだ子供なんだから)
夏木は心の中でつぶやき
窓から二人が遊んでいるのを
微笑ましい気持ちで眺めていた
数分後、ブラッドは
買い物に行かないかと
夏木を誘った
これから冬に変わっていくため、今の服装では冬は乗りきれないだろう…と新しい服を買いに行きたいのだという。
夏木はうなずき、ブラッドと共に一旦外へ出た。
夏木はずっと、
同じ服を着ていた為、
ちょうど新しい服が
欲しかったのだ。
外へ行くと、
いくつか店がならんでおり、
可愛い服も、温かそうな服も
たくさんあった。
夏木
「うわぁ…どれにしようかなぁ~。ねぇブラッド、アースとランカの分も買うんでしょ?」
ブラッド
「あぁ。あいつらにも買ってやらないとな。ランカは一応幽霊みたいなものだから着れるかはわからないが…」
夏木
「アースはやっぱりかっこいいデザインの服じゃないと喜ばないかなぁ」
ブラッド
「ふっ、アースとランカの服はお前が選んでくれ。お前の方がセンスありそうだ」
ブラッドは少し
照れくさそうに言った。
夏木はニコッと笑い、
服を選び始めた。
ランカにはワンピースの
イメージが強かった為、
ワンピースばかりが並ぶ
店に入った。
(今のランカのワンピースは綺麗な白だったなぁ。やっぱり定番の白かな)
そう思って、
ふと目についた
白いワンピースを手に取った
ランカの着ている
ワンピースとよく似ていた。
だが、生地が厚く、
すごく温かそうな素材だった
襟元には可愛い黒の
リボンがついており、
ランカが好きそうな
デザインだった。
そして会計を済ませて
ランカの服は
ラッピングしてもらって
店を出た。
続いてアースの服を
探しに店を回る。
アースの好みは
大体把握をしていた。
赤が好き、派手なものが好き
黒が入っていたら最高。
人間界の服で言えば
パンク系が好きらしい
そして、店内で
一番目立っていた服を
夏木は手に取った。
チェーンがついており
二枚重ねの為、
温かそうな服だ
デザインも赤黒の
スカル入りなので
きっと理想の高いアースも
気に入ってくれるだろう
会計を済まし、
アースにもランカと同様に
ラッピングをしてもらった
一通り服を買い集め
夏木は自分の分を
探し始めた。
夏木
「デザインはいいから防寒性のある服がほしいな…」
夏木はデザインに
こだわることはしなかった。
寒さに弱いため防寒性を選ぶ
しばらく店内を歩いていると
ブラッドと遭遇した。何やら
手に大きな袋を持っている
ブラッド
「ほら、開けてみろ」
夏木
「え…何?」
夏木は驚いて袋を開けてみる
すると中には
温かそうな服とスカートが
入っていた。
夏木
「ぶ、ブラッド…これ」
ブラッド
「俺が選んだ。デザインは気に入らないだろうが防寒性は高い。寒がりな夏木にはピッタリだろう?」
夏木の好きなボーダーの服に
重ね着ができる
とても温かそうな服だった。
スカートも生地が厚く
冬にもピッタリな素材だ。
ブラッドはニッと笑い、
店を出ようとした。
夏木は大きな声で
服を握りしめながら
咄嗟に叫んだ
夏木
「あ…ありがとう!ブラッド!これ、大事に着るね」
夏木の声を聞き
ブラッドは後ろを向きながら
手を上げていた。
まるで"どういたしまして"
と言うように。
そうして二人は
ホテルに戻っていった
アースとランカは既にホテルに待機しており、二人を出迎えてくれた。
アース、ランカ
「おかえりなさい!」
夏木
「ただいま。アース、ランカちゃん…あなた達にプレゼントがあるの」
アース
「なんだ?」
夏木はアースとランカに買った服を渡した。二人は大喜びで綺麗にラッピングされた袋を開けた。
アースは夏木が選んだ服を見た途端に目を輝かせ、はしゃいで喜んでくれた。
アース
「すげぇかっこいい!さすが夏木だな!オイラの好みにピッタリだよ」
ランカもクスクスと笑いながら、服を見て喜んでくれているようだった
ランカに着ることが出来るのか不安を抱いていたが、問題なくランカはすぐに服を着用した
ランカ
「ランカこれ好きー」
ランカは黒のリボンを
ギュッと握りしめていた
新しい服を着て
また新たな気持ちで
旅を続けることができる。
2泊3日
この町に居座る予定だったが
時間もおしているため
1日早くこの町を出ることにした。
これほどまでに
平和な町はこの世界では
きっと"エーデルワイス"ぐらいだろう
ここの住人達は…
毎日のようにこんな
何事もない平和な生活を
送っているのか。
夏木は少し羨ましく思った。
また旅を始めるとたくさんの敵が夏木達を襲ってくるに違いない。休息の間などほとんど無くなってしまうのだ。
だが、このような
平和な日常を世界中へと
取り戻す為にも夏木達は
戦わねばならない。
優しい風を受け
柔らかな木や葉の音を聴き
子供達のはしゃぐ声を聞く
そして家族や仲間が笑い合う
そんな何気ない毎日を
もっとたくさんの人に与えたい
夏木は新たな目標ができた。
自分の家族の事だけではなく
世界中の人々の為にも戦おう
成長しよう…と。
戦いのシーンは
休ませてもらいました
戦いのシーンって
難しいですよね。
呪文を考えるのが案外難しくて困っています←
たまに予測変換で出てきた文字を組み合わせて出来た呪文とかもありますw
1日1話更新
なんとか続いています!