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第1話◎赤い花

これは数年前の、

とある村に住む

1人の少女の物語である。


少女の名は

真代夏木(ましろなつき)


大和

皐月

麻美

ひよこ


の弟2人と妹4人と

たくさんの家族に囲まれて

過ごしています。


夏木が中学生の頃に

両親は事故で亡くなり

妹達の面倒を

たった1人で見ることに

なったのです。


家は古く、お金もなく…

食べ物も

満足に買えない日々を

夏木達は春夏秋冬

乗り越えていました。


ある日、畑仕事から

帰宅した夏木は

いつものように

数少ない食物で

夕食を作ろうとしました。


すると奥から…


凛「お姉ちゃん!

  皐月ちゃんがっと妹の1人が慌てて

夏木の服を引っ張りました。


夏木は不思議に思い

奥に行ってみると

皐月が息を荒らして

倒れているではありませんか


夏木「皐月!?」


思わず駆け寄り

皐月の小さな体を抱え

布団に運びました。


原因は栄養失調。

まともに

栄養が取れないせいで

体が酷く

弱ってしまったようです。


皐月はまだ4歳…

このままでは

命を落とす危険もあります。


(どうしよう…。

 近くには薬屋もないし

 病院に行くお金もない…)


夏木は悩み、

部屋にあった1冊の

分厚い本を開きました。


何気なく開いたページに

こんな事が書いてあります。


《真っ赤な花が広がる場所。

 そこで病から救うべき

 道が見えてくる》


真っ赤な花だなんて

どこにでもあるではないか。

…と夏木は思いました。


次女の麻美が

そのページを覗いて

つぶやきます。


麻美「あれ…?私…

   ここ知ってるかも」


夏木は驚きの表情を隠せず

麻美に問い質しました。


麻美「神聖な場所だから

   誰も知らないし

   誰も行かない」


そう言って麻美は

皐月の傍に戻りました。



   ―…次の日…ー


夏木はおばあちゃんの家に

妹達を預け、

1人…自然の中を

歩いていきました。


たくさんの山が並ぶ方向に

ゆっくりゆっくりと

足を運び、前へ進む夏木。


夏木には時間がなかった…


皐月の体は

時間が経つごとに

弱っていっている。

そんな皐月の顔を頭に浮かべ

汗をかきながら

足を運びました。


どれくらい

歩いたことでしょう…


意識朦朧とする中

夏木は足だけを

精神力で動かしています。


かすれた声で

水を求める夏木。


そんな夏木の瞳に

今まで見たことのないような

壮大な景色が映りました!


あの1冊の本に書かれていた

赤い花が隙間なく、

カーペットのように

限りなく広がっていたのです


夏木「こんなの…

   見たことない…。」


夏木は感動して

それっきり言葉を失いました

★★


しばらく眺めているうちに

時は流れ…

気付けば辺りは

暗くなっていました。


ハッと夏木は

周りを見ましたが

これから自分が

何を行動すればいいのかが

わかりませんでした。


(ここに来れば

 病から救うべき道が

 見つかるはず…そうやって

 あの本には書いてたのに)


夏木「違う場所…なのかな」


ソッとつぶやき

夏木は赤い花のカーペットに

座り込みました。


すると…夏木の目の前に

白い大きな光が広がり

みるみる夏木の体を

吸い込んでいきます。


夏木「な、何!?」


一瞬で気を失い、光に

吸い込まれてしまいました



   ――――――――



夏木「う…うーん……」


しばらくして目が覚め

頭がクラクラしながらも

辺りを見渡しました。


すると…


見たことのない景色が広がり

見たことのない乗り物が飛び

見たことのない生き物が生息


夏木は驚きの表情を隠せず

ずっとその世界を

眺めていました。


夏木「ここは…どこ?」


ふとつぶやき

夏木の後ろで声がしました


??「ここは

   未知の世界ですよ」


ビックリして

振り向いた先には

夏木と同じ人間の女の人が

すっと立っていました。


未知の世界…とは?

夏木がそう聞き返すと

女の人は口を開きました。


??「私の名はセシル。」


セシルはそう言って

赤い花のカーペットの話を

始めました。


単に赤い花を

見つけただけでは

ここには来れない。

本当に悩みがある人だけが

この世界に来れるのだという


夏木は本気で

妹の病気を治したい…

そう思ったから

この世界に吸い込まれたのだ


もう一度辺りを見渡し、

夢のような現実を

受け止めました。


夏木はセシルに

妹のことを話し、

どうすれば救うことが

出来るのかと問います。


セシルは口を閉じ、

数分後…再び夏木に向かい

口を開きました。


セシル

「ある老人の家へ

 訪れては

 いかがでしょう?」


夏木「老人の家?」


セシルは少しうつむき

こう語ります


老人の家は

たくさんの薬を扱う場所。

中には効き目が強すぎて

死に至る薬もあるのだという


その老人の家に行くのには

あまりにも

距離がありすぎるため

誰も行く者はいない。

途中に危険もたくさんある

あまり行くのには

オススメしないが…と。


だが夏木は

妹を救うために

行く決心をします。


するとセシルは

1人の男の子を

夏木に紹介しました


セシル

「この子の名はブラッド

 あなた達のような

 人間で言えば

 18歳ぐらいかしら」


ブラッドは

夏木に微かにペコッと

頭を下げます。


背が高く、金髪が目立つ

スラッとした男の子だった。

無口そうだが

優しい目をしていた。


セシルは

夏木の安全を守るために

ブラッドを夏木に

つけたいのだと言う。


夏木はうなずき

セシルにお礼を言って

セシルから去りました。


しばらく歩き、

再びブラッドの顔を

見つめました。


ブラッドも夏木の顔を

じーっと見て

一言も言葉を発しません。


夏木「あ…あの」


恐る恐る声をかけてみると

ブラッドは反応し


ブラッド

「…夏木…だっけ。

 長い旅になるだろうが…

 一緒に頑張ろうな」


と低い声で少し夏木に

微笑みながら

ボソッと言いました。


夏木は


静かにうなずき

1歩1歩

大地を踏みしめながら

ゆっくりゆっくり

前へ進んでいきます。


ここから夏木の厳しい

長い長い旅が始まるのです


ブラッドと共に

妹を救うべく

未知なる世界へ…


見たことのない生物に

驚きながらも

冷静に判断し、

確実に二人は前へ進みます


今の夏木に苦痛はありません

妹を救うためなら

命だって

投げ捨ててしまうでしょう。

ブラッドはそんな

夏木の心を読み取ったのか

夏木の手を握り優しく微笑む


この二人なら…きっと…。



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