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童貞坊主がお経をあげていたら、転生して美少女シスターになってしもうたがな!  作者: 枕川うたた


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最終話 響け、南無アーメン!

海底神殿。

 光を通さぬ深海の中、巨大な珊瑚柱が並び、中央には黒曜石の祭壇。

 そこに立つのは――闇歌姫ヒビキ。

 腰まで届く漆黒の髪が水流にゆらめき、その口元から漏れる歌声は、甘く、切なく、そして妙に生々しい。


 その歌は、耳に入った瞬間、心を掴んで離さない。

 私の周囲では、祭典に来ていた人々が水中なのに普通に直立し、表情を消してヒビキに向かって手拍子を刻んでいる。

 完全に洗脳状態だ。


(これはマズい……! このままじゃ王都の人がみんな“水中ディスコ奴隷”に……!)


 私は金魚鉢型潜水服の中で深呼吸した。

 両手を胸の前で組み、眉間に皺を寄せ、心の中で念じる。


(――行くぞ、二重宗教フルパワー!)


光と音の反撃


「南無――!」

 潜水服内蔵マイクが私の声を拾い、空気の泡と一緒に音を増幅する。

 同時に、尻に装着した“聖水タービン”が勢いよく回転し、低音のようなブゥンブゥン音が響き渡る。


「――アーメン!!!」


 水中に放たれた私の声が、光の波紋となって広がっていく。

 背中の十字架からは柔らかな金色の光がほとばしり、音と光が渾然一体となって神殿全体を包み込む。


 ヒビキが顔を歪めた。

「……っ! この声……いや、この祈り……!」


「そうだ! 私は前世、坊主! 今世、シスター! 異世界宗教ハイブリッドだぞ!」


 闇と光の歌声がぶつかり合う。

 水泡が弾け、珊瑚がミシミシと震え、なぜか横で巨大タコがパーカッションを叩き始める。

 おいタコ、ノリノリかよ。


決着、そして崩壊

 私の声が最高潮に達し、最後の一節を放つと――

 光が爆ぜ、ヒビキの歌声がかき消された。


 洗脳されていた人々の瞳に色が戻る。

「……あれ、私、なんで水の中に?」

「息苦しくないのに不安だったけど……腹減った」


 闇精霊との契約の鎖が砕け、ヒビキは意識を失って崩れ落ちる。

 その瞬間、神殿全体がゴゴゴ……と低く唸った。


「これ……沈む!?」

「崩れる!」


 全員が慌てて出口へ。

 私はヒビキをお姫様抱っこで抱え、尻タービンを全開にして突き進む。

 ――と、その時。耳元で低い声が響いた。


『面白い……次は“あの方”が出張るだろう』


「誰!? 説明して!」

 しかし声は不気味な笑いを残して消えた。


 海面を破ると、眩しい太陽の光。

 背後では海底神殿が轟音とともに崩れ、海中に砂煙が舞い上がる。


 こうして月光貝の涙争奪戦は終わった……はずだった。


 だが王都に戻った私は、休む間もなく祭典の後片付けに駆り出された。


「エリナさん、その大鍋、倉庫に運んで」

「はい……これ、罰ゲームですか?」

「違うよ、修行だよ(にっこり)」


 鍋運び、皿洗い、テント解体。海底より過酷な地上戦が待っていた。


 片付け中、ふと空を見上げた。

 青空の彼方に、黒い巨大な影がゆっくり浮かんでいる。

 漆黒の船体、金色の紋章――飛行船だ。


(……あれが、“あの方”の……?)


 胸の奥に、またしても嫌な予感が広がった。

 その飛行船は雲の中へと消え、私の中に残ったのは――不安と、ほんの少しのワクワク感。


 物語は、まだ終わらない。



了(一旦終了)


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