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童貞坊主がお経をあげていたら、転生して美少女シスターになってしもうたがな!  作者: 枕川うたた


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第22話 海底ギャグ地獄!涙よ、我らの酸素となれ!

――ドボンッ。


視界は一瞬で青に飲み込まれた。

海水の冷たさが、服の繊維一本一本まで容赦なく染み込む。

ああ、乾くどころか、さらにウェットな私……。


「ぷはっ! 酸素は!?」

その瞬間、遠くからあの歌姫の歌声が響いてきた。


不思議なことに、水中でも耳にハッキリ届く。

すると――あら不思議、呼吸できる。

ただし、息を吸うたびに鼻の奥に磯の香りが全力で刺さる。


「うえぇ……海苔食ったあとの味する……」

「贅沢言うな、死ぬよりマシだ!」


私たちは歌声のガイドに従い、深く、さらに深く潜っていく。

そこはもう別世界だった。


発光クラゲがカーテンのように漂い、サンゴの城がそびえ、

時折、でっかい魚が「やあ」と言わんばかりに通り過ぎる。

……ってか、その魚、今ウインクしなかった!?


「おい、こっち見ろ!」マリアベルが指差した先に――

巨大な縦穴の底で、月光のように淡く光る貝があった。

そう、あれが“月光貝の涙”……のはずだ。


だが、その前に立ちはだかるのは――海底門番カニ(推定体重3トン)。

爪は私の身長の2倍。顔(?)には「立入禁止」のようなシワ。


「……あの爪、一撃くらったら粉になるやつだよね?」

「正確には“海老せん”になるな」

「やめて食感で例えるの!」


門番カニは爪をカチカチ鳴らし、威嚇してきた。

その音がなぜか「カニ、カニ、カニ」と聞こえる。

「……洗脳されそう」

「いや、お腹減ってるだけでしょ」


ここからは完全アクションタイム。

マリアベルが水中で回転し、剣をひらめかせる。

私はというと、修道服の裾をたなびかせてカニの視界を遮る役。

結果――裾を挟まれました。


「ぎゃああああ! 服がッ!」

「だからそんなヒラヒラさせんなって!」


私が必死にバタバタしている間に、エリナが祈りの詠唱を開始。

水中なのに光の柱が走り、カニの爪をがっちり固定。

マリアベルがその隙に貝へ一直線――

そして、光る雫をひとしずく、そっと瓶に収めた。


勝った。

……のはいいが、カニがいきなり泣き出した。

水中だからわかりにくいけど、めちゃくちゃ号泣してる。


「え、なんで!?」

「その貝、多分カニのペットだぞ」

「ペット略奪!?」


慌てて手を合わせて謝罪しつつ、瓶だけはしっかり確保。

私たちは泡の階段(歌姫の歌で出現)を駆け上がり、海面へ。


――数分後、歌姫の前に瓶を差し出すと、彼女は満足げに微笑んだ。

「ありがとう。約束通り、“黒い影”の正体を教えるわ」

場の空気がピンと張り詰める。

「それは――王都祭典に紛れ込んだ、もう一人の歌姫」


私とマリアベルは顔を見合わせた。

まさか、歌姫が二人……?

「続きは、陸で話すわ」

そう言って、彼女は水の中へ溶けていった。


……こうして、海底地獄は幕を閉じた。

ただし、私の修道服はまだびしょ濡れで、海の香りがとれないままだった。

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