【ゲームオーバー】
ずっと草原を歩いていると近くは段々木々が生い茂ってきており恐らく森のエリアにきてしまった様だ。
「こりゃ多分道間違えた臭いな」
と思いながらそのまま森の中を進んでいく。
草原と違い森ではモンスターとのエンカウント率が跳ね上がりゴブリンとしか戦ったことのなかったシオンだが特に多かったのはもちろんの様に虫系のモンスターが多くたまに動物系のモンスターとも戦ったりして結果的にレベルが3から8まであがっていた。
そしてなぜシオンがここまで快進撃を続けられたのかというと森エリアはもちろんの様に薬草の様なアイテムが自生しているものもあり現地調達で回復をまかなえていたこともありここまで一度もHPを全損させる事はなかった。
「ここまで順調だとなんかありそうで怖いな」
と探索を続けているとシオンの視界の先に3メートルはあろう大きな熊がのそのそとこちらに向かって歩いてきている、その熊はマッスル・ベアと呼ばれるモンスターで体格以上に異常に発達した2本の腕が特徴的なモンスターであり筋肉質な腕に鋭利な爪を用いた攻撃は雑に戦っても破壊力は抜群である。
だが今までと明らかに違うのはシステム的にモンスターはプレイヤーを襲うというものは当たり前であると思っているためこのマッスル・ベアは明らかにシオンに敵意を感じられない。
「襲ってこないと罪悪感は沸くよな」
とシオンが腰の剣に手をかけるとマッスル・ベアは急にシオンに向けて襲いかかってくる。
どうやらこちらの攻撃の意思がなどがトリガーになっている様で冷静に分析をする暇もないくらいにシオンにとってはピンチであった。
先程まではのそのそとゆっくりの速度とは打って変わり俊敏というよりかは1歩の速度が速く数メートルはあった距離を1歩で詰めて振り上げた右腕を思い切り振り下ろす。
シオンはその攻撃に対して大きく後ろに飛び退くと元々シオンがいた地面は大きくえぐられていた。
そしてマッスル・ベアは何度も何度もシオン目掛けて大振りの攻撃を仕掛けてくるがどれもヒットはないが爪が軽くシオンの腹部をかすめる。
するとHPが半分以上削られてしまったのだった。
「直撃なら1発で死んじゃうんじゃないか、相手の行動パターンを読まないとどうしようもないぞこれ大振りなだけまだましなんだろうけどな。
というかかすっただけでこのダメージなら盾はあってもなくても変わんないな」
と右手に持っていた盾をイベントリに収納して先頭に集中し何度か攻撃を回避しているとマッスル・ベアの攻撃にどこか規則性を見つける。
「これならいける、こっちの攻撃が1ダメージでも入るならノーダメージ戦法でいつかはあいつを倒せる」
そして攻撃後の隙をついてショートソードを振るとマッスル・ベアに2のダメージが入った。
そしてダメージが入った事とノーダメージ戦法の可能性に少しニヤついてシオンは攻撃を避け攻撃を当て続け10数発当てた頃。
マッスル・ベアの攻撃を避けていたが突然今までの動きになかった噛みつき攻撃が飛んできた事に驚き咄嗟に避けたがドンと背中に何かが当たった。
「しまっ!?」
位置関係などを確認しらがらヒットアンドアウェイ戦法をしていたのだが大きく後ろに飛び退いた為にシオンは背中に大きな木を背負っていた。
そして逃げ道を失ったシオンはマッスル・ベアの大振りの攻撃をまともに食らってしまいシオンのHPは全損してしまった……