【戦士シオン】
名前を入力をした後次のウィンドウにはキャラメイクのウィンドウが開きそのウィンドウには自分の本当の顔と体が映し出されておりある意味では鏡を見ているのと変わりはない。
だがここからが本当のキャラメイクで自分の顔や体形を少し変えたり理想の顔や体にしたり全く別の性別すら変更可能で例えば男性が女性のキャラメイクにした場合声帯エンジンを駆使して声質すら変更をする事も可能である。
だがシオンはそのまま性別を変える事無く男性のまま自分のパーツを巧みに変えて本人と言われれば本人だが別人と言われれば別人という匠を感じさせるキャラメイクをして次の工程へと進んでいく。
次に選択するものは職業である。
このゲームに問わずこういったロールプレイを基本としたゲームにおいてはこの職業という存在は無視できない、選択した職業で伸ばすステータスが変わる為初めの段階から自分のプレのコンセプトを決めてなければ器用貧乏なキャラになってしまい最終的にはどこかで詰んでしまう。
だがシオンはあらかじめプレイスタイルの方向性は決まっており初期から選択出来る職業は
戦士
武闘家
魔法使い
僧侶
盗賊
というある意味では最も基本的ではあろう職業の中から選んでこの職業を育てていく事で固有職業へと昇格させてくのもこのゲームの醍醐味の1つである。
「うーん…、どんな派生があるかはわかんないけど俺のスタイル的にはどっちかなんだよな」
シオンは2つの職業で悩んみ腕を組み片方の手を顎に当てて少し悩んだ結果シオンは戦士の職業を選択した。
これでセブンスワールドオンラインの初期設定が完了していよいよ長い冒険が始まる。
暗かった空間は段々と明るくなっていくとシオンは草原に立っていた。
「最初って町とかから始まる訳じゃないのか…」
とボソッと呟いてしまう。
このゲーム自体が多くのプレイヤーがログインする事を想定している為最初の町からそう遠くない位置からスタートする事によりNPCとの会話や商業施設への混雑回避の為に各々のプレイスタイルで差をつける為に町から離れた場所からゲームがスタートする仕様になっているのだ。
シオンはその場で右手を前に出して人差し指と中指を立てるとシオンの目の前にはメニュー画面が現れシオンは自分のステータスの確認に入る。
name シオン
Lv 1
HP 21
SP 5
力 3
体力 7
賢さ 5
精神 9
敏捷 8
運 3
「力が低いのが痛いな、まあ乱数考えたら当たりな方かな」
ステータス自体はHPは15~30の数値の間で残りの数値が40をランダムで振り分けられるので自分の理想のステータスは基本的には引き当てる事の方が難しいのでコンセプトにある程度沿ったステータスなら早めにゲームをスタートさせてレベルを上げる方が圧倒的に効率的である為少し力が低かったがこのまま始めていく事にした。
初期装備は職業によって違うがシオンの選んだ戦士の初期装備はショートソードに皮の盾と布の服の上下という基本的にはこの世界においての戦士職の最低装備が初期装備として戦士プレイヤーには与えられる。
「よしステと装備も確認した事だし軽くこの辺りを散策しがてらモンスターでも狩ってみますか」
とシオンは意気込み周りを見渡すがモンスターはおろか建造物や人影すらなく見渡す限り草原であった。
「と思ったけどとりあえず近くの村とか町を探してたらモンスターにも出会えるだろ」
と当初の予定をあっさり変えて村や町を探すことにした。
だがこの時のシオンは気づいてはいないが本来であれば初めてのプレイヤーは最初の町であるアルゴの町からかなり近い場所からスタートだったのだがシオンは運悪くアルゴから遠い位置からのスタートとなっていたのだ。
だがそんな事に気づくはずもないシオンは目印も当てもなく辺りから手あたり次第に探していく事にしたのだった。
と最初の内は草原の草の匂いや風のリアルさにいちいち感動を覚えていたがゲームを初めてかれこれ10分以上人にもモンスターにも出会えないとなると少しずつイラつきを覚え始める。
「おいおい、神ゲー候補のくせにエンカウントしないのはありえんだろ…」
と愚痴をこぼしながらも歩みを止めずにいると
コツン
と何かがシオンの足に当たる感覚があった、そしてその何かの正体はすぐに判明する事となる。
「お!初エンカはゴブリンか」
とシオンが言うように恐らく寝ていたのであろうゴブリンを足で起こしてしまったらしい。
ゴブリンは緑色の肌に全長は1m前後といった小柄な体格に大きな耳が特徴的なモンスターであり様々な派生形が存在する最早ファンタジー世界には欠かせないであろう雑魚モンスター界のレジェンドとの初めてのコンタクトであった。
シオンの出会ったゴブリンは1匹で行動しておりその手には武器すら握られてはいなかった。
「ギィィ…」
「いやぁ悪いね、俺の戦闘の練習に付き合ってもらうぜ」
とシオンが言うとゴブリンは自分の足元に落ちていたこぶし程の大きさの石を握りこみシオン目掛けて突っ込んでくるがシオンは慌てることもなく腰辺りに納められていたショートソードを抜く。
そしてゴブリンとの距離を測りシオンはその場から動かず武器を構えたままゴブリンが突っ込んでくるのをまっておりその距離がショートソードの射程に入ると右から左に勢いよく払うとゴブリンは大きなダメージを負った様子で横に飛ばされていた、それをすかさず追い打ちをかける様にシオンは追いかけて地面に倒れていたゴブリンに目掛けて思い切りショートソードを突き刺すと
「ギギャァ…」
という声と共にゴブリンの体にノイズの様なものが走り光のかけらになって散っていった。
「これが消滅のエフェクトなんだ」
と感心していると周りからガサガサと音が聞こえてくる。
「まぁ1匹なわけはないよな、団体様のご到着って感じか?」
と1匹のゴブリンと戦っている内にシオンは5匹のゴブリンに囲まれていた。