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black flower 黒竜花  作者: ゼル
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black flower 黒竜花 Ⅰ



【あらすじ、超えては→越えては】Episode1 出会いのブラックケイブ




この世界はとても自然に満ち溢れている



でもこの世界の人たちは越えてはいけない一線を持っている


それはお互いに干渉しないこと


彼らは同じ世界に居ながらお互いに触れ合おうとしない

彼らの歴史がそれを止めている



人 天と地を脅かす者也


人 遥か昔 地を壊し文明を滅す


竜 地 其の魔の力で自然 戻す


人 魔の力に衰退せし


竜 人を恐れる者


人 竜を恐れる者


竜 人


互いに相容れぬ者也



---------------------------------------------




光輝く森

太陽の光と昨日降った雨で葉がキラキラと輝く光輝く森


その光は濡れた地までを光輝かせる



森の中にあるのは


落ち葉


虫たち



小さな水たまり


大木から雑草までの植物

そして











「あったー!これなんだろ?」






ゴミである






「うーん、これは…よく分かんないなぁー…」


森の中でゴミを拾っているのはヒトと呼ばれる種族の女の子。


お昼の青空のような色の髪

エメラルド色の瞳、つぎはぎがあちこちに、そして何度も直した跡があるピンクの服。


「おーいノエル!」

「はーい、すぐ行くわ!」


彼女の名前はノエル。


この森の中にある小さな村で暮らしている。


小さな村は崖下にある為、村の北側は崖であり、森は南側からずっと続いている。

人たちはこの小さな村でのんびりとした生活をしているのだ。



そんな彼女の趣味は…





「まーたガラクタ集めしてたのか?」

村人がノエルを探しに来たようだ。


「ガラクタじゃないよ!これはね!」

ノエルはガラクタをたくさん抱えて見せびらかす。


「はいはい、旧文明の遺産だろう?」

「そ、旧文明の遺産!化石みたいな物なんだからね!」


ノエルは満点の笑みで言う。

村人は少し引いた顔でノエルを見る。




「ほら、祭りの途中なんだから抜け出しちゃ駄目だぞ。」


「ごめーん…だってさ、思いついたの!」

「何を?」


ノエルは小さな筒を見せた。


「なんだそれ。」

「これをみんなで降れば良い祭り道具になるわよ!」

ノエルは袋にたくさん筒を入れていた。

先端になにやらボタンのようなものが付いているが、押しても何も起こらない。

壊れているようだ。




「うーん…きっとこれ、違う使い道があったと思うぞ?」


「良いの良いの!だって使い方分かんないし適当に使えばいいのよ!」


「まぁ…そうだけどな…仕方ない、村人たちに配るとしよう…」

「やった!探してた甲斐があった!」


ノエルはガッツポーズをして村へ村人と戻って行った。






旧文明



それはかつて昔あった“であろう”文明のことである。



何故“であろう”なのか。


それはその話が不確かな話だからだ。

誰もその文明を知っている人は居ない。


生き証人も居ないのだ。


しかし、唯一の証拠とも言える…いや、かつてあったと思わざるを得ない事実がそこにあった。

それは地に落ちるガラクタである。


様々な形のものが存在していて、丸いもの、四角いもの、ゆがんだもの、細長いもの、硬いもの、柔らかいもの。

使い方も不明で、何で作られているのかも全て不明である。


この世界の人々は“探究心”を持つ者がほぼ0と言っていいほど存在しない。

皆、そこに強い興味を持たないのだ。


ノエル自身も旧文明を解析しようとはまるで考えていない。

ただ目の前の不思議な物体の使い道や観察が好きなだけで、解き明かそうとは考えていないのだ。



あったかもしれない旧文明。

それは現在の人々にとっては

“どうでもいい“

で括られる程、興味の対象にならない代物なのだ。



「ノエル、何度も言うけどな、あまり遠くに行ったら駄目だからな。」


「平気よ!私、逃げ足は自信あるの!」


「そう言うけどな、“奴ら”は空を飛べるし体も大きいんだ。お前なんかパクリと食われちまう。」

村人はやや脅しながらノエルに注意する。


「うーん、でもなぁ…“あの子”たちは私たちには一切干渉してこないし…大丈夫だと思うけど。」

ノエルは手を顎に置いて考える。


「“子”って言えるか…?まぁ良い、とにかく用心するに越したことはない。良いか?絶対に…」


「はーいはい、“ドラゴン”を見つけたらすぐに逃げること!でしょ?」

「そうだ。」


村人は何度もノエルを注意している様子。

ノエルは暇があればいつも村の外に出て旧文明の遺産を漁っては、何かを持ち帰ってくる。






ドラゴン

それはこの世界に存在するもう一つの種族である。





かつての旧文明では、ドラゴンと人間は手を取り合い生活をしていたという。


知能の高いドラゴンは人間の言葉を理解し、会話をするとこも出来る。


しかし、現在、ドラゴンは人間に一切干渉をしないのだ。

それが何故かは定かではない。

ドラゴンは長命なので、旧文明の事を何か知っている可能性が高い。


旧文明で何かが起こり、文明が滅び、そして人間の交流を遮断した。

そう考えるのが正しい。


そして人間の方には旧文明の生き証人など居るはずもない。

それに人間から見ればドラゴンは巨大な化け物に等しい。

巨大な身体に鋭い爪とキバに巨大な羽に鋭い瞳。

手を取り合うなど、夢物語。


ドラゴンはドラゴンの生活があり、人間には人間の生活がある。



それぞれの種族が互いに干渉しないことで、今の世が確立されているのだ。




ドラゴンは人を恐れ




人はドラゴンを恐れ





いつしか両種族は“無関係”となっていったのだ…



ノエルが住んでいる小さな村はとても自然に満ちて、小川が流れる綺麗な村だ。


ノエルはここで一人で暮らしている。

両親は幼い頃に病で死に、ずっと一人で暮らしてきた。


夜はいつも一人で眠っていて最初はとても寂しかったという。

しかし、時々村人が助けてくれたりしてくれ、すくすくと成長して、彼女は活発で元気な15歳の女の子に成長した。

だが、親戚と呼べる者も居ない為、家族のぬくもりを知らない。




さて、今日はノエルの村で祭りがおこなわれている。

村が出来た日を毎年毎年小さなお祭りで祝っているのだ。

ノエルはお祭りの小道具として何か使えないかと思い、祭りを抜け出して、旧文明の遺産を探していたのだ。


村の人口は約40人。

とても少ない。その分、皆が村人一人ひとりを把握している。

だからノエルが抜け出したのがバレバレだったのだ。


「ほら、今日は祭りだから村の中で大人しく楽しみなさい。」

「はーい!」

ノエルは元気よく、拾ってきた旧文明の遺産である鉄棒を握りしめて走り出す。


「やれやれ、元気な子だなぁ。」


村人はその後、鉄棒を小道具として使うため、他の村人たちに配布した。









「あっ、洗濯物干しっぱなしなんだ!」


ノエルは洗濯物を干しっぱなしにしていたのを思い出した。

とっくに乾いている時間帯であり、ノエルは慌てて自宅へと戻った。




ノエルの家は村の端の方に位置している。



「あっ!やだーもーう!」

ノエルが帰った時には、洗濯物が地面に落ちていた。

洗濯物を干していた棒が落下していたのだ。

いや、正確には折れていたのだ。


「あーあ、もうちょっと保つと思ったんだけどなぁ。」


ノエルが洗濯物干しに使っていたのはこれも旧文明の遺産。

もともとガタガタだった為折れるかもしれないとは思っていたが、予想よりも早く折れてしまったようだ。

その棒は、何かを入れるものがあり、その部分は小さな隙間。

一体何を入れていたのか。

近くに刃物が落ちていたので、恐らくそれを入れるものだろう。

しかしノエルには分かるはずもなく、その入れ物を物干しに使っていたのだ。




「新しいの取ってこなきゃね!」


ノエルは既に村人が言っていたことを忘れていた。

(今日は祭りだから村の中で大人しく楽しみなさい。)



その言葉をすっかりと忘れていたノエルはすぐに走りだし、その棒があった場所に向かった。






棒があった場所は村から少し離れた場所だ。

ノエル自身も一回しか言ったことが無い場所だ。



(あらっ)


その場所に向かう途中に辺りが暗くなっていくのが分かった。


「…大丈夫よね!」

後先をあまり考えずにノエルは走り出した。




段々暗くなっていく。

これは一雨来そうだ。


「えっと確かこの辺りね!」

ゴロゴロと鳴りだす雷には聞く耳を立てず、ちらかっている旧文明の遺産を漁るノエル。


あるのは何か分からないガラクタだらけ。

探して数分もしないうちについに雨が降り出した。

「あっ、降ってきちゃったわ、どうしよう…」


今はまだ小雨だが段々強くなっていくのが分かる。

風も段々強くなってきて、木が大きく揺れている。


「これは雨宿りした方がいいかも。」

ノエルは辺りに雨宿り出来る場所が無いか探索を始めた。


「まいったなぁ、この辺りあんまり来ないからさっぱり分かんない!」

ノエルは辺りを探索するが全く付近の地理を把握してない為、なかなか見つからない。

雷の音が近くに聞こえる。まもなく大雨が降る予兆だ。





「えっと、えっと」

崖の方に向けて走るノエル。

突きだしている岩が雨宿りの代わりになるかもと考えた。


すると・・・



「あっ!」


崖には洞窟があった。

中は広そうだ、5mぐらいの大きな穴だ。

中は相当広いに違いない。

雨が強くなってきた。

ノエルは雨に濡れながらもその洞窟へと入っていった。




「うーっ寒い!」

ノエルは体をぶるぶる震わせ、服を雑巾絞りで濡れた服の水をはらう。


「ちょっと明るいわね…もしかして光る石でもあるのかしら?」

奥も続いている。

所々、青い光がちらほらと。石が光っているみたいだ。


「奥の方が明るいみたい」

ノエルは何の躊躇いもなく奥へ進んだ。


しばらく進んだら直角の曲がり角、この奥が大空洞になっている。

(そーっと…)

誰も居ないとは思うが、チラッと曲がり角から大空洞を覗いた。


すると…



(…何あれ)



大空洞の中に何か居る。

光が消えたり付いたりでよく分からないが大きい。


(…あっ!)


見覚えがある。

そう、本で見たことがある姿だ。


その大きな何かは、生き物だ。

大きな翼

大きな尻尾

大きな身体


(間違いないわあれは…ドラゴンだわ!)


ドラゴンだ。

ドラゴンが大空洞に居た。

(ということはここはドラゴンの巣?)


ノエルは村人に何度も言い聞かされている言葉を思い出した。

(ドラゴンと会ったら逃げる…)

ノエルは逃げようと試みた。

幸い気づかれていない様子。



ノエルはもう一度ドラゴンを見た。

(あれ…何かしら?)

するとドラゴンの腕から赤いものが見えた。

(流れてる…もしかして!)


ノエルはそれを“血”ではないかと判断した。

(怪我をしているんだわ…あのドラゴン…!)


ノエルは逃げずにずっとドラゴンを覗き続けた。

が。


カツーン


「あっ!」

足を動かしたときに石を蹴飛ばしてしまった。

物音に気付いたドラゴンは辺りを見渡す。そしてノエルと完全に目があってしまった。




「あっ……どうしよう…」



ドラゴンに気づかれ、見つめられるノエル。


雨宿りのために逃げ込んだ洞窟でまさかの出会い。

今日の運勢はどうやら最悪のようだ…


(どっ、どうしよ~…)





その出会いは突然に


出会ったのは全く違う種族の生き物




出会いのブラックケイブは青く光を灯す…










Episode 1 END

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