アルゴス村と二人の少女
アルゴス村に無事?到着した俺はアルゴス村へ入ることに成功した。
村なんて初めて来たし、初めて入ったな。そして俺は今、そのアルゴス村の村長、副村長的人物であるルシファー・スノー・ファルクリデとレイア・バリンス・ファルクリデの姉妹の家にいる。
「レルア・カミアスさんですね。来客者は初めてで……この村のことなど、分からないことがあれば色々聞いてくださいね」
「ありがとうございます」
アルゴス村はよくゲームなどに出てくる村とそう、変わらない。俺が元々いた世界の家とは見た目が全然違う。ドアに鍵とかないし。窓はガラスで出来ていない。
「えっと……じゃあ、この村ってなんで女性しかいないんですか?」
「やっぱりそうだ。男は女にしか興味がない。恥を知れ!」
「レイア、静かに。この村は捨て子や迷い子を集めた村なんです」
だから、女性しかいないのか。でも迷い子とか捨て子って女の子だけじゃなくないか?なんで男は拾わないんだろう。
「男は拾わないんですか?」
「男性は…ちょっと難しいですね」
「何か理由があるんですよね?」
その理由次第では、貿易をしないワケと関係あるかもしれない!
「わたしたちはクレキス王国の王や貴族から、全てを奪われたんです……ですから、本当の所はレルアさんも村には入れたくなかったのですが…」
「でも、なぜ俺だけ?」
「レルアさんには王国からの品物……例えば、鎧や剣などが見受けられないので」
なるほど。シューダさんに買ってもらった物ばかりだけど、確かに、王国からは何も貰ってないな。
……そうか!王国騎士やギルドの人たちは王国から物を貰ってたから返り討ちにあってるのか!俺ってば天才じゃね!?
「そうだったのか…でもさっき話してた全てを奪われたって話…今のクレキス王国はそんな事ないですよ?」
「今の話ではありません。まだ、わたしたちが子供の頃の話です。わたしたちも元々はクレキス王国で産まれ、育っていくはずだったんです」
ルシファーさんが話す隣でレイアは肩を震わしながら泣いていた。
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二人の少女には悲しい過去があった。
二人の少女はクレキス王国で産まれた。少女らは王国内で「天使の生まれ変わり」と呼ばれるほど、可愛らしく美しかった。
だが、その頃のクレキス王国は美しい娘を「献上品」として扱っていた。だが、それは表上の言い方。本当は性の捌け口として、使われていた。
王や貴族の権力は圧倒的で、命令一つで人や物まで奪うほどだった。少女らの両親は王の命令に反対したが、権力によって処刑された。
両親が処刑されたことにより、ルシファーとレイアには後ろ盾や頼れる人材はいなかった。王や貴族も"誰にも惜しまれずに差し出せる娘"という認識があった。
クレキス城のある一室にて、少女らは手を握り、床に座っていた。
「お姉ちゃん…レイアたちこれからどうすればいいの?」
「大丈夫。きっと誰かが助けてくれるから」
「レイア、あの人たちの所に行きたくないよ……」
ルシファーはレイアの手を強く握り返した。少女らはの絆は明日を迎えれば、離れ離れになってしまい、王や貴族の性の捌け口になってしまう。胸の奥が恐怖と不安で渦を巻いている。
「明日…」
「え?」
「明日、この城を出よう!深夜3時は城兵たちの任務が終わる時間。その隙にここから出よう!」
「うん!」
少女らは窓からロープを降ろして、夜の暗い時間に脱走を試みた。少女らが王や貴族の玩具になるまでには、まだ時間がある。
時は刻一刻と過ぎ、気づけば夜は深くなっていた。
「レイア、行くよ」
「うん」
少女らは窓から逃走を図ろうとした時、一人の少女がある事を言った。
「他の子も助けてくる。レイアは先に逃げて」
「待って、お姉ちゃん!一緒に行く!」
「ダメ。一緒に行動したら、バレちゃう。大丈夫、わたしは絶対レイアの元に行くから」
ルシファーは部屋を出て、他の少女を助けに行った。
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そんな過去が…
小さな女の子にしたら、こんな事経験したらそりゃあ、嫌いなるし、トラウマになるよな。俺もあいつらのことは今でも嫌いだ。
「これがわたしたちがクレキス王国を嫌う理由です。すみません、長々と話してしまって」
「いや、ありがとうございました。俺もそんな過去があるとは知らずに無理やり貿易とか言ってしまって」
俺はアルゴス村を出て、この事を王様やギルド、王国騎士団に話そうと思う。
「今日はありがとうございました。この話は俺が王様に話しておきますので」
ルシファーさんはペコリと頭を下げた。
これで良かったんだよな?相手はあんな過去があるから、無理やり貿易するのも可哀想だし。
俺はクレキス王国へ帰ろうとした時、空の色が急変した。青い空は暗くなっていき、まるで急に夜になったみたいだ。
「え、夜ってこんな急に来るものだっけ?」
時計持ってないから、今が何時が分かんないな。ルシファーさんとの話でいつの間にか夜になってたのかな?
でもさっきまで、空は青かったよな?
「レルアさん!」
王国側から聞き馴染みのある声が聞こえる。視線を向けると、そこには馬に乗ったシューダさんが向かってきている。
「シューダさん!ってか、馬!?」
「このタイミングで…ひとまず王国に戻りましょう!」
「この空って何ですか!?」
「話は後でします!今は安全な場所へ移動しましょう」
俺はシューダさんの馬に乗り、クレキス王国へ向かった。ルシファーさんやレイア、村のみんなは大丈夫だろうか。
俺とシューダさんはクレキス王国へ着き、馬から降りた。
「シューダさん、なんか空が変ですよ」
「はい。これは大戦争の前兆…えっと、始まりの合図みたいなものです」
「大戦争?」
大戦争ってなんだ?初めて聞いた言葉だけど。