初めてのクエスト
災厄の神々の一神、地震の神 アースクの討伐に成功した俺ことレルア・カミアスとシューダさん。あれから何日かが経った日。この地球……いや、異世界に「地震」という災害がピタリと止まった。
この世界での災害は神が操っているらしい。神って本当にすごいんだな…俺の想像を軽く超えてたぜ…
「平和だな…」
平和すぎて退屈なくらいだ。でも別に戦闘をしたいってわけでもない……いや、俺には災厄の神々を倒すっていう目標があるんだ。
異世界なんて初めてだから何していいか分かんないな…俺はクレキス王国の時計塔を見た。
「今は10時か。まだ学校にいる時間だな」
「なら、クエストを受けてみませんか?」
「くえすと?」
"くえすと"ってなんだ?
「簡単に言えば、依頼みたいなものです。それをクリアすれば報酬が貰えますよ」
なるほど!なんだか面白そうだ。その"ほうしゅう"ってやつはよく分かんないけど、シューダさんがおすすめするならやってみよう。
俺とシューダさんは受付所に向かった。そこには掲示板にびっしりと貼られた紙があった。これ全部クエスト?多すぎだろ!
「まずは簡単なものから行きましょう」
「はい!」
シューダさんが選んでくれている。後ろ姿も綺麗だな…受付所には他にも沢山の冒険者がいる。俺は大人しく椅子に座り、シューダさんを待った。
シューダさんが来るまで時間かかりそうだし、ステータスでも見とくか。そうだ、アースクを倒した時に貰ったゴットスキル 地震を見てみるか。
ゴットスキル 地震
自らを震源とし、地震を発生させる。他にも地面の液状化などを起こせる。
強くね?まぁ、ゴットスキルだし当たり前か。アースクは地面の中にいたけど、もしかして俺も地震を使う時は地面に潜らないとダメとかある!?ゴットスキルってもしかして、使いづらかったりするの!?毎回、土竜を使わないとダメなのか?
いや、"俺が"考えても答えなんて出てこない。俺はステータスを閉じた。
その時、ある3人の冒険者グループが俺に近づいてきた。
「てめぇ、何ガン飛ばしてんだ?」
「え?」
「ぶっ殺されてぇのか!」
どの世界でも一部の人間はカスなのか。……あれ?なんで俺今、ビビってないんだ?いつもなら、怯えて何も抵抗出来ないのに…この世界に来て、変わったのか?今の俺にはブラッティソードがあるから、怖く感じないのか?
「おい、聞いてんのか!」
「シカトしてんじゃねぇよ!」
大柄の男は大きなハンマーを振り上げ、俺に振り下ろした。この世界に来てからか、相手の行動に反応出来る。すげぇ、俺なんか成長してる!
なんてたって、俺は災厄の神に勝ってるんだ。こんな人間に負けるわけがない!
俺はブラッティソードを引き抜き、ハンマーを止めた。
「てめぇ、調子ノってんじゃねぇぞ!」
「調子ってどう乗るんだよ!」
俺はハンマーを弾いた。そして、空いた腹にパンチを繰り出そうとした。
その時、シューダさんが俺の隣に立っていた。
「何やってるんですか?」
「シ、シューダさん!びっくりした…」
クエスト、選び終わったのかな。たしか、簡単なものを選んでくれたって言ってたし、そんなに緊張はしなくて良さそうだな。
「さて、行きましょうか」
「てめぇら、どこ行く気だよ」
「部外者は黙ってもらっていいですか?」
シューダさんは大柄の男にも怖がったりしない。まぁ、俺も怖くなかったし?俺だって災厄の神倒してるし?
「ちっ、行くぞ」
大柄の男たちは受付所を出て行った。
「あっ、怖いところを見せてしまいましたね…ごめんなさい」
「いえいえ、助かりました。クエストは何にしましたか?」
「レルアさんはアースクを倒したと言えど、まだ初心者ということもあるので、まずは基本から。薬草採取に行きましょう」
薬草採取か。確かにこのクエストならモンスターも出なさそうだし、怪我もしなさそうだ。俺とシューダさんはクエストを受注し、受付所を出た。場所はそれほど遠くないので歩いて行くことにした。
「薬草採取は誰でも受注出来て、とても優しいクエストですが、アースクの地震の影響で薬草があまり生えてないですね…」
そうか、クレキス王国は地震の影響はあまりなかったから、良かったけどこういう平原とかはボロボロなのか。
「あっ、そうだ。シューダさんはどうしてあの時、俺と一緒に戦ってくれたんですか?」
「え?」
「シューダさんはまだアースクの攻撃範囲に入っていなかったはずです。でも俺を助けてくれた。あのまま逃げていれば、シューダさんは無事でした。だからどうしてなのかなって」
「もう、誰も死なせたくないんです。クレキス王国の民もクレキス騎士団も。神と人間は圧倒的に神の方が上です。ですが、レルアさんを見た時、私はレルアさんに希望が見えたんです。この人なら皆んなを、世界を助けられるって。だから、私は逃げずにレルアさんと共に戦ったんです」
そうだったのか……でも俺に希望がある?もしかしたら、災厄の神に勝てるってことなのか?
「それにレルアさんと一緒にいると、なんだか心が楽になるんです」
「ありがとうございます……でいいのか?」
そんな会話をしていると、薬草が生えている場所に着いた。確かに少なそうに見えるな。薬草ってどんなやつだ?これでいいのかな?
採った草は薬草であっていた。これをどれだけ採ればいいんだ?クエストを開くと、10束と書いてあった。
「これくらいかな」
「あとはこれを納品してクエストクリアです」
本当に簡単なクエストだった。これで報酬が貰えるのか。だが簡単なクエストなため、報酬はあまりおいしくない。でもこれでお金……じゃなくて、ゴールドが増えた。
「おぉ、こんな感じなのか」
「初、クエストクリアおめでとうごさいます!」
簡単すぎてクリアした感覚がないけど、まぁいいか。
ゴールド増えたし、どこかでご飯でも食べようかな。お腹空いたし。
「お腹空いたな…シューダさん、どこかで食事でもしませんか?」
「そうですね、ならクレキス城に行きましょうか」
またクレキス城!?
クレキス城はクレキス王国騎士団、一人一人の部屋が用意されているらしく、俺はシューダさんに自分の部屋を案内してくれた。部屋の中はとても綺麗だ。それにシューダさんの香りが充満している。フレ…フレグラなんとかみたいな匂いがする。
「ここが私の部屋です」
「すげぇ…」
一人部屋にしてはなかなか広い。ベットも大きく、眺めもいい。シューダさんは鎧を防具立てにかけた。シューダさんはエプロンをつけ、フライパンを手にした。
「私が料理をしますよ」
シューダさんは料理まで出来るのか!?…ってか、違う!本当はシューダさんにご馳走させたいのに!
「本当にいいんですか?」
「腹が減っては戦はできぬといいます。まぁ…戦ってましたけど、ふふ」
なんだこの感じ…すっげぇ幸せ。俺はイスに座り、シューダさんの料理を待つ。なんかシューダさんに助けられてばっかだな。どこかで返したい。
「はい、どうぞ」
シューダさんの料理ができた。そこには俺の大好物なハンバーグがあった。
「おぉ!美味しそう!」
「良かったです」
俺はシューダさんの手作り料理を食べた。味付けまで俺好みだったな。マジでシューダさん、すごいな。
「美味しかったですか?」
「はい。でも、俺…ずっとシューダさんに助けてもらってばっかで……いつか燕返しさせてください!」
「恩返しですかね…?ですが、大丈夫ですよ。レルアさんは感謝しきれないほどの事をしました。恩返しは大丈夫ですよ」
アースクを倒した事、そんなに凄い事だったのか。地震の神 アースク。神なだけあって、強かったのは確かだ。
その時、部屋のドアを叩く音が聞こえた。シューダさんがドアを開けると部屋の外には騎士団の人がいた。
何か話してるように見える。
「分かった、ありがとう」
「どうかしたんですか?」
「ある村の件なのですが…」