まさか神様?
まさかの神様登場だ。その名もアースク。
「マジかよ…」
「彼の能力は地震。地表やプレート、岩盤を動かし、自由自在に地面を動かす事ができます」
だから地面が動いてたのか…さすが地震の神だな。俺では太刀打ちできない。スキルも少ない、レベルも下な俺が勝てるのか?
周りの地面が盛り上がり、地面がドーム型になった。壁を壊す事は出来ない。
この壁、硬すぎだろ!
それとずっとやつの姿が見えない…でも声だけは聞こえる。どこにいるんだ?
「どこにいる!姿を出せ!」
「それが神に言う言葉か?」
神だろうが何だろうが知るか!災厄の神の一神なんだ…こいつもミーティアの仲間の一人。こいつだって地球を壊す可能性があるんだ。
「くそ…」
シューダさんも焦っている…どうする?俺に何が出来る?剣の使い方だってようやく慣れてきたって言うのに…
そう考えていたら、アースクからの先制攻撃が来た。俺とシューダさんは立ち上がり、アースクの攻撃を避けた。
「速すぎだろっ!」
「レルアさん、気をつけて!」
アースクは地面を触手のように操り、先をドリル状に変え、突き刺さしてくる。それも1、2本ではなく、数十本だ。一つ一つが別の動きをしている。
くそ!いまだにアースクが何処にいるか分からない。さっきより地面が蠢いている。地面のせいで、視界もグラグラする。
「初撃は避けるか」
鷹の見物しやがって……ん?高みだっけ?いや、今はどうでもいい!シューダさんも軽い身のこなしで避けている。
「ほぉ、中々やるな…これならどうだ?」
「くそ…遊びやがって…」
ドリル状の地面の本数が増えていき、どんどん加速していく。フェイントも挟みつつ攻撃してくるから、分からない!
その時、奴の狙いが俺だけになった。シューダさんのことは無視し、数十本の触手地面が俺に向かってきた。
「レルアさん!避けてください!」
「っっ!?」
避けたつもりだが、俺の左腕に穴が空いた。アースクの攻撃に当たってしまった。痛い、燃えるように熱い。左腕の感覚がなくなっていくのが分かる。
やっぱ神には勝てないのか?神様って言うのは人間の敵なのか?
「レルアさん!」
俺は地面に倒れてしまった。アースクの触手が俺を貫こうとしてくる。未来の地球でも俺は人生負け組なのか?
神ってこんなに強いのか?どう勝てって言うんだよ…
「死ね、レルア・カミアス。スキル 貫通」
スキル 貫通を発動します
アースクのスキルが俺の腹部を貫通した。声が出ないほど痛い……俺は口から血を吐き出た。俺の腹にドリル状の地面が複数刺さった。あいつらに殴られた時より痛い。地面や服が真っ赤に染まり、見たことのない量の血が出血していた。
血を出しすぎたのだろうか、視界がボヤけきた。
「大丈夫ですか!?レルアさん!」
倒れている俺にシューダさんが近づく。くそ…意識が遠くなっていくのがわかる。どんどんシューダさんの声が聞こえなくなってきた。視界がだんだん暗くなっていく。これが死なのか…?
「死んでは駄目です!生きるのを諦めてはいけません!」
シューダ・ハイラス
レルアさんの目は虚としており、体温が下がっていくのがわかる。やばい!早く回復薬を使わなければ!回復のポーションを割って、中の液体を傷にかけた。だが傷口の出血は止まらない。
「………シュー…ダさん」
「喋ってはだめです!余計に血が!」
レルアさんの血が地面に滴り、血溜まりが出来ていた。レルアさんの目の光がだんだん消えていく。レルアさんの身体から光の粒が出始めた。足の先はもう消えかけている。
やばい…早くしないとレルアさんが死んでしまう!でも回復のポーションは効果がない……
「話は済んだか?さぁ、戦いの続きをしよう。女騎士」
「いや、逆に丁度いいかもな」
私は腰、腹部、背中の鎧を外した。私は鎧を外した場所から煙を出すことが出来る。腰は煙幕、腹部は煙の効果を倍増する。煙幕を張り、その煙幕の効果を倍増させる。
そして背中は……
レルア・カミアス
あれ?意識が…戻ってきて…いる?俺はアースクの…攻撃を受けて…えっと、それからどう……なったんだっけ?
俺はゆっくり目を開けた。広がった景色にはさっきまであったアースクの触手が乱雑に地面に落ちていた。
「なにが……起こったんだ?」
「目が覚めましたか?」
この声はシューダさん?でもシューダさんの姿が見えない。それになんか顔あたりが柔らかい。風が吹いていないのに、髪が靡いている。俺は視線を下に向けた。
そこにはハリがあり、ツヤのある肌色の枕があった。まさか、これって!?
俺は飛び起きた。そう、シューダさんは俺に膝枕をし、頭を撫でていた。
「元気そうですね」
「いや、そんなことより!」
でも確かに、傷口は塞がっている。左腕も治っており、ちゃんと動く。俺が意識を失ってる時、何があったんだ?
「そうだ!アースクは?アースクはどうなりました?」
「一時撤退という形ですね」
「一時撤退?」
「今だけアースクが引いたと言うことです」
逃げたってことか?もしかして、シューダさんの強さにビビって逃げたとか!?シューダさん、強すぎだろ!
「俺が意識を失ってる時、ずっと戦ってたんですか?」
「はい、ですが大丈夫です。この通り、軽傷で済んでいるので」
シューダさん、すごい……でもその、露出がやばい!お腹、太もも、腰、手…目のやりどころがない!まだ目を見て話すなんて出来ないし!
「レルアさん、大丈夫ですか?顔が赤くなってますよ!?」
「シューダさん、鎧を着てください!」
「そ、そうですよね!!ごめんなさい!」
シューダさんが鎧を着た。
えっと、確かアースクは逃げたんだっけ?逃げたってことはまだ倒せてないんだよな?また出会うことになるのか…
「アースクがどこに行ったとか分かりますか?」
「いえ…ですが、今のままではまだ、アースクには勝てません…」
「じゃあ、どうすれば…」
このままでは神に勝てない…レベルを上げても意味がないと思う。レベルが足りないっていう問題じゃない気がする…
この時、天才ならどう考えるんだ?俺が頭を使ったところで、天才の発想は出てこない。シューダさんに聞いてみるか?
「シューダさん、神に対抗する時、俺に足りないものって何かありますか?」
「レルアさんに足らないもの…」
シューダさんも難しい顔をしている。
その時、また声が聞こえた。
ゴッドスキル 完全回復を習得しました
ん?完全回復?それにゴッドスキル!?ゴッドスキルってなんだ?普通のスキルとは違うってことは分かるけど……どういう能力なんだ?
ゴッドスキル 完全回復
死者を一度だけ復活出来る。
強っ!流石ゴッドスキルだ。死者を復活出来るって相当強くない!?あっ…でも一度だけか。それに回復のスキルだからアースクに攻撃出来ないな…
「完全回復か…」
「え?」
「さっきゴッドスキルっていうのを習得したんです」
「ゴッドスキルを!?」
シューダさんが驚いた。え、もしかしてやばいことしちゃったとか!?
「ゴッドスキルをこんな早くに習得した…やはりあの本は本物…」
シューダさんが何か喋っていたが、よく聞き取れなかった。あの本とか言ってたな……何か知ってるのか?
「あの本…?」
「え?…あっ!いえ、気にしないでください!こっちの話なので。それよりアースクを追いましょう!」
そうだよな!今はアースクが一番大事だ。地震の神……なんだっけ?なら地面の中にいる?いや、それとも空中にいて指定した場所だけを揺らせる能力?どちらにせよ、探すのは難しいな。
「アースクは自分を震源にして、地震を発生させます。ですので…」
「地面の中からは出れない!……ってか、震源って何ですか?」
「地震の起点…みたいな感じです」
なるほど、分からん。多分、その震源ってやつから地震が起こってるっていうことでいいのかな?地面の中を移動してるなら、移動した後があるはず!俺ってば頭いい!
でもどうやって地面掘るんだ?スコップとかないし、犬みたいに手で掘るとか!?どんだけ時間かかるんだよ!
その時、アースクが回復したのか、また地震が起こった。足元がぐらつき、ふらつく。
「また地震!アースクが回復したか!?」
「お互い、体力を回復してたようですね…」
地面の中にはいる……けど、これでめちゃめちゃ遠くにいるとかだったら、どうするんだ!?それに神だから、地震を起こしながら動くことだって出来そうだし……
「地面の中にいることは分かったけど、どこにいるんだ?」
「アースクはすぐ近くです!」
「分かるんですか!?」
「今の地震で木々が倒れました。つまり震度は6以上。言い伝えではアースクは人間を少しでも早く潰したいと思っているんです。こんなに強い地震……震源、つまりアースクはすぐ下にいます!」
なるほど!途中からよく分かんなかったけど、近くにいるってことは分かったぞ!シューダさんはやっぱ頭がいいな!
「待ってろよ、アースク。俺とシューダさんが倒してやる!」