この世の正体
武器屋の店主さんからタダで武器を、シューダさんからは防具を買ってもらった俺こと、レルア・カミアスは、もう少し王国内を探索した。
まだ気になるところあるし、もっとここを知りたい。シューダさんはもうどこかへ行ってしまった。まぁ、地図貰ったし迷子にはならないだろう。
「ここは、住宅街みたいな所か?」
人の家が沢山建っていた。屋根のように斜めではなく、四角だ。
俺はぐるっとクレキス王国内を回った。クレキス王国は円を描くように一周している。その円の真ん中に城があるという設計だ。城に向かって建築物が建っており、統一性がある。
「これがクレキス城か」
さっきお世話になったところだ。クレキス城は、遠くから見ても圧倒的な存在感を出していた。デカい、とにかくデカい…まぁ、城だから当たり前か。
俺はクレキス王国を回っていた時にふと、思った。
「あれ?確か今は3200年で、戦争があったのが1000年前って言ってたよな……それにここはノーズラインっていう場所なんだっけ?」
ここは本当にどこなんだ?異世界なのか?それとも日本なのか?
その時、すれ違った住民がこんなことを言っていた。
「なぁ、知ってるか?ノーズラインって昔は名前すら違かったんだってよ」
「それ知ってる!確か、ホツカイドーって名前なんだろ?」
「そう!それでさぁ……」
やっぱり……ここは異世界じゃない!
ここは未来の地球だ。あの看板にあった世界地図が地球と同じだ。俺がこの世界に飛ばされる前にいた地球は2200年。
多分だけど、戦争が起こる前まではあの長い島があると思うんだ。北海道以外が消えた謎の事件。一体何が起こったんだ?多分北海道に住んでない人たちは皆、死んでしまったのかな?
またここの騎士の人に聞いてみるか。
「あの、すいません。この下にあった長い島はなんで消えたんですか?」
「長い島…?あっ、メインランドのことですね。神に消されたんです…」
か、神に消された?この世に神なんているのか?神話だけの生き物だと思ってたのに…
「災厄の神のリーダーであるミーティア。そいつが隕石を堕としたと言われてます。他には元からなく、人々は偽りのジャパリーブを見ていたという説もあります」
災厄の神?聞いたことがない...それと偽りがなんとかは多分違うだろう。俺、元は東京に居たんだ。多分、そのミーティアってやつが隕石を堕としたんだろう…でもなんでそんなことを?神様って人を助けるんじゃないのか!?
「ありがとうございました」
「はい、また何かございましたら、お声掛けください」
あと気になる所と言えば…なぜこの世界にはモンスターがいるのかだよな。だって武器とか防具とかあるし……おっ!今の少し頭良かったんじゃないか!?
でも見る限り皆、武器を持って、防具を来ている。それにシューダさんやさっきの騎士の人に至っては鎧を着ている。
未来の地球だけど、ここって異世界系のアニメみたいにステータスとかあるのかな?
未来の地球は俺の思った通り、ステータスの表示が可能だった。
ステータスを表示します
名前 レルア・カミアス
種族 人間
???
性別 男
年齢 15歳
レベル 1
装備 ブラッティソード
ホワイトクロウズ
シアンジーンズ
こんな感じなんだ。やっぱレベルは雑魚だな。人間の下の???って何だ?…まぁ、いいか。
「レベルなんてあるのか」
レベル上げってどうやるんだ?ゲームとかあまりしたことないから分かんないんだよな。モンスターとか倒したらレベル上がるのかな?でもまだ、戦闘とか怖いし……あっ!そうだ、クレキス王国内に何かないか?
「ここは?」
これは闘技場?そこはクレキス王国の入り口の一番奥にあった。闘技場って人と人が戦うやつだよな?でもこれはレベル上げにいいのか?
ステータスには闘技場のルールが書いてあった。
その1 闘技場では死んだとしても、アイテムはドロップせず、休憩所に送られる。
その2 敵は自分で設定出来る。
その3 レベルは自分で設定出来る。
…らしい。レベルも敵も設定出来るならレベル上げにいいんじゃないか?よし、早速闘技場に向かおう!
「ってか、闘技場まで遠いな!」
歩くしかないか。王国内には馬車があるらしいがお金がいる。闘技場で敵を倒したら、お金って貰えるのかな?ってか、闘技場に着く前に体力が無くなりそうだ。
「すまないが、レベル3で無いと、ここから先へ行かせることは出来ない…それにレベル1って言うことは君も…」
「レルアさん、ちょっといいですか!」
シューダさんがいきなり俺の手を引き、早歩きで場所を変えた。シューダさん、なんか急いでる?
ってか、騎士に止められたんだが?レベル3?俺ってまだレベル1だよな?……全然足りない!
「ちょっとシューダさん!」
「場所を変えてから話しますので!」
そう言うと、シューダさんは人気のないところへ俺を連れて行った。
「シューダ…さん?」
「闘技場へは行かないでください」
「な、なんでですか?」
シューダさん、なんか怖い!今までのシューダさんとは大違いだ。
「騎士団の人に言われてましたよね?レベルが足らないので入れませんと」
そうだ!おかしいだろ!なんで入れないんだよ!俺こんなに武器揃ってるのに!まぁ…確かに剣術は全く無いけど…それでもいいだろ!死んだって減るものじゃないのに。
「それから…」
シューダさんは続けて何か話した。
「困り事があれば、今後からは私に聞いてください」
ステータスのマップにシューダさんの位置と自分の位置がマークされた。いや、ステータスにマップあるならこの地図いらないじゃん!
「は…はい」
え、俺なんかシューダさんにした!?はっ!もしかしてブラッティソードのことか!?呪いで死んじゃうってことを聞かず、貰っちゃったこと気にしてるのか!?
「レルアさんって、まだちゃんと剣を握ったことないですよね?」
「そ、そうですね…ですので闘技場で練習でもしようかなって…」
するとシューダさんは俺の後ろの壁に勢いよく両手をつけた。いわゆる壁ドンというやつだ。やばい…シューダさんめちゃくちゃ怒ってる……これはブラッティソード返してきた方が良さそうだな……
「闘技場はあくまでも闘技場です。やられてもアイテムなどはドロップしませんが、痛みはあります。それを繰り返すと痛みが何度も身体中を走ることになります」
もしかしてシューダさんは心配してくれてるのか?
でもどうやってレベルを上げよう…俺はもう一つ貰ったクレキス王国周辺の地図を広げ、確認した。周りは森と平原になってるのか。森ならモンスターとかいるんじゃ無いか?もしかしたら、闘技場のやつよりかは強いかもしれないけど。
「と、闘技場がダメならどうやってレベルを上げればいいんですか?」
「っ!!すいません、いきなり取り乱してしまって……」
シューダさんは顔を赤らめ、少し離れた。まるで別人みたいだ……
「えっと、レベル上げでしたよね?ならここがおすすめですよ!」
シューダさんは地図に指を刺した。そこはクレキス王国の斜め上にある森だった。
「ここならレルアさんでも倒せる敵がいるはずです。ですが、最深部は…」
「わかりました!」
そうして、俺はシューダさんに言われた森に行くことにした。
「行ってきます!」
「あの、まだ話が!!」
俺の後ろで小さくシューダさんの声が聞こえたが、よく聞き取れなかった。
「ちょっと興味があった…モンスターを倒す!行くぜぇぇぇ!!」
俺は全力で走った。シューダさんが言ってた森に着いた。
「ここがシューダさんが言ってた森か」
森なだけあり、少し暗い。草や葉が風に当たる音がする。
「森の中は涼しいな。日陰だっけ?日に当たってないからいいな」
その時、視界に文字がずらりと並んだ。
「うぉ、びっくりした。これは…何で読むんだ?」
ステージ 蒼の森
漢字が読めない俺からしたら、全く分からん。森はわかる。森だけなら。
ステージ 蒼の森
あっ、これあおって読むんだ…って森ぐらいわかるし!それくらいの簡単な漢字はわかる。闘技場はふりがな書いてあったし読めた。
「ここはどんな場所なんだ?」
俺は中へと進んでいく。さっきまでは人の声で溢れていたが、ここはとても静かだ。今思ったけど、なんで闘技場なんかあるんだ?シューダさんは説明してくれたけど…俺みたいにレベルが足りない人とか毎回、この森に来てるのかな?
「本当にモンスターなんているのか?」
その時、草の茂みからガサガサと音が聞こえた。俺はその音に警戒した。何かが来る。俺は腰からブラッティソードを抜いた。
「いつでもかかってこいよ!」
出てきたのは小さなスライムだった。青く、ぷよぷよしている。触ったら気持ちよさそう…いや、だめだ。こいつはモンスターなんだ。俺たちと敵対している悪なんだ。触ったらダメージとか入りそう。
「くらえ!」
俺はスライムにブラッティソードを振り翳した。スライムはそれをサラリと避け、俺に突進して来た。
「危ね!?」
意外と速い!?スライムの弾力性を最大限に生かしてるな。だが俺は身体を半身にし、交わした。確かに速いがまだ追いつける速度だ。動体視力って言うんだっけ?俺、交わすの上手くない!?
「俺だってスライムには勝てるんだ!うぉぉぉ!!」
スライムの一部を切ることに成功した。よし、ダメージが入ったぞ!だがスライムはまだ動いている。
「どうだ!痛いだろ!」
ん?待て待て待て、なんか徐々に回復してないか!?切った所がブクブクと再生した。
「マジかよ…」
一発で倒さないと、キリがない。
俺はサークルをスライムに集中させた。
スライム レベル2
少しレベルが高いからって、舐めるな!たった1の差だ。これくらいなら、まだ戦える!
「これでもくらえ!」
俺はブラッティソードを乱雑に振り、スライムを切り刻んだ。
スライムは目の前で液体になった。
「おぉ〜、倒せた」
一体倒すのにも一苦労だ。こんなのが複数も出てきたら捌き切れないな。その時、また脳内に声が再生された。
称号 ファーストキルを獲得しました
「なんだそれ?」
ファーストキル
初めてモンスターを倒したことで獲得できる
俺はステータスを開いた。そこには見たことない項目が追加されていた。称号というものだった。
称号
ある一定の条件を満たすと獲得できる
なるほど、分からん。
「でも、これでモンスターも怖くない!よし、奥にも道が続いてるし、行ってみるか」
あれ?なんか俺は忘れてる…気が?確か、シューダさんが何か言ってたような?…まぁ、いっか!
どんどん倒して、レベル上げだ!スライムを一体倒してもレベルは上がらない。そう上手くはいかないよな。