転移した日
2200年、7月7日。今日は俺の誕生日だ。空の調子は良く、青い空でいっぱいだ。いい日なのは変わらないが、俺はここ、倉田学園でいじめを受けていた。それも毎日。
この学校の評判はそこまで悪くないし、偏差値もまぁ…普通な方だ。制服のデザインや通いやすさなどから、男女共に人気がある。全校生徒…はよく分からないが沢山いる。
ここに入学している生徒たちは真面目な人が多い。でも人は見た目で判断してはいけない。見た目が良くても中身はクズだ。
「おら!さっさと立てよバカが!」
「コイツ、なんも抵抗しないじゃん、マジウケるんですけどw」
「こいつ、倉学イチの馬鹿なんだって」
「え〜?きっしょwww」
「お前、マジ死んだ方がいいぜ」
「このこと先生に言ったら、どうなるか分かってるよねぇ?…あっ、バカだから分かんないか!」
「チクッたら、マジでぶっ殺すからな?」
「同じ空気も吸いたくないわ…マジで死ねよ」
ドゴッ!ドゴッ!っと蹴られ、殴られ、罵倒を浴びせられ、嘲笑われる。俺が何をしたって言うんだ。俺もお前らと同じ人間だぞ?
ただ頭が悪いという理由なだけで、どうして俺だけこんな目に合わせられる?毎日増えていくアザ…治ってもまた増える。学校の保健室に行っても、先生は対応すらしてくれない。
「はぁ……またやられたの?前にも言ったでしょ?もう、手当はしないって。貴方だけの保健室じゃないの」
「はい、すいません…」
「もう高校生でしょ?それくらい自分でなんとかしなさいよ」
クソ…これは俺が悪いのか?俺がバカだから悪いのか?バカって理由なだけで、なんで誰も助けてくれないんだよ。
でも俺が悪いっていうのは間違ってないのかもしれない。俺が助けを呼ばないから誰も来ないんだ。いや……助けを呼んだって誰も来ないか。俺に友達なんていないし、助けてくれる先生もいない。
〜はぁ…やっぱお前は出来損ないだな〜
〜ごめんなさい〜
〜おい!なんでこんなことも出来ないんだ!〜
〜ごめんなさい〜
〜もういいから〜
〜ごめんなさい〜
何をやっても失敗ばかり。進学なんて夢のまた夢。今を生きるのにいっぱいいっぱいだ。
授業を聞いても何も分からない…国語、数学……頭が痛くなる…
「はぁ…0点だ。何回言ったらお前は学ぶんだ!また評価が落ちるじゃねぇか!お前が0点を取る度、俺が上から言われるんだぞ!」
「すいません…」
コイツらは自分のことしか考えてない…自分より遥かに劣っている者なんてタダの踏み台。やっぱ人は見た目だけで判断しちゃだめだな。
学校のチャイムが鳴り、俺は家へと帰った。
「はぁ、今日もやられたか…」
殴られ、蹴られた所を触るとジンジンとして痛い。一応、家に怪我を治すやつが入ってる箱みたいなのはあるけど、怪我の治し方は知らない。
「確か、絆創膏だっけ?これか。これを貼れば治るんだっけ?」
家に帰っても誰も居ない。俺が生まれて2歳の頃、父と母は別れ、俺一人となってしまった。顔も名前も知らない父と母だ。
でも俺には姉が二人いる。一歳違いと二歳違いの姉だ。小さい頃は親戚の家で暮らしていた。
「あれ、今日は遅いのかな?」
時間は…えっと、なんて読むんだっけ?6のあたりに長い針と短い針がある…から17時30分……だっけ?いつもならもう帰ってきてるはずだけど、多分買い物か仕事だろう。
ぐぅ〜っと、お腹が鳴った。
俺に昼飯を食べる時間なんてない。毎回アイツらに購買とやらに行かされ、ありがとうの一言も無く、帰ってくる言葉は「早くよこせ」などだ。
もちろん金は俺から出している。
弁当もアイツらに勝手に食べられ、荒らされる。中身はいつもぐちゃぐちゃだ。食べる気なんて湧いてこない。
「お腹すいたな…」
昼から何も食べてないし、アイツらにボコボコにされたし、余計に腹が空く。このままだと餓死してしまいそうだ。
「何かあるかな?」
冷蔵庫を開けても特に腹の足しになるものはない。炊飯器の中も無い。水なんかで腹が満たされる訳ないだろ。
特に食べるものがなかった俺はキッチンにある包丁を手に取った。
「………」
こんな人生クソくらえだ。生まれながらの負け組なんて誰が望む?こんな毎日が続くなら死んだ方がマシだ。
頼む、神様。生まれ変わったら、こんな人生じゃなくてもっと楽できる人生にしてくれ。
だが、死にたくても死ねない。俺は手が震え、包丁が落ちた。なんで……なんで死ねないんだ?
俺は自分の部屋に入り、ベットの上に寝転がった。
「死にたくても、怖くて死ねねぇよ…」
その瞬間……
「ん?」
俺の周辺に魔法陣が展開された。暗かった部屋が一気に明るくなった。
あまりにも突然のことでほとんど覚えてない。
「……は?」
俺が覚えている記憶では魔法陣が展開されて、俺を飲み込んだところまでだ。
そこからは分からない。なにか記憶が飛んだ気がした。
―――――――――――――――――――――――――――
「……ん?ここは?」
俺は目を開けた。そこには青い空と白い雲。小鳥の鳴き声が聞こえ、人の声も聞こえてくる。倒れ込んでいた俺は立ち上がり、辺りを見る。目の前の景色には大きな城があった。ここは大きな壁に囲まれた都市のような所らしい。
だか何かがおかしい。よく見るとそれは人でない。耳が長い人、角が生えた人、顔が獣のような人、獣の耳が生えた人……色々だ。
「なんだここ?」
見知らぬ場所、知らない人ばかりだ。でも俺は何故かすぐ馴染めた。馬鹿だからか?まぁ、いいか。
「少し歩いてみるか」
俺は埃や砂をはらい、歩いた。
なんていい天気なんだ。太陽が輝いている。逆に眩しいくらいだ……太陽ってそんなもんか。ってか、マジで壁でかいな…なんかあれみたい某巨人の漫画みたい……いや、やめとこう。
俺は右、左とキョロキョロしながら歩いた。
「色々あるな」
なんか別の国に来たみたいだ。本当にここは日本なのか?ここの人たちが喋ってるのは日本語だけど…雰囲気がこう……なんというか…
家…というより、店が多いな。
よく整備されており、レンガ状の道はとても綺麗だ。でも道って、普通黒くなかったか?それに車も走ってない……俺、マジでどこに来ちゃったんだ?
でも人々の表情は明るい。歩いてるだけで楽しい。皆んな、笑顔だし良い所なのかな?
俺はある場所で足を止め、見つめた。
「ここは居酒屋?」
窓から中を見ると、可愛い店員さんが黄色い液体に白い泡が盛ったジョッキを持ち歩いている。あれは多分ビールだろう。
あれ?確かお酒は18歳からだっけ?あれ、19?……まぁ、どちらにせよ俺はまだ飲めないな。日本か分からないこの世界でもお酒とかあるんだな。
俺はもう少し探索をした。チラリと見えたが、ここでもお金が使われているな……当たり前か。お金なかったら、千引きだっけ?あれ、万引き?まぁ、どっちでもいいけど、犯罪のやり放題だもんな。
だが、お金のような物は俺が知っている1円玉や5円玉では無かった。茶色というか銅みたいな平たく丸い物を出していた。他にも銀色や金色も見た。
そもそも、ここは日本なのか?文化って言うんだっけ?今までの日本とは全く違う。まるでゲームの中みたいだ。だって今まで生きてきてお城なんか見たことないし!
日本って確定するまで別世界って呼ぶか。
「ってか、でけぇな」
俺の家くらいでかい。俺はまた窓から中を覗いた。これ遠くから見たらやばい人だとか思われてないよね!?大丈夫だよね?
「ここは宿屋か?困ったらここで寝泊まりするか…」
だが、お客さんが銅色のメダルをたくさん店員さんの机に出していたことを。
「ちょ、多くね!?」
軽く10枚は超えてたよな?今の俺じゃ、泊まれねぇ…お金がないやつってなんて言うんだっけ?む、無一マンだっけ?むい…なんだっけ?まぁ、いいか。早くお金を集めないと!
キョロキョロしながら歩いていると、俺はあることに気づいた。
「やっべ、道迷った」
ここどこ?
さっきまでとは全然違う。さっきまでいた所は賑やかで楽しそうな雰囲気だったが、こっちはとても暗い。
ん?待てよ、これって来た道を戻れば帰れるんじゃね?俺って天才!?…いや、当たり前か。
俺は来た道を戻った。やっぱ暗いところより賑やかな方がいいな。
「ふぅ…やっと戻れた」
うん、この感じよ。うるさくなく、ちょうどいい。
そう思っていると誰かが俺の肩をポンポンと、優しく叩いてきた。
「あの〜」
「え?」
後ろを振り返るとそこには女神の様に美しく、金色の短い髪、左にワンポイントに入った赤い髪に緑の目をした可愛らしい女性が立っていた。なんか鎧みたいなのを着てる?
それに……いや、気のせいか?どこか懐かしい顔にも見えなくは…ないか。
「何か困っている様に見えたので」
この人は騎士?胸の鎧には謎のマークがあり、剣を持っていた……このマークって、さっき見た城のところに書いてあったマークだよな。
「だ、大丈夫です…」
だめだ…なぜかこの人の顔に見惚れてしまう……でもこの人もどうせ俺を裏切るんだろうな。
だが、今だけは頭を使わないと!えっ…となんて言えばいいんだ?
「何か探してますか?それとも誰かを待ってますか?」
うるさい!いつもやられてるだけじゃだめだ……この人にやられる前に先にやってやる!
えっと、今は腹が減ってるな。よし、この人に金を大量に払わせてやる……いや、この人剣持ってるし、全然負けるな。それにこの人、なんか良い人そうだし。
確か、居酒屋があったよな?なら飲食店もあるだろ!
「えっと、その…お腹が空いてて、でもお金がなくって困ってて…」
「硬貨がないんですね…なら、私がご馳走しますよ」
まじで!?やっぱこの人は良い人だ!
やっとご飯が食べれる。でも、ここのご飯って美味しいのかな?…まぁ、お店だから美味しいんだろうとは思うけど。
俺は女性騎士と一緒に飲食店へ向かった。
「見たことない服装ですね」
「え?あ、あぁ〜母が作ってくれたんです」
「お母様がお作りになられたんですね!とてもお似合いです!」
もしかして…ここって学校ないの!?それはそれで最高だな…ってか、母の手作り制服ってなんだよ!自分で言って、今気づいたわ!
「な、なんかここって壁で囲まれててす…すごいですね」
「この都市形態は城塞都市と言って、外敵から地点を守るために築かれた城壁などで囲まれた都市のことを言います」
よく分かんないけど、すごいってことだけは分かった。じょ…じょうなんとか都市とか難しい言葉がいっぱい出てきて頭が痛くなる…
「えっ…と簡単に言えば、敵からこの王国を守る都市形態ってことです」
なるほど!……ん、王国って言った!?いや、気のせいか?
そんな他愛もない会話をしていると、到着した。女性騎士からは「気にせず、食べてください」とのこと。なんかちょっと食べづらいけど、お腹が空いた!
「い、いただきます!」
「はい、召し上がってください」
ふぅ〜、食べた、食べた。こっちのご飯も美味しいな。でも無料で食べていいなんて…マジで優しい人で良かった〜
「他に困っていることはありませんか?」
「えっ…と、その…俺迷子なんです…」
クソ…情けねぇ!俺、高校生にもなって、迷子になるなんて…
「では、城で保護しますね」
「あっ、はい…はい!?」
し、城で保護!?なに、迷子センターみたいなのがあるの!?小さい子供達の中に俺が来たら、小さい子たちびっくりするしない!?
俺と女性騎士は城に向かった。城の中はとても綺麗だ。白を基調とし、縦のラインに青が入っている。城の柱にはたくさんの旗が飾ってあり、豪華だ。
両サイドには隣の女性騎士と同じマークがついた鎧と盾を持ってる騎士がたくさん並んでいた。
奥の額縁に絵が飾ってある。多分歴代の王様の絵なのだろう。
「シューダ・ハイラス、ただいま帰ってまいりました。クレキス王国内で迷い子を見つけ、連れてまいりました」
女性の名はシューダ・ハイラスというらしい。シューダさんは王様に向けて、跪いた。右手を胸に当て、顔を下に向けた。
あっ、これって俺もやった方がいいやつ?俺もシューダさんを真似て、跪いた。うっ…この体制きっっつ…
「表を上げよ」
「はっ」
「…は、はっ」
お、表?俺の右にいたシューダさんが顔を上げた。あっ、顔を上げろって意味なのね。…じゃあ、そう言えよ!紛らわしいなぁ。
「右の者よ、名を何と申す?」
右?俺の右にはシューダさんしかいないけど?…あっ、王様から見て右ってこと?
そうか!だからシューダさんは俺の名前を聞いてきたのか!
数十分前
「城に行く前に名前を教えてもらいますか?」
「名前ですか?」
「はい」
「えっと…」
あれ?俺の名前…俺の名前ってなんだ?名前だけは覚えてろって姉ちゃんに言われてたのに!
「あの〜大丈夫ですか?どこか具合が悪いとか?」
「……分からないです」
「分からないというのは…?」
「俺の名前が……」
「えぇ!?」
分からない。思い出せない、俺はなんだ?何故分からないんだ!なんで出てこないんだ…?くっそ、思い出せ!俺の名前は……名前は…
「ごめんなさい……思い出せないです…」
「そう…ですか」
すまない気持ちがあるな…もしかして、あの魔法陣の衝撃で忘れた!?そんな馬鹿な…ことないよな?
その時、女性騎士が口を開いた。
「ん〜では、私が付けましょうか?」
おぉ、ありがたい。名前がなかったら、俺、多分人間じゃないな、てか生き物ですらないからな……いや、生き物ではあるか。
名前がないとこんなに不便なんだな。
う〜ん、未だに名前が出てこない。一文字も出てこない。
そう思っていると、女性騎士が名前を決めてくれた。
「よし!レルア!今日からあなたはレルア・カミアスです」
「は、はい!ありがとうございます」
現在
「レ、レルア・カミアスです」
「レルア・カミアスか…ふむ、ここではあまり見ない顔つきだね。遠くから来た旅人かな?」
旅人?まぁ、ここはうん、と言っておこう。なんか怪しまれそうだし。
その後、王様に迷子になった経緯やどこで迷子になったなどを詳しく説明した。
城には迷子センターのようなものはなかった。
俺は王様とのやりとりを終え、シューダさんからこの王国の地図をもらった。これで道には迷わないとのこと。
「これで大丈夫ですね」
「はい、ありがとうございます」
それとここはクレキス王国というらしい。
やっぱ、あれは聞き間違いじゃなかったのか…
クレキス王国は他の王国と比べ…領地だっけ?まぁ、とにかく土地が広いらしく、毎年迷子になる人がいるらしい。
地図をもらったはいいが…俺、地図の見方分からないんだな。地図を回したり、右から見たり、左から見たり、裏から見たりした。
「ど、どう見ればいいんだ?こうか?こう?」
「この向きで固定ですね」
あっ、こうなのね。
「では、私はこの辺りで。また何かございましたら、私と同じ鎧を着ている騎士がいますので、お声かけください」
「あぁ…はい…」
あぁ、行ってしまう。俺はまだ聞きたいことが山ほどある。俺は去っていくシューダさんの手を掴んだ。
「あ、あの!俺まだ聞きたいことがあって!」
「は、はい!」
シューダさんは急いで振り返った。
「えっと、ここってクレキス王国って言うんですよね?俺、初めて聞いて…ここのことまだ知らなくって」
俺はシューダさんからクレキス王国の事を聞いた。
「わかりました、教えましょう。ここはクレキス王国。それは昔、「南ノ国」アルパイス帝国との戦争。その名も帝王対国戦争。その戦争で圧倒的に勝った国です。まぁ、昔と言っても、約1000年ほど前ですけどね」
へぇ〜…ん?1000年前?…あれ?今って何年だ?
「今って何年ですか?」
「今は3200年ですね」
3200年!?
いやいやと思いながら、俺は横目で大きな看板を見た。そこにはデカい地図が貼ってあった。
多分、世界地図だろう。俺はその看板に走った。
(これって北海海?)
でもなんか違くね?北海道の下ってなんか長いのあったよな?えっ…となんだっけ?本…本なんとかだった気がする。
それがあったであろうところは、あるで陥没したようになっていた。
「なんだこれ…」
「どうかしましたか?」
「これって北海道ですか?」
「ほっかいどう…というのはよくわかりませんが、ノーズラインと言います」
ノーズ…ライン?勉強についていけてない俺でもわかる。そんな言葉聞いた事ない。それに俺が知ってる北海道とは形も少し違う。あと、なんかデカくね?
「ノーズライン…か。初めて聞いたな…」
その時、シューダさんはある事に気づきた。
「そういえば、何も持ってないですね」
「え?」
確かに俺は今、ただの学生服だ。ポケットに手を入れても何も入ってない。
「私が何か買ってあげましょうか?」
「本当ですか!?」
なんて優しい人なんだ。俺は看板のことなんてすっかり忘れて、シューダさんについて行った。
あっ、さっきの飲食店だ。飲食店を通り過ぎ、左を曲がるとそこには武器屋らしい建物があった。
「此処は武器屋です」
武器屋に着いた。店内にはそこら中に剣や盾、槍などが飾ってあった。中にはハンマーや斧、鎌など色々置いてあった。
「いらっしゃい、シューダちゃん…ん?そっちの兄ちゃんは?」
「この方はレルア・カミアスと言います」
俺はぺこりと礼をした。俺でもさすがに礼儀は知ってる。挨拶をしたら、礼をする。基本中の基本だな。
「おう、じっくり見てってくれよ」
俺はさっきから気になっている剣に近づいた。すると視界にサークルが現れ、剣に標準が合わさった。
うわ!なんだこれ!?
その剣の名はブラッティソードというらしい。
名前からして黒い剣だ。剣の持ち手は黒く、どこか厨二心をくすぐられそうだ。刃も黒く輝き、カッコいい。形はダガーみたいに短い。
「どれぐらいだろう?」
ブラッティソード 20金貨
いや、高すぎん?金貨って多分結構レアだよな?俺が一人でクレキス王国を探索してた時も金貨を出してた人はあまりいなかった。それに金貨って……名前からしてすごそうだ。
「兄ちゃん…そいつぁ、やめときな」
「え?」
「そいつぁ、通称呪いの剣っつぅ異名があるんだ」
呪いの剣?確かに見た目から禍々しいけど、でもなんか気になる。こう…なんと言うか…変な気分だ。
「なんで呪いの剣なんですか?」
「昔の言い伝えでな、その剣を握ったものは一夜にして謎の死を遂げるって言われてんだ」
謎の死?
「その謎の死が呪いの正体なんですか?」
「分からんが、皆そうだと思ってる」
よく分からないが…でもこれがすごく気になる!他の剣もカッコよくていいんだけど…そもそもなんでここにあるんだ!?
「そんな危ないものがなんでここに!?」
「危ないからこその価格だ。20金貨なんて普通は出せない価格だ。他の武器屋に移転を頼んだんだが、全部断られちまった」
「本当にそれにするんですか?」
「確かに死ぬのは怖いですけど、死ななければ大丈夫なだけの話なので」
「そう…ですね……あはは」
シューダさん、少し引いてる…?なんかごめんなさい!
「本当にこれにするのか!?どうなっても知らねぇぞ?」
「はい、覚悟は出来てます」
ん?……違う!お金払うのシューダさんじゃん!
俺、自分がバカなこと忘れてた。20金貨を出すのシューダさんなのに何を決めつけてるんだ!?何が「覚悟は出来てる」だよ!めっちゃ恥ずかしいんだけど!
「そこまで言うならわぁった!ほれ、持ってけ!」
「え?」
武器屋の店主さんはブラッティソードを俺に渡した。
「兄ちゃんほど真っ直ぐな目は見たことねぇ。兄ちゃんなら呪いなんてぶっ飛ばしちまうだろうな!」
俺は店主さんからタダでブラッティソードを貰った。そうだ、呪いなんてしらねぇよ!俺はこの剣と共に旅をするんだ!
まぁ、目的決まってないけど。
ブラッティソードを手に入れました
「あと防具ですね」
防具か…俺はあまり身体のトレーニングとかしてないからな、鎧とかだと動かないかもしれない。
「あの防具だと重いのでなんか服とか無いですか?」
「なら、此処とかどうですか?」
案内した場所は、防具屋だが服なども置いてある場所だ。色んな物が売ってるな。中には仮面など置いてあった。アクセサリーやらが多く、雑貨屋みたいだ。
そこで白いパーカーと普通のジーンズを買った。左の肩とお尻のポケット辺りに小さくだがこの王国のマークが描いてある。
ホワイトクロウズ、シアンジーンズを手に入れました
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、良いんですよ」
シューダさんまじ女神か?
今日はシューダさんに色々買ってもらった。なんか申し訳ないな……でもこれで少しは強くなったのかもしれない。これでこの世界でも生きていけるかもな…
初めて小説を書くので温かい目で見てください。