第八話 盗聴を終えて
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、ユミリアちゃんが盗聴を終えてからのお話ですが……うん、まぁ、苦労人が一人、居ますわなぁ。
それでは、どうぞ!
「あっ、お姉様! やっと出てきましたね!?」
ドームから出ると、なぜか、私は騎士達に囲まれていた。しかし、私の姿を見るや否や、ビクッと肩を跳ね上げて、騎士達の後ろに下がらされていたらしいミーシャに道を譲る。
「これは、何事?」
「何事? じゃありませんよっ! こんな場所に謎のドームができたら、皆気になるに決まっているでしょうっ! 特に、ここ、お城なんですよ!? 警備の面からも、すぐにこれが何か明らかにしないとってなりますっ」
「言われてみれば、そうかも」
神様生活が長かったせいで、どうやら、配慮が欠けていたらしい。次からは、目に見えないように透過させるなり、空高くに浮かせるなりすべきかもしれない。
「……お姉様、とにかく、大人しくしていてください。常識をどこかに落っことしてきたのはよぉく分かりましたから」
「? これでも大人しくしてるつもりではあるけど……まぁ、そうね。でも、先にイリアスと娘達を回収してきても良いかな?」
「まぁ、そのくらいなら。あっ、でも、私も同行しますからねっ」
フンスと鼻息荒く宣言するミーシャに、騎士達は『王太子妃様!?』と声をあげるも、ミーシャ自身が意識を変えるつもりはないらしい。
「そういえば、忘れてたね。アルト様との結婚、おめでとう。お祝いは、とびっきりのものを用意するからね」
「とびっきり……いえ、お気持ちだけで十分です。お姉様のお祝いは、何だか受け取ってはいけないもののような気がするので」
「? そんなことはないと思うけど? きっと、役立つものを作ってみせるから!」
「…………とりあえず、行きましょう?」
アルト様とミーシャが結婚したという情報は、実は、イリアスとスーリャ様の会話の中にあったものだ。ちゃんと和解できた二人の様子を確認して、ぎこちないながらも世間話までできるようになった二人の姿にほっこりしながら、結婚祝いをしていないことに気づいたのだ。大切な友人なのだから、ここは奮発しないといけないだろう。
頭の中では、神界で取れる高級素材を思い浮かべ、色々とピックアップしていく。
(ウロボロスの核とか、結構きれいだから、ちょっとお願いして抉りだしておこうかなぁ。あっ、でも、魔法耐性はそうでもない? ユニコーンの角とかは、病に効果があるから、いくらか持ってるんだよね。そっちを粉末にして使ってみるか。あとは、創世神様に、ちょっと核を削ってもらうとかはどうだろう? 結構痛いらしいけど、考えてみれば、迷惑料もらってないし、イリアスの家族のことなんだから喜んで協力してくれるよね?)
「お姉様? ほんっとうに、お祝いはいりませんからね?」
「うん……」
ミーシャが何かを言ったのに返事をしながら、イリアスの前に、フィオナが居る場所が近かったため、そちらへと向かう。しかし……。
「あれ?」
「…………居ません、ね」
そこには、フィオナの姿も、ルクレチアの姿も、そして、鎖でグルグル巻きにされていたはずのラルフの姿もなかった。
ミーシャちゃん、多分、今真っ青なんじゃあないかなぁ?
だって、ルクレチア(元邪神の神様でイリアスの双子)とフィオナちゃん(お姉様の血縁?)とラルフ(誰か分からないけど、鎖で巻かれて連れられて……まともじゃないはず)って思うはずですからね(笑)
さてさて、どうしよっかなぁ♪
それでは、また!