第三話 再会は、邪魔される
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私が、素直に感動の再会をさせるわけがない。
と、いうわけで、邪魔が入りまーす♪
それでは、どうぞ!
やっと、夢にまで見た、お姉様が目の前に!
そんな思いを抱いていられたのは、お姉様に話しかけようと口を開くまでだった。
ズドォォンッ!!
「…………」
「…………」
私の口からは、きっと、再会を喜ぶ言葉が出るはずだった。そして、お姉様からもきっと、似たような言葉が帰ってくるはずだった。しかし、声をかけるより先に、何やら背後で凄まじい轟音が響いて、その場の誰もが硬直する。
(え? お姉様、何かしました??)
騒ぎの中心イコールお姉様という方程式が頭の中にあった私は、咄嗟にそんなことを考えると、どうやら顔に出ていたらしく、お姉様はブンブンブンブンと首を横に振る。そうなると……。
「行きましょう、イリアス」
「うん、そうだね」
「あっちは……側妃様が居る場所!?」
「「えっ!?」」
何が起こっているかは分からないものの、異常事態だと認識した私達は、とりあえず、現場に向かうことにする。ただ、音の発生源と思われる場所が側妃様が現在療養している離宮だったために、お姉様達の表情は険しくなる。
「お母様、『そくひさま』ってなぁに?」
「後で説明するよ。だから、ちょっとここで気配を消して待っててもらえるかな?」
「うん、分かった!」
お姉様は、お姉様によく似た少女にそう告げるのだが……。
「えっ? お母様……?」
あれから三年。それを考えると、お姉様の年齢は十五歳のはずだ。それなのに、今、お姉様を『お母様』と呼んだ彼女は、お姉様に近い年齢に見える。
「それも後。とりあえず、急ぐよ」
そんな言葉とともに、目の前の景色が変わる。
(あ、転移)
そう思ったのも束の間、次の瞬間、目に飛び込んできた光景に、頭痛を催すこととなる。
「我らはブラッドローズ! 今、ここに宣言しよう。我らは、穢れた女を粛清するっ!!」
そんな口上を述べるのは、赤いマントに赤い目元を隠す仮面を被った集団。もはや、何のコスプレ集団かと言いたくなるような有様ではあったものの、多分、というか、十中八九、彼らは真面目にこの格好をしているのだろう。ただ、いただけないのは、彼らが粛清しようと剣を向けるのがスーリャ様ということ。対するスーリャ様は、体調が悪いながらも、侍女達を庇いながら、テロリストに屈するものかと彼らを睨んでいる。何が何だか分からないものの、とりあえず、無力化、及び、拘束と尋問をするべきだろう。そう考えて、一歩、足を踏み出そうとしたところで。
「そんなに赤が好きなら、これでもどうぞ?」
お姉様の声とともに、赤い何かが、彼らの顔にそれぞれ噴射される。
「「「「ギャアァァァァァアッ」」」」
私の予想が確かなら、あれは、きっと、唐辛子とかのスプレーだと思われる。そして、お姉様が動けば、当然、もう一人も動くわけで……。
「罪のない人間を殺してきたお前達に、慈悲はない。悶え苦しめ」
「「「「ギョギャアァァァァァアッ」」」」
彼らの背後に現れたのは、黒い影……というか、あれは、怨霊だ。それが、彼らに何らかの苦しみを与えているらしく、彼らは次々に倒れていく。ひとしきり悲鳴が響き渡ったかと思えば、意識を失ったのか、ビクンビクンと痙攣した状態で、辺りは、とても静かになった。
悪役の扱いが酷い?
いやいや、これが、通常運転です。
それでは、また!