第百二十五話 黒
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……よし、とりあえず、この作品が終わるまで、この作品の更新を中心にしましょう(それでもきっと、毎日とはいかないと思いますが……)
それでは、どうぞ!
かつての神々が争った後に残った、破滅の力。様々なモノが混じり合ったがゆえに、対処ができなくなってしまった破壊の権化。
まともに思考を働かせ始めた私に、アメリアさんは、現在の状況を教えてくれました。
「正直、ユレイラ様でもこれへの対処法はまだ見つけられていない状態です。様々なデータをとっても、何もかもが歪に変化を続けている様子で、どんな方法も受けつけないとのことです」
「変化、ですか……」
「はい。規則性もなく、ランダムな変化が続いているようで、様々な実験を繰り返しても、どうにもならないご様子で……」
アメリアさんの言う言葉に、私は、眼下に広がる黒へと視線を向けます。
「……本当に、何もかもがランダム、でしょうか?」
「確かに、それはおかしいよね」
私とラルフの言葉に、アメリアさんは否定の言葉を紡ごうとしますが、その前に、私はアメリアさんに黒を見るように促します。
「アメリアさん。見てください。今、アメリアさんの目に見えているのは、何色ですか? そして、これはどういう効果をもたらしますか?」
「え? えぇっと、黒、ですね。そして、効果は全ての破壊です」
「はい、そして、この状態に変化は見られますか?」
「……っ!?」
私が何を言おうとしたのかは理解したのでしょう。アメリアさんは、一瞬目を見開いて、それでも、すぐに肩を落とします。
「それが分かったところで、我々に成す術など……」
「いや、あるよ」
「えっ……?」
アメリアさんもですが、きっと、ここの神々も、お母様も、難しく考えすぎなのです。きっとこれは、私とラルフならば対処のできる問題。冷静に観察ができたのであれば、きっと、それに気づくことは可能だったはずなのです。ただ、それをできる存在が、恐らく、この場には私とラルフしか居ないとは思っていますが……。
「アメリアさん、この黒を見て、どう思いますか?」
「どう、ですか?」
「はい、アメリアさんは、これを『怖い』と思っているのではありませんか?」
「それは、当然そう思っておりますよ」
「……いいえ、当然ではないですよ」
「……? どういう意味ですか?」
破壊をもたらす存在を恐れるのは当然のこと。ですが、アメリアさんの言動は明らかにおかしいのです。
「では、アメリアさん。アメリアさんはなぜ、この場にいられるのですか?」
「……え?」
わけが分からないといった様子のアメリアさんに、私は丁寧に説明することにします。だって、そうしなければきっと、この呪縛は打ち破れないのですから。
「ねぇ、その恐怖心は、本当に、その程度ですか?」
さぁて、と。
フィーちゃん達には頑張って状況を打開してもらわなきゃなんですよねぇ。
それでは、また!




