第百十七話 思惑
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今回は、ひっさびさにフィオナちゃん視点です。
それでは、どうぞ!
ご挨拶、程度の嫌がらせを終えた私は、とりあえず顔を見せるべく、オモチャの虫にまみれて気絶した二人の元へと向かいました。
そう、あれは、オモチャであって、本物の虫ではありません。ちょっとリアリティを追求して、ちゃんと破損したら粘液が出たり、寄生虫らしきものがウネウネしたりなんて状態にはしてあるものの、本物ではないのです。
「さすがに、本物の虫を投入して、それらの虫が惨殺されるのは可哀想ですし、ね?」
クスリ、と扉の前で嘯いた私は、縦横無尽にかける虫達の起動スイッチをオフにするべく手を翳し、辺りには光が満ちます。……彼女達が虫の落下が止んだと思って見上げた時に降り注いだ光は、当然のことながら、虫達の起動スイッチをオンにするためのものです。
「お母様の嫌がらせグッズ、大活躍ですね」
いくらか壊れたものもありますが、とりあえず、全てを異空間に収納して、ビクビクと痙攣して、白目を剥いて倒れる二人を観察します。
「……? 情けないですね。この程度で精神崩壊を起こすなんて。あぁ、ですが、ちゃんと治療はしますからね?」
完全に瞳の光を失い、ダラリと涎を垂らす情けない男神に、私は希望を与えておきましょう。
「こちらは……一応、ギリギリで堪えましたか。ですが、意図したものではないかもしれませんね。これからの嫌がらせはさらに過酷なものになりますが、大丈夫なのでしょうか?」
ピンク頭の女神は、それこそ、ビクビクと痙攣していましたが、どうにか、その精神は崩壊に至っていないと理解できました。ただ、ここからが本番なのです。だって、悪役令嬢は、最初はそんなに大した嫌がらせはしないものです。段々とエスカレートして、最終的に命を脅かされるという流れだったはずです。当然、ここからが面白いところであって、こんなところで折れてもらうわけにはいかないのです。
「……まぁ、情報はたっぷりと引き出させてもらいますけど、ね?」
私は罪悪感、ラルフは純真を司り、ロードさんは竜人を、エイリーンさんは山を司る。つまりは、私達のメンバーで諜報に適した神は居ません。もちろん、新たな仲間として加わった嗜虐を司るレレアは私の大切な仲間ではありますが、あまり、こちらに干渉しない方が良いかもしれません。そしてそれは、あのデ……デクノボウの父親である全能を司る神も同じこと。
全能の神には、主に情報面のサポートを頼んでいましたが、やはり、本来の諜報の神ほどの力はありません。ですから、私はこうして直接、情報を得ようと思ってここに来たのです。
「さぁ、目を覚ましてください、ね?」
そうして、私の思惑通り、切羽詰まった彼女は、必死に私の足に齧りつきました。
……フィーちゃん、とっても黒いです(笑)
いや、でも、このくらいの方が格好いいですよね♪
それでは、また!




