第百六話 嫌がらせの日々6(ピンク頭視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
いやぁ、何というか、ざまぁとはまたちょっと違う状況でありながら、それに近いものが書けてる気がします。
それでは、どうぞ!
この時、私は失念していた。これを仕掛けたであろう神がどれだけ悪意に満ちた存在であるかを。たかだか、私物が拷問らしきものを受けて微妙な気持ちにさせるだけを目的にするような生温い存在ではないということを。……踏み出した先にあるのは、悍しいまでの悪意だけだということを。
『さぁ、吐け。吐くんだっ! お前達は知っているだろう? 主の秘密をっ』
行動を起こそうとしたその矢先に、何者かの声が響く。そして、それは私の見間違いでなければ、あの真っ黒な、性格の悪そうなスライムから発せられているように見える。
(いや、まさか、そんなわけ……)
しかし、ここで、私は最初にこれらを見た時、拷問のようだと思ったことを思い出す。しかも、道具達だって声をあげているのだ。つまり……。
『ぴぎぃっ、い、言います! 主の今日の下着は上下ともにピンクですっ!』
そんな体操着の声に従って、周囲の男神の視線が私に集中する。当然、それは、ピンクの下着を想像したものであり、不快極まりない。
「っ、なっ……」
予想の斜め上を行く展開に足を止めた私は、直後、何が何でも進むのであったと後悔する。
『言いますぅっ! 主が関係を持った男は星の数ぅうっ!!』
「「「「「え゛?」」」」」
「ち、違うわ!」
滅茶苦茶なことを発言した教科書に、疑いの目を向ける神々へ、必死に弁解してみせる。
(たかだか百や二百で星の数なわけないでしょうっ)
内心ではそう思っていても、今の私は清楚なヒロインだ。どうにかして、今の話は事実無根だと思わせなければならない。
「わ、私は、そんなこと、したことないですっ! まだ、付き合ったことだってなくて……それなのに、こんな……」
目を潤ませてか弱いヒロインを演じる私は、まだ、拷問で何も言っていない道具があるということを、もっと重視すべきだった。
『言いますっ! 主は嘘つき! 男なんてチョロいと普段から見下して、ノートに日記を書いてますーっ!!』
と、そこで、私のマル秘ノートが、なぜか、脳筋の上に降ってくる。
「わっ、何だ、これ……?」
「っダメ!」
絶対に見られることはないだろうと、本心を記した日記。それが、一番見られたくない攻略対象者の手によって暴かれる事態を、私は、どうにか止めようと踵を返すが、間に合わない。
「……騙してた、のか……?」
どこを開かれたとしてもアウトであろう内容を書き綴ったそれを、彼は、開けて、読んで、絶望の瞳をこちらへ向ける。
「ち、違うの! 私……これは、きっと、誰かが私を貶めようとはしてるのよっ」
何一つとして外れていない道具達の証言。それでも、この時はまだ、挽回の余地があると思っていられた。
拷問なら、やっぱり、情報を吐かせないと、ですよね♪
それでは、また!




