第百三話 嫌がらせの日々3(ピンク頭視点)
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嫌がらせは続きますよ〜♪
それでは、どうぞ!
(な、によ、これ……)
たった一枚の写真。しかし、そのインパクトはあまりにも強烈だ。そして……。
「「っ!?」」
写真に呆けていた私達の前に、ドサドサっと落ちてきたものがある。何もない空間から、私達がどちらも感知できない状態で送り込まれたソレ。
「ひっ」
「う、うわぁ……」
そこにあったのは、様々な角度から撮られたであろう私の写真だった。ザッと見ただけでも、三百枚以上はありそうな量を前に、私はさすがにうろたえる。
「っ、ちょっと、これ、俺も写ってる!?」
その三百枚以上の写真は、全て、汚液を被って気を失っている私の写真。しかし、なぜかそこに、救出に来たであろう目の前の神の姿まで写っていた。
「あ、あんた。気づかなかったの!?」
「知らないよっ、こんなのっ!」
先程までは一応、他人事だったコイツも、今は当事者として青ざめている。
「……ねぇ、その、悪役令嬢って、普通の神なんだよね? 何か特殊な……それこそ、上位世界の神に匹敵するような化け物じゃないよね?」
「し、知らないわよっ! そもそも、この世界にそんな神は居ないはずよっ!」
そう、一応、下調べはしているのだ。そして、舞台をどんな風に整えて、どんな乙女ゲームの内容にするのかを厳選して、全てを洗脳したのだ。だから、そんなイレギュラーは存在しないはず、だった。
「や、やっぱり、俺、転校生は止めておく」
「ちょっと!? 今更逃げ出すの!?」
「だって、ヤバいじゃんっ! これ、いつでも脅迫できるって意味以上に、いつでも殺れたってことの証明じゃんっ!」
「っ、けど、もうゲームは止まらないわ。転校生になるなんてことはないにしても、あんただって、関わらざるを得ないのよ」
ゲームは始まってしまった。このゲームは、ヒロインが最終的にハッピーエンドなりバッドエンドなりを迎えるまで終わらない。それが、ゲームを司る神に協力を仰いだ結果だった。
「ね、ねぇ、バッドエンドって、どうなるの?」
「それは……確か、私達全員の破滅だったはずよ」
ゲームには勝ち負けが必要になる。だから、ハッピーエンドを作るなら、バッドエンドも用意しなければならなかった。そして、ハッピーエンドのルートを大量に用意した結果、たった一つのバッドエンドは、私達全員の破滅以外にあり得ないなんて状態になっていたのだ。
「……ちなみに、バッドエンドの条件は?」
「……ヒロインが、嫌がらせで致命的なダメージを負ったり、心が折れたりして、立ち向かえなくなったら、バッドエンド、ね。後は、出席日数が足りないとか……」
上位の神であるという自負が、この下位世界の神に自分を傷つけるような嫌がらせが行えるはずもないという判断を行わせていた。そのため、今の私は、嫌がらせに立ち向かうヒロインであり続けなければならないという恐ろしい状態になっている。
「「…………」」
恐らくは序の口であっただろう嫌がらせ。しかし、それだけでも、ダメージは凄まじい。そして、この状態で引き込もることも、出席日数の関係で不可能だったりする。
私は、絶望的な気持ちで、悪役令嬢に怯える日々を送らなければならないことを悟った。
次の嫌がらせの元は何でしょうね?
1、陰口
2、私物をズタズタに
3、下駄箱の画鋲
それでは、また!




