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執行本部へ

前回の戦闘で不明のデータを再生し終わった主人公は、工場屋上までマークに連れ戻される。

 目が覚め、吹き付ける風に肌寒さを感じる。辺りを見渡すと陽は微かに空を照らしている。どうやら屋上まで戻って来たようだ。


 「途中で気を失いやがって、回収地点まで連れて来てやったぞ」


 マークの声を聞いて、ひとまず胸を撫で下ろした。無言の私に彼は心配げに顔を覗く。


 「立てるか?」

 

 私は、自身が覆う気怠さに打ち勝てず、彼の差し出された右腕を掴んで身体を引き揚げてもらうことにした。


 「ありがとう」


 お礼を言うと、彼は、よほど嬉しかったのか私に纏わりついた埃を叩いて落としてくれた。


 「そうだ、執行指揮官が手配した迎えのヘリがもう直ぐ着く予定なんだ。歩かないで済むぞ」


 「執行指揮官」この言葉を聞いただけでも寒風に当たる以上に体が震えてしまう。

 

 「大丈夫か?まだ調子が悪いなら、休んでても良いぞ」


 自分で立たせておきながら、次は休めと言うなんて勝手な男だ。


 「バランサーに不調は無いから大丈夫だ。ただ、戦闘用魔力を使い過ぎて脱力感がある」


 「たとえ、戦闘用魔力を全消費しても活動に支障は無いはずだが、本部に帰って補給をした方が良いだろう」


 そう、戦闘用に造られた我々には、他の同機とは別の魔力源があり、0に成っても停止する事は無い。また、全活動を担う魔力は、大破壊により崩壊した西区以外の全区(東区、南区、北区)に設置されたタワーの頂点部にある大魔石によってアンドロイド達へ平等に配られている。


 「そう話してたら、迎えが来たようだ」


 空間を切るプロペラの回転音が聞こえると同時に彼が上を見上げる。真似して首を上げると、そこには空に浮かぶ広大で透明な要塞と我々が乗るであろう、ちっぽけなヘリコプターが存在していた。


 エンジンの回転を落として降下して来るヘリの中に執行指揮官が腰を曲げて座っていた。どうやら彼には、あの中が窮屈なのだろう。


 無事に着陸し、奴が姿を表すと私の視覚から陽光が消えた。

 

 彼は、身長が2m以上で、爪楊枝の様に細く、頬が痩けている為に無気味な様相で近寄り難いのは、昔から変わっていない。


 「アリス執行官、使命行為ごくろうであった」


 今にも消えてしまいそうな声で褒められても何の感情も湧かない。そもそも私の任務は……

 

 「本部に帰還したら、その足で司令室に来る様に」


 そう付け加えて、彼は、すぐさま踵を返しヘリへ戻って行く。


 その後を追って、私とマークもヘリに乗り込み、ローターの回転が上がると共に機体が浮上する。

  

 そして、使命執行部がある東区タワーへ飛んで行った。

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