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プロローグ
ここは、花で溢れる静かな店、喫茶ペチュニア。決して有名なわけではなく、行列が出来たり、満席になるようなことはないが、だからこそ、客と深い関わりが持てるし、落ち着いた雰囲気の中で自家製ハーブティーを楽しんでもらうことができる。
僕の名前は花村紫音。実家が花屋だったため、幼い頃から花に囲まれて育った僕は、花が人の心に安らぎをもたらしてくれることを知っている。僕はそんな安らぎと癒しの空間を少しでも多くの人に提供できたら、とこの店を始めた。そういう訳で、この店に来る客は、ちょっぴりお疲れな人が多い。でも大丈夫、花と僕のハーブティーが、そっと心に寄り添うから。カランコロンとドアが開く。ペチュニアの花言葉は、"心の安らぎ"。さぁ、物語の始まりだ。