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第2話 新しい生活

ピピ、ピピ、ピピピピ、ピピピピ……


携帯の目覚ましの音が鳴る。もう朝か。ん? この天井は…あ、二郎先生の家! というか佐藤くんの家!! そういえばそうだ。挨拶した後、緊張しすぎて何もできなくて、とりあえず貸してくれた部屋に言われるがまま入って…それでそのまま寝ちゃったんだ。とりあえず朝ご飯の準備しなくちゃ。目をこすりながら急いで起き上がる。


リビングには朝日がキラキラと差し込んでいた。ダイニングテーブルでは佐藤くんがパソコンをカタカタ鳴らしている。何か話しかけるのも緊張しちゃうな……。


「えっと、二郎先生、おはようございます」

私の声で振り返った佐藤くんはメガネをかけている。

「おはよ」

いつも通り眠たそうな顔なのに二郎先生だと知ったからなのか、いつもよりカッコよく見える。

「あ、じゃあ、朝ご飯作りたいんで台所借りてもいい? ……ですか? 」

「おう。あ、あと敬語じゃなくていい。今まで通りでいいから」

「了解でs……じゃなくて了解! 」

そういうと佐藤くんはクスッと笑ってまたパソコンをカタカタし始めた。


今日の朝ご食のメニューは、無難に目玉焼きとソーセージと野菜スープと私の大好きなクロワッサン。

ジュージュー、トントントントン……

カタカタ、カタッ、カタカタカタ……

朝食を作る音とパソコンを打つ音だけが聞こえる。とても心地いい。


そして、ちょうどご飯が出来上がった時、佐藤くんはパソコンを閉じた。

「えっと、寒川さん」

「はい。あ、さくらでいいよ! 」

「えっとじゃあ、さくら……さん」

「はい! 」

「今から寝るから、30分後にアラームが鳴るようにセットしておいてくれる? 」

「え!?今からまた寝るの!? 」

「あー、いや、昨日学校で寝てから寝てない。じゃ、よろしく」

そう言うと佐藤くんは自分の部屋に足早に歩いて行った。ということは徹夜で執筆してたってこと!? あ! だから、毎日学校で寝てるんだ……。


◾︎ ◽︎ ◾︎ ◽︎


そして、30分後。


ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……


目覚ましは、佐藤くんの部屋のドアの前で鳴り響く。まぁ、そこに置いてたんじゃ、そりゃ起きないよね。……仕方ない。目覚まし持って佐藤くんの部屋に入ってみよう。私が個人的に興味があって部屋に入るのではない。あくまで、仕方なく、だ。


トントン


「失礼しまーす」

この部屋もこれまた大きい。物は意外と少なくてスッキリした印象だ。勉強机の上にはたくさんの原稿が置いてある。たくさんの入賞トロフィーは、部屋の角に並べられていた。やっぱり、すごい人なんだなぁ……。そして、ベッドの横の壁には、ネックレスが掛けられている。大きなダイヤが1個ついていて、見る角度によって色がガラッと変わる。これ、ほんとにダイヤ? 触ってみようと思って手を伸ばすと大きな手に捕まえられた。佐藤くんが真剣な顔してこっちを見つめてる。

「なんでここにいるんだよ」

「えへへ」

心なしか鼓動が早い。

「ていうか、時間大丈夫? 」

手が離れ、時計が指さされる。もう8時だ。

「もうこんな時間!? 早く行かなきゃ! 佐藤くんは? 行かないの? 」

「俺はご飯食べてから行く」

「そっか! じゃあ、お先! 行ってきまーす! 」

「行ってらっしゃい」


◾︎ ◽︎ ◾︎ ◽︎


そんなこんなで、結局、朝学習には遅れてしまったけど、なんとか授業には間に合った。急ぎすぎて、佐藤くんの家の前で盛大にコケちゃったのは内緒にしておこう。佐藤くんは1時間目の休み時間になってやっと来た。


「ねぇねぇ! さくらー! 二郎先生の家はどうだったの!! 」

ルンルンで聞いてきたのは愛梨。

「ふふ、よくぞ聞いてくれました! 実はね二郎先生ってなんと、さt……」

「さっ、さくらさん!! 」

佐藤くんが私の口を手で塞いだ。

ワッ!! ンーンー!?

「ちょっとこっち来て!」

私は口を塞がれたまんま教室の外へ連れて行かれる。


ふわっとクロワッサンの香りがした。



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