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天才剣士は異世界でも人見知り。  作者: 五輪 亮惟
第二章 第二節、五稜局編
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75話 影星、吹き返す。

っと、目が覚めた。あの模擬戦は戦闘続行不可能で僕の負けだろう。師匠以外の人に負けたのって初めてかも知れない。だがまずは……………


「知らない天井だ」


「さっきまでいましたよね?」


この台詞、一度は言ってみたかった。前世で気絶した時に言おうとしたら師範代にめっちゃ睨まれて言えなかったからね………。あとイヴ、ツッコまなくて良いよ。


(………ん?なにこれ?)


頭の後ろが妙に温かくむっちり?している。普通の枕ならばまずあり得ない感触だ。


(目の前にはイヴェリアの顔………………あ)


「おはようございますイネス殿。床で寝かせるのはどうかと思ったので………その………」


膝枕をしてくれた、と。


「あ、ありがとう………」


滅茶苦茶嬉しいのだが長く居られると邪魔だろうから急いで退いた。するとイヴは少しだけ残念そうな顔をした。なんでかな?


「んおっ……とと」


低血圧で立ちくらみを起こしてしまったが、ここでハーレム主人公の様にラッキースケベとやらを起こす僕ではない。無理やり足を立たせて踏ん張る。


「いやぁ派手に負けちゃったね〜イネス!」


負け惜しみだがやり用はあった。それも沢山。加速魔法でイヴを飛ばしてそのまま追撃すれば良かったし、蛇ちゃんの避け方も本気を出せば余裕で躱せた。やらなかったのは…………なんでかな?


「たまたまですよ氷冴さん」


「イヴェリアのほうが強い」


勝負は終わっている。僕は負け、イヴェリアが勝った。どちらが強いかは火を見るより明らかだ。


「いえ!イネス殿のほうがつよっ………てなんで知ってるんですか!?」


「………?」


なんのことかよく分からない。


「私の名前ですよ!あ、もしかして決闘を見てたりとか…………しました?」


正解なのでコクっと頷く。僕だってまさか本名を略して紹介してくるなんてびっくりした。


「す、すいません。間違えて名乗ってしまって…………訂正するつもりだったんですけど、中々言い出すところも無かったので………」


あ、やっぱり間違えたんだね。意外と抜けてるのかな………?


「えぇ!?イヴ、イヴェリアっていうの!?」


「ま、まぁ………はい」


氷冴やみんなの中ではイヴで定着しているので、ちょっと違和感があるかも知れないが。


「と言っても、イヴとイヴェリアのどちらでも良いんですけどね。学園にはどちらも登録しているので」


「ち、ちなみになんで?」


「試験申し込みと入学書類の名前がその……………イヴとイヴェリアになっててですね………」


恥ずかしそうに言った。っていうかそんなことあるの?本名を略して書いちゃったわけでしょ?かなり天然なんだねイヴェリアって。


「ふぅーん………ま、ボクはイヴって呼ぶよ」


「好きに呼んでくれて構いませんよ」


「じゃあ僕はイヴェリアって呼ぶ」


名前を略すのはシルヴィだけで十分だろう。なんか被ってる感があるし。





「えぇ!?イヴェリアっていうの!?」


「はい………隠しててすいません」


「あ、いや怒ってないから大丈夫だけど………」


部隊室に戻り、課題を解いているシルヴィ達に名前のことを告げた。シルヴィはもちろん綾桐も驚いてきた。クレアは無表情だけど。


「でも、特に対応を変える事はないんでしょ?」


「はい。なんと呼んでもらっても構いません」


まさかイヴェリアが「イヴェリアって読んで下さい!」とは言わないだろう。シルヴィの場合はシルヴィ呼びで強制だったけど。


「わたしはイヴのままで」


シルヴィはイヴ呼び。


「………私はイヴェリアで呼ぶわ。本名なのだし」


クレアはイヴェリア呼びだ。シルヴィもシルヴィア呼びだよね。


「あたしもイヴェリアでいくわ。略すのはシルヴィだけで良いでしょうし」


綾桐はイヴェリア呼びのようだ。


「あ、あはははは……………」


シルヴィの乾いた笑いが妙に響いた。



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