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天才剣士は異世界でも人見知り。  作者: 五輪 亮惟
第二章 第二節、五稜局編
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74話 水碧、力を絞る。

『模擬戦開始!』


無機質な魔法音声が僕とイヴの端末から鳴り響いた。その音を聞き、イヴは両手に持つ青色をした長剣『水弦(すいげん)』を僕に向ける。そして……………


「水よっ!」


そう叫び軽く斜めに振ると、その剣の刀身は途端に形を崩し、沢山の水でできた蛇の様になって迫って来た。


イヴが前やった模擬戦を見た時に初めて知ったその規格外の大技。その正体は、イヴの持つ『水弦』は刀身が全て水でできているというところだ。故に、刀身はとても綺麗な濃い青色をしている。鍔や柄も水を浸透させて外れにくくしているため、白に青色が混ざっている、らしい。


「よ………っと」


その水の蛇は剣を当ててもすり抜けてしまうので回避するしかない。だが、水の蛇にも弱点がある。


「ふっ………!!」


僕のお腹に突っ込んできた水の蛇を避けると、瞬間的に加速した。その時使った魔法は唯守さんが言っていた高速移動魔法を自分で劣化させたものだ。あ、高速移動魔法と超至近距離攻撃魔法はとっくに完成しました。ですが唯守さんの連絡先を知らないのです。


「ッ!?」


見たところイヴはまだこの様な緊急時での水弦の扱いに慣れていないと思ったからだ。


「……シッ!」


飛び込み際に【一閃】を放つ。この位置と攻撃スピードからして、当たると思っていたのだが………


「っ……冑水(ちゅうすい)!」


そう叫んだ途端、刀が当たる筈だった横っ腹に綺麗な青色の部分鎧が現れた。現れたと言うより水色の鞘から水の様に流れてそれが形成されたのだ。


(えぇ……鞘も水でできてるんだ…………)


キンッと乾いた音がなり、『忍冬』が弾かれた。この体勢はまずいので距離が取りたい。こういうときは、新しい魔法を…………


「【加速魔法】」


刀を離した左手をイヴに突き出して広げる。そして手先に魔力を流し魔法陣を頭の中で展開する。練習時間は短かったがこれくらいの魔法陣なら思い起こすのに一秒もかからない。


「えっ…………んぐっ!?」


一瞬訳がわからないような声を出したイヴ。その数瞬後、彼女は後方に飛ばされた。衝撃魔法で飛ばすのではなく、加速魔法で彼女の後方へ急加速させたのだ。


「いったぁ…………」


急加速したときの衝撃は凄まじく、まともに受け身も取れない。それどころか見動きされとれないらしい。されたことないから分からないけど。


「イネス、今の魔法普通のと違うよね?」


普通の、というのは通常の加速魔法のことだろう。確かにそれに少し手を加えた。発動が少しでも早くなるように無駄な工程を省いたのだ。だってゆっくり加速するとかいらないでしょ?まぁもともと戦闘用魔法じゃないらしいんだけどね。


「さ、流石ですねイネス殿…………ですが!負けませんよ!」


もちろん僕も簡単に負けるつもりはない。それに師匠の目の前でそうやすやすと負けるわけにはいかない。


「では…………水よっ!」


今度は水の蛇が四匹群れて襲って来た。本当にこの蛇ちゃんは厄介だ。斬っても意味がないし魔法にも強い。結界魔法なんかは食い破られてしまう。避けるしか手がないのだ。


「よっ………と。ほいっ……と」


次に来るであろう場所を予測して避けていく。避けるのは簡単でも、相手が賢い相手なら別だ。その点イヴは油断できない。賢い子だからだ。


「くっ…………そこです!」


三匹目が地面に這って来たところを跳躍して避けると、待ち構えていたかのように四匹目が空中で襲ってきた。あ、これまずいやつだ。


「捕まえましたよ!」


はい、捕まりました。今は胴体を食べられている?状態でこざいます。さてどうするか………………


「これで………!!」


その蛇ちゃんは僕を自分ごと壁に叩きつけたい様子だ。そんなことしたら痛いので体をジタバタ動かすが、まったく離してくれない。


「あっ…………がっ!?」


もう無理やん…………と思った刹那、僕はそのまま壁に思い切り叩き付けられた。全身にかなりの衝撃が走る。あ、やばい。意識が…………………やってくれましたね、イヴェリア・ディスリートさん。



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