65話 赤狐、狐だった。
『速報!!序列17位の『仙法』ジョシーン・セイートが序列外のクレア・ウォルクスに敗北!ウォルクスのポイント22,152で序列16位入り!二つ名は雷属性の魔法から【迅雷】に決定!』
…………もうきた。まだ始まって2分経ってないのに。今クレアは寝室で着替えている。することないなーと思いながら端末を弄っていると玄関のドアが空いた音が聞こえた。イヴが帰ってきたのかな?……………ん?違うな。
「やっほーイネス!模擬戦しよっ!」
その正体である氷冴は僕の寝室の扉を開け開口一番に叫んだ。
「おぉ師匠、別に良いよ」
まあまあビックリしたが一応返しておく。っていうか弟子ってなにするの?
「ってもう着替えちゃってるじゃん」
そういえばもう着替えたんだった。別に私服でも出来ない事はないんだけど、斬られたら傷付くからあまりやりたくない。
「じゃあ五稜館に行くのはどうかな?もうそろそろ学園にも慣れきたでしょ?あとシルヴィシルヴィもどう?」
「えっわたし?ん〜そうだなぁ…………」
シルヴィはどうするか考えていると、氷冴は更に言った。
「イネスもシルヴィもクレア度もAランクになったんだし、そろそろ入っても良いと思うんだけどなぁ〜?」
実は僕もそろそろかなと思っていたところだ。もう入局するのは決まったことだし、遅かれ早かれいつかやることだ。
「分かった、じゃあ行こっか?」
「よしっ!じゃあイヴが来たら行こっか」
話がまとまると玄関からガチャッという音が響いた。恐らくイヴだろう。それか綾桐。
「ただいま帰りまし………って氷冴さん。来てたんですか」
「部屋にいないと思ったらここに居たのね」
イヴと綾桐が並んで部屋に入って来た。僕の予想を上回って二人共来ましたね。
「おぉイヴと綾桐!これから五稜館に行くんだけど一緒に来ない?」
「五稜館?それって私達の正式入局の為ってことですか?氷冴さん」
「そうそうその通り!あ、綾桐はついてきてね」
「あ、あたしは行くこと前提なのね…………」
「え?どうせ綾桐暇でしょ?」
「まぁそうだけど…………」
とこういった具合で僕たち6人全員で五稜館に行くことになった。綾桐は強制っぽかったけど。
◆
「あ、そういえばみんなAランク入り改めておめでとう。そんなに強くなかったでしょ?」
氷冴が歩いている途中に言った。強くなかったっていうのかな?アラトレア先輩はまぁまぁ強かったと思うけどね?
「………確かに弱かった、というかレベルが低かったわね」
「クレアが強すぎるのもあるけどね……」
クレアのボケ?をシルヴィが突っ込んだ。いやまぁシルヴィの言う通りクレアが強すぎるのもあったと思う。一つの魔法で防御膜を全部破壊するなんてあるのかな?
「まぁまぁ。みんな二つ名貰ったんだしさ。似合ってるよね?」
くれぐれも僕の【影星】は似合っていないがシルヴィの【紫刃】やクレアの【迅雷】は似合っているのだと思う。でも氷冴は何で【赤狐】なんだろう?かき揚げそばが好きなのかな?
「そういえば氷冴ちゃんは何で【赤狐】なの?」
「ん?それはねぇ………………よっ」
氷冴が短い掛け声を出すと全身に少しだけ魔力が溢れた。黒っぽいもやもやが晴れるとそこには……………赤い毛をした狐がいた。
「………………えっと、氷冴だよな?」
シルヴィが恐る恐る確認をとった。え?なんで動物なの?氷冴って人間なのか狐なのかどっちなんだろ?っていうかおかしいよね?しかも可愛いし。
「………………」
流石に狐の時に返事は出来ないのか頷くだけだった。っていうかマジで可愛い。僕前世は猫好きだった筈なんだけど………………
するとその氷冴狐は僕の方に近付いて来た。そして足に顔や体を擦りつけた。あれ?理性はある筈だよね?本能じゃないよね?
「………可愛い」
ついそう呟いてしまった僕は悪くないと思う。そのまま僕は赤くサラサラとした狐の頭を撫でた。真っ赤では無く所々に白のラインがあるのがまた可愛らしい。
「……………」
猫ならゴロゴロと喉を鳴らしそうなくらいに満足そうな顔をした。めっちゃ可愛い。守りたくなるくらいに。
「ハァ…………氷冴、そろそろ行かないと」
綾桐が氷冴に注意した。この間も僕はこの赤狐をナデナデした。そしてふかふかの耳を触る。あぁ、こればかりは猫では味わえないものだ。そして尻尾を触る。尻尾もサラサラで心地良いものだ。
「…………っと」
するとまた狐の全身に黒っぽいもやもやがまとわり、それが晴れるともとの柊木氷冴がいた。あれ?その腰に下げた日本刀と今着てる巫女服っぽいのはどこいってたの?狐の時はなかったよね?
(気にしたら負けか)
そう思って考えることをやめた。ってちょっと待って。その頭にあるものは?はっ!もしかしてケモミミ?あ、尻尾もある!さ、触りたい………………
「じゃあ気を取り直して行こっか」




