62話 影星、になった。
あれから朝食を摂るために食堂に行ったら偶然居合わせた蒲原淮里にすげぇじゃんイネス!と言われた。っていうかなんでそんなに馴れ馴れしいのかな?僕と君は友達じゃないよ?どっちかって言うと君のこと嫌いだし。
だが改めて周りをチラッと見ると僕を敵意などが籠もった目で見てきた。
(僕何かしたっけ………?)
そう思いながら今日もチーズオムライスを頼んだ。今日も今日とて絶品だった。チーズと卵とトマトケチャップの香りが混ざり極上の香り、風味を生み出していたからだ。
それから1年3組の教室に行ったのだがシルヴィやクレア、イヴと蒲原淮里、高敷榧雅やその他諸々以外にまた敵意や殺意が含まれている視線を向けて来た。ホントに何でかな……?
◆
今日の授業も終わり寮に戻ろうとすると進行方向を男子三人組に阻まれた。
「そこのお前、アラトレア先輩との序列戦で不正を働いたようだな」
とモブAが言った。
「………不正?」
だがそんなことを言われても見に覚えがない。まず公式の序列戦で不正なんか出来ない筈だが?
「そう、不正だ。お前みたいなクソチビ野郎にアラトレア先輩が倒せる訳が無いだろう?不正しかない。そらに証拠もあるんだぜ?」
とモブBが言った。ってクソチビ野郎ってなんだよ?その男の話によると全ての決闘や序列戦は選手の端末に保存されているらしい。それを見たかったんだよ僕は………………
「アラトレア先輩がお前に斬られる前に一瞬動きが止まっただろう?先輩も驚いた顔をしていたし予期せぬ事だったんだ。そして試合はそういう権限を持つものしか干渉出来ない。だが試合選手は別だ。そのことから考えるとお前しかいない」
モブCがドヤ顔で言った。なんか探偵っぽく言ってるけどホントに頭良いなら不正は出来ないって気付くよね?もしくは僕が発見したとでも?
「えっと…………してないですけど………」
「はっ、しどろもどろじゃないか。その反応を見る限りじゃ当たりみたいだな。もう不正はバレたんだ。生徒会に申告するべきじゃないのか?」
俺たちも言わなくて済むしな。そうCさんは付け加えた。くそう、こんなときはこの喋り方に腹が立つ。人見知りなんだよこっちは!
「い、いえ……でもやってないですし………」
僕がそう言うと三人組の一人Aさんが溜息を付いて言った。
「なら仕方がない。決闘をするとするか。今まで隠してきて悪いが俺は序列19位、つまりAランクだ。今ここで謝って認めたほうが良いぜ?」
そんな気はしていた。でも序列19位だったとはね…………Bランク以上かとは思ったけどAランクだったんだ。
「ちょっと待って下さい先輩方」
するとシルヴィがいきなり水を差してきた。なんか言いたいことでもあるのかな?
「あ?なんだお前は。今は女に興味無いんだ」
Aさんはそう言いながらもシルヴィの体を眺めていた。確かにシルヴィ胸はあんまり大きくないけどスタイル良いし可愛いからね。仕方無いよね。
「この人はそんなことやってないと思います。先輩方はあの序列戦をちゃんと見てたんですか?」
シルヴィの声からすると随分と怒っている様だ。僕の不正がうんたらって話でシルヴィが怒るってなんかおかしい気がするけど…………
「もちろん見てたぜ。この男がイカサマをするところもしっかりとな。お前もこんなクズ男の隣じゃなくてこっちに来いよ?いつ襲われるのか分かったもんじゃないぜ?」
……………えぇ?それは流石に酷くない?え?結構傷付いたんだけど………やっぱりシルヴィとはもう少し距離を開けたほうが良いかな?そうしよう。
「この人はそんな人じゃありません!それに不正なんてものはしていません!先輩方の勘違いです!」
それは言い過ぎ………でもないか?シルヴィがそう言うと先輩方は顔を真っ赤にして怒りだした。どこの世界でも後輩が先輩に楯突くのは駄目なんだね。
「なんだと!?お前こそ勘違いしてるんじゃないか?その男の隣にいて目が鈍ってるんだよ!」
目が鈍るって何?そう思ったがシルヴィはもっと怒っている様だ。肩がプルプルしている。
「………ならわたしと決闘をしませんか?わたしが負けたらわたしになにをしても良いです。ですがわたしが勝ったらポイント全部とこの人に謝罪と訂正をしてください!」
「なに?なんでも…………」
おっとシルヴィ?それは大丈夫なのかい?だが僕は敢えて止めない。言わせてみればシルヴィが先輩方になにかされても自己責任だし、何より―――――――
「良いぜ。決闘やってやるよ」
――――――シルヴィが負ける筈がない。
影星………っていうのはイネス・シルフィードの事ですよ。




