54話 人見知り、怒っちゃいそう。
シルヴィやクレア、イヴと僕が五稜局に入るということを約束してから数日。まだ学園生活にもなれていないということで少し先送りになった。まぁ妥当な判断だと思う。そして、そろそろ例のアレの時期だ。
「イネス、序列戦の相手って決まった?」
「まったく決まってない。できればやりたいんだけど誘われることもないし、相手もいないし」
そう、序列戦だ。この学園の僕たち以外の生徒の実力が知りたいのだ。もしレベルが高すぎて負けたりしてしまったらいくら会長から推薦があっても五稜局には入れないだろう。
「そういえば、序列戦って次のランクの人じゃなくても挑んでいいみたいだよ?」
シルヴィが思い出したかのようにそう言った。そして今は僕、シルヴィ、クレア、イヴの4人で仲良く晩御飯を食べていた。
「………そうなの?先生が言ったことと違うようだけど………?」
「うん、それはそうなんだけどね。それでね、次のランクじゃない人に挑まれても断って良いんだって。それは序列外の生徒にも適用されるみたいだよ」
あぁ、そういえば霜崎教諭も原則と言ってたなぁ………
「………それはこっちから挑むことも出来るの?」
「うん。でも殆どが断られるか負けるみたい。確か、CランクとBランクの壁が高いみたい」
強い人と弱い人が明確に分かれるって事だね。この学園のレベルは知らないけど、前に決闘したレーベル・ビルマイクくらいの実力ならC級くらいがせいぜいだろうなぁ………。
「おっ、イネス。隣座っていいか?」
考えていると隣から声をかけられた。その声は数日前にここで会った蒲原淮里の声だった。
「うん、構わないよ」
特に断る理由がないので了承した。ただ、僕はこの人が少し苦手だ。まだ出会って数日なのにまるで親友の様に馴れ馴れしく話す。そんな彼に会話を合わせづらいのだ。
「ありがとな。榧雅とアリアも座れよ」
蒲原の後ろにいた高敷榧雅と生徒会長のアストリア・リルシャールが淮里の
前と横に座った。
「インフォルト、失礼するぞ」
「うん、大丈夫だよ」
高敷榧雅は僕たちと同じ1年3組所属なのでシルヴィと仲が良いようだ。
「おっ、イネスそれって味噌カツか?俺の唐揚が1個やるからひと切れくれよ」
そう言って彼は真ん中の一番大きいひと切れを箸で掴み自らの口に入れ咀嚼した。っていうかまだ許可してないんだけど?ちょっと、唐揚げを味噌の上に乗せないでくれないかな?合わないでしょ。まぁ食うけど。
案外悪くない唐揚げを食べていたら蒲原が叫んだ。
「うっめぇなこれ!俺ずっと唐揚げ大盛りしか食べてないから知らなかったぜ」
うん、食事中に叫ばないでね。それと今気付いたけど、一番大きいひと切れとやや小さめの唐揚げって釣り合ってないよね?こりゃ詐欺だな。
(唐揚げ大盛りしか食べてないってバランス悪くない?そんなものしか食べてなくて戦えるのかな?いつか蒲原とも戦ってみたいなぁ)
「淮里、毎回それしか食べてないが大丈夫なのか?栄養バランスも悪いと思うが……………」
「あぁ、確かに最近なんか体が思い気がするんだよな……………もうすぐ序列戦だし、明後日からこういうのは控えるか」
ここで明日って言わないからズルズルと続くんだと思うけどね。っていうかこの人強いのかな?入学したってことは弱くはないと思うんだけど。あれ?ホントにこの人と戦いたくなってきたな。それも全力でやりたい。
「そんなことを言ってるから訓練しても中々身につかないんだぞ………」
高敷榧雅が溜息を付きながら言った。っていうか訓練しても身につかないってどういうこと?実際に動いたら必然的に嫌でも覚える筈だけど………?それか訓練に身が入っていない、要はやる気がないとかなら分かるけど。
「そうは言ってもな…………俺って昔から他と比べて飲み込みが良くないし、勉強も苦手だからなぁ………才能があるアリアや榧雅が羨ましいぜ」
…………………は?




