41話 人見知り、直したい。
数時間掛けて全ての本を読んだ。中でも魅力的だったのは、やはり人見知り云々とカッコいい男云々だろう。少しでも参考になればなと思う。
(えっと…………笑顔だったっけ…………?)
カッコいい男云々の本の中に、男は真顔や無表情より、笑顔でニコニコしている方が関わりやすく、余裕があるように見せられる。と書いてあった。
(笑顔かぁ……………作り笑顔とか?)
というか僕そんなに表情ないかな?喜怒哀楽をちゃんと表している筈なんだけど…………伝わってないみたい。
「………イネス?急に笑顔になってどうしたの?」
「さっき見つけたカッコいい男になる方法っていう本に書いてあったから。余裕があるみたいに見られるんだって」
「………そう。別にイネスはそのままでもいいのだけど……………」
最後の方はちっちゃな声だったので聞こえなかった。そういう場合は唇を見て予想するんだけど。
「本当?それはありがとう」
「……………別に」
そう言いながらクレアは自分が持ってきた本を読み始めた。上級雷属性魔法の本らしい。
それから数分後、僕は読み直したいところが無くなったので本を返すために席を立った。
「………帰るの?」
「本を返しに行くつもり。その後は帰る」
「………なら私も返しに行くわ」
本を返したらまたこの席集合ということになった。そんなに焦ることもないので元あった場所に本を戻していく。ここらへんの棚から本が一冊も無くなっていないのはおかしいと思ったけど、人気がないのかな?そんなことを考えながら席に戻る。
「それじゃあ帰りましょうか」
「ん、分かった」
と言ってクレアと一緒に来た道を戻る形で自分たちの寮に戻って行った。
ガチャッ!
僕達の部屋のドアを開けると、中からイヴの声が聞こえた。寝てなかったのね。
「あ、イネス殿!帰りましたか」
「うん。えっと、た……………た、だいま?」
今のは人見知り云々の本で書いてあったことだ。挨拶は大切らしい。その中に沢山の使える挨拶があった。『ただいま』は言ったことないけど聞いたことあった。『行ってきます』もあったかな。
「………!!」
するとイヴの顔はパァ!!と明るくなった。そして満面の笑みでこう言った。
「はい!おかえりなさい………です!」
イネス君が自分の人見知りを直したいって意味ですよ。まぁつまり、人見知り"を"直したいってことですね。直させませんけど。




