4話 人見知り、説明を聞く。
「「あ」」
偶然その手が当たってしまい、二人共声を漏らしてしまう。どうやら同じクエストを選んでしまった様だ。
「あ………その…………」
「ん〜………私は別のクエストでも良いんだけど、これは何かの縁だし、一緒に受ける?」
なんとっ!?そんな心優しい人がいるのかっ!?この申し出、受けなければいけない……!!
「ほ、本当ですか?そ、その……………ありがとうございます………」
何とか言葉を繋ごうにも言葉が濁ってしまう。こういう時だけは僕の人見知り+コミュ障が恨めしく思う。まぁ仕方ないんだけれど…………
「別に、感謝される様な事じゃないわよ。貴方多分だけど………初心者でしょ?」
「あ……そ、そうです」
だから助けてくれるのかな?いやはや初心者と言うだけで助けてくれるなんて……凄いお人好しっぽい。
「私は初めてのクエストで死にかけたから…………貴方に同じ目にあって欲しくないのよ」
「そ、そう……ですか…………」
それじゃ……と言ってアイさんはクエスト用紙をボードから剥がす。
「これをそこのクエストカウンターに持って行くのよ。そこで、クエストを受注するの」
アイさんが指差した先には、少し大き目な露店のような感じのところだった。上の看板にクエストカウンターと書かれているので間違いない。
「大体クエストボードは、ここみたいに人が集まりやすい広場やクエストギルドの支部、本部にあるから暇な時に見てみると良いかもね」
「クエストギルド…………?」
クエストギルドというのは聞いたことがない。文字からしてクエスト関連っぽいが………………
「クエストギルドっていうのはねぇ………クエスト
関連の事を管理しているギルドよ。そこには国や政府からのクエストも出ているみたいね」
「……じゃあ、今のも……?」
今ボードから剥がしたものはヴェルウルフの討伐クエストだ。それは国からの依頼なのだろうか?と言うことが聞きたい。伝わればいいんだけど…
「今の?……あぁこの討伐クエストのこと?」
そう言われたのでコクッと頷いた。
「これはそんなのじゃないわよ。ボードに貼ってあるのはクエストギルドが発行しているの。私達みたいな人に魔石や素材を取りに行かせて、報酬にリルを払う。そういうシステムよ」
あぁ……なるほどね。理解することが出来た。
クエストによって素材を回収して、それらを報酬として渡した金額以上の価格で売るのだろう。
「まぁあんまり私達には関係ないんだけどね」
………うん、まぁそういうことだね。