35話 人見知り、困惑しかける。
あれからシルバーベルに帰った。今日と明日は家から通い、明後日から寮で暮らすことになるらしい。
「明後日からは寮生活かぁ…………」
少し寂しいのは分かる。この宿の部屋を借りてから約半月だ。思い入れは沢山あるのだろう。
「なんか、残念かなぁ………」
ただこれ以上家賃を払わなくて良いってのは良いことだと思う。まぁ学費ってのはあるけど。
「イネスは………どうかな?」
シルヴィが少し照れながらそう言った。え?な、なにが恥ずかしいの?
「ん〜………まぁ残念と言えば残念だけど、寮生活の方が楽しみかな……」
前世でも体験しなかった寮生活だ。まぁ宿の生活もしたことないのだが、いい加減飽きてきたところだ。そろそろ次の刺激が欲しい。
「あ、そ、そっか……………」
シルヴィはどちらかと言うとわたしと同じ部屋で暮らしたこの半月はどうだったかを聞いたのだが、イネスは宿部屋生活がどうだったかと捉えてしまったようだ。
「…………?」
シルヴィがしょんぼりしてしまったのは分かったがその理由は分からなかったイネス。流石鈍感と言ったところだろう。
2日後
「荷物少ないなぁ………」
シルヴィと僕の荷物は武具と衣服、お金くらいだった。カバン一つで余裕だった。
「じゃあ、その…………また学校でね?」
「うん、また後でね」
第五学園は一番新しいだけあって、アパートみたいな作りになっている。一部屋を二人で暮らすらしく、双方の同意があれば部屋の移動は自由だそうだ。僕は自分の方へと向かう。また少し速いのであまり人はいないようだ。
ガチャッ!
ドアを開けると、土間には並べられた靴があった。誰のだろうこれ…………
「んしょ…………」
まぁそんなことは気にせずに靴を脱ぎ家に上がる。ちゃんと部屋は確認したから大丈夫だ。因みに部屋番号は1302だ。シルヴィとクレアが1303なのは偶然なのかな…………!!
すると、リビング兼寝室への扉がガタッ!と大きな音を出して開けられた。その奥には………………
「何者ですか!!このへ……や…………は………」
金髪碧眼美少女がいた。髪は大きな三つ編みで背中の真ん中くらいまでは届いているかも知れない。目も少し切れ目でキリッとしており、大人びた感じが見受けられた。
「あ、貴方は…………イネス・シルフィード!?」
「え?あ、えっと………その………」
だれこの美少女!?こんな子知らないんだけど!?は!?もしかして同居人!?
「私、この前の決闘見たんです!その時の戦いが凄い格好良くて…………貴方のファンです!」
「ふぁ、ふぁん……………」
するとその少女は顔をブンブンと縦に降った。え?ちょっとそんなにしたら首痛めちゃうよ?あの有名なXのジャパンさんみたいに。
「そうです!私、イヴ・ディスリートです!イネスさん?イネス………さま?」
「あ、えっと…………イ、イネスで………」
「いいえ!そうは行きませんよ!えっと…………」
しばらく考えた末に出た敬称はというと
「イネス殿!イネス殿だ!よろしいお願いします!」
その顔は無邪気な少女そのものだった。シルヴィとはまた違う感じの子だ。声がキリッとしているから。シルヴィはどっちかって言うと甘い感じ。
「それでイネス殿、どうしてここに?」
「そ、その…………ここに住むから……………」
というと、そのイヴという少女は驚愕といった顔になった。




