33話 人見知り、決闘する。
「ぜぁぁぁあ!!」
ビルマイクは大剣を大きく振りかぶり、上段の形で接近してきた。そして狙うは振り降りして僕の頭に当たる直前だ。僅かに力を入れる瞬間を狙って剣の軌道をズラす。
「…………ハァッ!」
僕の思惑通り刀は大剣にガキンという音と共に当たり軌道をズラした。そのまま地面に叩きつけられめり込んだ。
そしてそのまま大剣を上から刀で押さえつける。一時的ではあるがこれで剣の自由を奪える筈だ。
「ぐっ!?」
ビルマイクが驚いている隙に風属性魔法『風爆』を発動させた。座標は二人の丁度真ん中だ。
「ぐぅぅ!!」
二人の間に爆風が巻き起こり、両者を吹き飛ばした。僕は何とか着地出来たがビルマイクの方は対応出来ず尻餅をついてしまったようだ。
「くっ、男同士の戦いで魔法を使うとはな。普通ならば剣と剣で戦いものなのに……………」
剣と剣で?決闘での魔法使用は許可されている筈なんだが……………
「だがお前が使うのならば容赦はしないぞ!」
といってビルマイクは剣を持っていない方の腕、つまり左腕を翳した。その腕に魔力が集まっていくのが分かる。だがその手の先に魔法陣は現れない。
(魔法陣が出ない…………設置型魔法か)
そう思い下を見ると魔法陣が広がっていた。魔力は既に十分供給されているようで、今すぐにでも炎が出て来そうだ。
「よっ………と」
左に回避するとその刹那、魔法陣から炎の柱が出現した。あのままでは焼け焦げていただろうな。
「ちっ、小癪な!」
当たらなかったことに怒ったのかビルマイクはまた僕の下に魔法陣を展開した。それを難なく避けるとまた展開し、避けるとまた展開された。
「またか……………っ!?」
「しねぇぇぇえ!!」
避けるため足元に集中しているとビルマイクが剣を振りかざし突っ込んで来た。その反応に一瞬だけ遅れてしまい刀の腹で大剣を受け止めた。だが、それが過ちだった。
金属と金属が激しくぶつかる音がしたあと、あまりの衝撃に僕は体ごと吹き飛ばされてしまった。
「やっぱり力は大したことないな」
ステータスの筋力というパラメータから考えると確かに他より劣っている。器用さで勝負するしかない僕にとって大剣はとっても相性が悪いのだ。だが…………!!
「ふっ―――――ッ!!」
「なにっ!?」
立ち上がり際に全力でビルマイクに近づく。パラメータの敏捷を最大限活用したダッシュなのでとても常人が出せる速度ではない。そしてそのままビルマイクの横腹を切り裂く。
パリンッという音と共に彼の体を包んでいた防御膜第一層が崩れた。
「ふ、ふふふふっ………なんだ今の速さは……………」
ビルマイクは何やら不気味に笑う。まぁそんなことは良いとして、先に防御膜を壊せたのは大きいだろう。
「あの二人を騙すだけあってまぁまぁ出来るんだな。身体能力の高さは認めてやるよ」
だからなんでそんなに上からなの………?
「だが、所詮は脚の速さだけ。非力なお前にはオレに勝てない!いくぞっ!!」
といって大剣を振り回し攻撃してきた。剣筋はまだ粗いが攻撃力は申し分無いだろう。僕は力がないので受けきることが出来ない。弾くしかないのでだんだん追い詰められていく。
「どうしたどうした!?お前の剣はそんなものか!?」
「ぐっ………重っ」
攻撃が重すぎで反撃出来ない。やはり前世の武術だけの戦闘術ではこういうものはカバー出来ない様だ。これからはちゃんと訓練しなければいけないなぁ。
「これでも喰らえ!!」
一度攻撃の間が空いたので体制を立て直す。刀の位置を戻しちゃんと弾けるようする為だ。
「っぐぅぅぅ!?」
だがその叩き斬りはとても今の僕じゃ弾けるものじゃなかった。刀への衝撃で重心が後ろに傾き胴体がガラ空きになった。
「ハァァァ!!」
空いた胸にキレイな横斬りを貰い防御膜が割れる。これで残り一層だ。一撃が命取りになるだろう。
「これで対等だ。一騎打ちと行こうぜ…………」
といってこちらに向かってくる。その姿はまるでイノシシのようだった。猪突猛進ってね。
「せいっ!!」
キンッという軽い音を残して何とか弾く。だがそれで攻撃が止まることはなく更に剣を振りかざす。その剣が振り降ろされる直前…………
「だぁぁぁ!!」
真下から刀を思いっきり当ててほんの少し仰け反らせる。時間にしてほんの少しだが、それだけで十分だった。
刀を鞘に戻し左手で鞘を掴む。そして一歩踏み出し距離を詰めると………………
「……………シッ!!!」
僕の出来る攻撃の中で最速の技、抜刀術によってビルマイクの腹を―――――――――――――




