15話 人見知り、魔法を使う。
あの日から5日が経った。つまり残りは7日。だが、それまでにやらなければならないことがあった。そう、魔法を使ったことないのだ!
今日は魔法の練習をする為に最初のクエストで来たことがあるフェアル草原に来ていた。そこには手軽な魔物(年間で結構な死者が出てるが)が沢山いるので魔法などの練習に適している。
「じゃあ魔法を教えるね。って言っても………………使える魔法は魔力に比例して強くなっていくんだよ。イネスの魔力は確か……………」
「C+の58だよ」
「C+の58……………わたしの少し下だね」
…………うん?どういうこと?劣ってるってこと?
というか少し前にこの世界へ来た人に負けたら笑えないでしょ。
「少し下?シルヴィはいくつだったの?」
ん〜………と顎に手をやって考える動作をして答えた。
「1番最近測ったのは………………Bの69かな」
Bの69………………中々高い。っていうかだいぶ違うよね?11も違うよ?
「少し下…………高いんだねシルヴィ。ってことは魔術師や魔道士かなにかなの?」
「え?うぅん違うよ。どっちかって言うとね………剣が好きだから剣士とかかな?」
剣士だが魔力が高い……………魔法剣士か!
「ってことは魔法剣士ってとこ?」
「アハハハハハっ!まぁそうなるのかな?わたしってまだちゃんとした教養受けてないから認められてないし。自称ってやつ?」
どうやら少し誇張しすぎたようだ。まぁいつかはシルヴィも魔法剣士みたいな凄い人になるんだろうなぁ………………どうでもいいけど。
「っと話が逸れちゃったね。わたしのステータスは気が向いたら教えてあげるから今はこっち」
と言ってシルヴィは右手を出した。
「この前調査師のところで指に魔力を集めたでしょ?今回も同じ様に指先に魔力を集めて、それを空中に放出するイメージ」
シルヴィの指先に何かが流れていっているような感じがする。これが魔力ってやつかな………?
「そして、使いたい魔法とその魔法陣を強く思い浮かべるの。そしたらね………」
シルヴィの手のひらの前にオレンジ色の魔法陣が出現した。それは数瞬…………0.3秒から0.5秒だったがはっきりと見えた。あの魔法陣は…………………
「炎属性基本魔法《火球》…………?」
そう呟いた刹那、その魔法陣から火の玉が1つ発射された。その玉は誰も居ない野原を飛んでいき、30メートル程飛んで霧散した。と言うか詠唱とかってしないんだね。無詠唱魔法つむてやつか…………
「と、こんな感じで出来るの。まだわたし達は初心者だから何か予備動作みたいなのをして魔法を使うんだ。例えば手を翳したり、指を鳴らしたり………とかかな」
なるほど………………予備動作をすることによって更にイメージを固めることが出来るということか。
「イネスは魔法と魔法陣をちゃんと覚えてるっぽいから後はイメージをするだけだね」
「ん……………分かった、やってみる」
右手を翳してシルヴィの真似をする。そして魔力を右手の指先に流し空中に放出する。空中に放出されていることを確認すると、基本魔法を思い浮かべる。
「《水球》」
手の前に魔法陣が出現し、その魔法陣から水球が発射された。今度は20メートルほど飛んで霧散した。初めてにしては上手く行った方だろう。
「やってねイネス!完璧だよ!」
シルヴィがぴょんぴょんしながら喜びを露わにした。確かにそう言われると少し嬉しい。
「うん?ありがとうシルヴィ」
「それじゃあこの調子で他の基本魔法もどんどん練習していこう!」
確かに試験ではどの魔法系統を指定されるか分からない。苦手なものをやらなければいけない。
「……………《雷球》」
電気を帯びた球が魔法陣から射出された。
魔法属性は炎、水、氷、雷、土、風、無がある。それぞれにそれぞれの特徴があり長所短所があるのだ。また基本魔法は《〜球》《〜刃》《〜属性付与》などがある。
「よっと………………《風刃》」
シルヴィが風刃を発動した。丁度ディルバッファローにそのブーメラン型の風の塊が命中し、腹部を貫通した。
「よっし成功!……………………え?」
だが仲間が殺された事により他のディルバッファローがこちらに集まっている。昨日、本で読んだのだが魔物は魔法に敏感な様だ。感知されない為には無属性中級魔法の隠蔽魔法を使うらしい。
「あ、魔物がこっち来ちゃった………………あ、そうだ!イネス、剣に魔法付与してみようよ!」
「ん?属性付与ってこと?」
「そうそう!丁度良い機会だからさ」
と言っている間にもうディルバッファローはすぐ近くに来ていた。僕とシルヴィはそれぞれの武器に魔力を流し発動の準備をする。
「それじゃあ………………《炎剣》」
「《雷剣》」
《〜剣》というのは剣や刀、槍や斧の様な近接武器に属性を付与する魔法だ。攻撃力が大きく上昇するので、こういう魔物戦では重宝する。
シルヴィが炎撃を使用したことにより彼女の持つ片手剣が赤色に発光する。僕の刀も黄色に発光した。
「はぁぁあ!」
「……………シッ!!」
1番近いところにいる魔物を攻撃する。すると一撃で絶命した。だがこれほどまでに高い攻撃力を誇る魔剣にも弱点がある。一魔法につき一度しか使えないのだ。
「う〜ん…………やっぱ使い勝手が悪いねぇ」
「中級魔法の魔導剣とかなら連続して使えるから、それまで我慢だね」
本来なら今すぐにでも使いたいのだが、魔法陣や魔法式(魔法陣を文字や数字で表したもの)が公開されていないのだ。それでは知りようがない。
「そうだね〜…………取り敢えず片付けよっか?」
と言ってシルヴィはまた剣を構えた。僕も刀を正面に構え魔物達に斬り掛かっていった。
それから数分、殆どの魔物が一撃で倒せるのでそこまで時間が掛からなかった。なんなら移動している時間の方が長いくらい。
「よし、これで殲滅完了っと。帰ろっか?」
「ん、分かった」




