14話 人見知り、お勉強する。
あれから自分のステータスを写した紙を店主から貰い宿に戻って来た。今の月日は3月8日、そして5つの王立学園全ての試験日時が3月20日だ。つまりやる事は1つ……………お勉強だ!!
「ここの宿にあった参考書やら座学書やらを沢山借りて来たよ!それとノートも買ってきた!」
「ありがとうシルヴィ」
「うぅん全然、わたしも試験受けるしね。それよりもほらっ!早くやろうよ!」
まぁそれもそうだろう。試験まで12日しかないのだ。他の人は初等部から中等部にかけての9年でこの試験を目指すが、僕達は12日しかない。はい、無理ゲーですがなにか?
「えぇーと………座学の出題範囲や出題傾向は毎年似たり寄ったりだから勉強する範囲を絞れると思う。取り敢えずそこを覚えよっか」
と言ってシルヴィは参考書や前回前々回の出題問題が書かれた本を開く。僕も机を挟んでそれと同じ様な本を開いて問題を解き、解説を読み、暗記箇所を暗記した。
数時間後が経って、そろそろ集中力が切れてくる頃、僕達は魔法学の本を見ていた。
「わぁ……これで夢の中等魔法が使える………!」
目をキラキラさせながら言うシルヴィ。確かに前世では夢や御伽話だと思っていた魔法が使えるという事はかなり興味を唆られ、魅力的だ。
「でもこれさ、魔法陣を覚えないといけないんだよね………わたしこれ以上覚えられるかな……」
とペンを回して言っている。ペンというのは柔らかい軽金属で作られたあのボールペンだ。まさかこれがあるとは思わなかった…………!!
「ねぇイネス、何か良い方法ないかな?」
「ん?ん〜…………こう、なんというか…………」
あまりにも暗記に没頭していたせいで会話のスイッチが入らない。数秒をかけて会話に集中すると、前世でやっていた勉強法を伝える。
「全部機械的に覚えるんじゃ無くて、理屈や理由を考えながら…思い浮かべながらやると良い。そしたら、自分もその答えに納得出来て、早く頭に入れることが出来るから」
「き、きかいてき………?」
あぁ、しまったここは日本じゃない。機械という言葉は知らないのかも知れない。
「き、機械っていうのはあれでしょ?大規模な魔法を発動させる為の媒体でしょ?」
……………あぁ、魔法発動装置のことか。さっきやった問題にそんな言葉があったな……………
「まぁそんなところ。要は全部暗記するんじゃなくて、工夫をすることが大事ってこと」
まぁ僕はそんなやり方をせずに全て暗記するのだが。前世でも記憶の鬼とか言われたな……………小4の時に。
「工夫かぁ………でもこの線とか丸だらけの魔法陣のそれぞれの部位を覚えるほうが難しいんじゃない?」
無理……………と言わない辺りがこの子のいいところだと思う。出来る事はやり、出来るまで決して諦めない様な…………そんな子なのだ。
「でもこの魔法学は魔法陣のことがメインになるみたいだし、覚えるのも大切だよ?まぁ今回は全暗記でも大丈夫だけど…………………」
少し勉強して分かったことだが、この入学試験はそこまで難しくない。暗記問題や単純な計算が殆どなのだ。応用問題も少しはあるようだが、記述問題は1問だけだ。この問題の難易度ならば、恐らく与えられた時間中に基本科目(語学、算術、地理学、歴史学)をやり、その後に魔法学や魔石学、魔工学、魔法幾何学などの魔法関連をやるのだろう。だが、その全てにおいて………………言っちゃ悪いけど低レベルだ。覚えていれば解ける。
(漢字は出来る、算術も出来る、地理や歴史などの所謂社会は得意だったから出来る。だけ大きなど問題ある。それは………………国語出来ない)
「うわ魔工学難し…………………イネスは出来た?」
「魔工学?それは簡単だった」
実際事実だ。ぶっちゃけ只の暗記だったし。何かこの世界に来てから暗記がより出来る様になったかも知れない………………あぁ神様パワーか。
「ウソっ!?じゃあ魔法幾何学は?覚えるの沢山あったけど……………」
「あれも暗記だし、魔石学と魔工学との関連が
強いからちゃんとやれば問題無い筈だよ?」
魔法幾何学は魔法学、魔石学、魔工学以外の魔法関連科目だ。言うなれば『魔法その他学』かな。あと魔工学は、魔法によって様々な機械や装置の構造とかを勉強し、その応用を学ぶ科目だ高校で言うところの『機械科』みたいな?魔石学はその名の通り魔石の作りとか使い方を学ぶやつ。一番簡単。
「えぇ〜………もしかして全部出来るとか!?」
いいや、そんな事はない。というか全科目を全て高いレベルで維持出来る人間はほんの一握りだ。僕は………………………
「語学が…………出来ない」
「え?ご、語学……………?」
そう、前世でも国語だけは出来なかったのだ。中学校最初の1学期中間試験の国語では、文法や漢字、古文や漢文が多かったので高得点を取ることが出来た。つまり文章問題以外は全て正解だったのだ。そのお陰で60点を取れた。だがそれが国語科の教師を怒らせた様で…………次の期末試験では文章問題がなんと八割だったのだ。そのお陰でその試験国語は24点。盛大に笑われた。その国語科教師に。
「まぁ文章問題とかは慣れだからね………………」
高校卒業前に死んだのだがその時まで慣れる事は出来なかったけど。
「ホントはあんまり良くないんだけど、9科目の中で1科目だけ捨てる…………事も出来る」
「………………いや、語学も捨てないよ。やるだけやってみて、それで出来ないなら仕方ないよ」
それを聞いてシルヴィの顔が一気に明るくなり、心配してくれていた様な顔じゃなくなった。
「ホ、ホント?なら良かったよ…………………イネスが合格出来無いと意味ないし」
まぁ店主が王立学園に入るように勧めたのに、僕が合格出来なかったら笑えないだろう。と、ここでシルヴィが何か悩んでいる様な声を上げ……………
「じゃあこうしよう!それぞれの分からないところをお互いに教え合うの。わたしは語学を教える。だから魔工学と魔法幾何学教えて?」
「お、それはいい案だね。乗ったよ」
それから僕達は、お互いに分からないところを教え合う事で苦手を克服していった。まぁ語学の理解は中々進まなかったんだけど。




