11話 人見知り、良い体験をする。
「んん…………………ん?」
おはよう異世界。初めての異世界ライフは今日で2日目だ。運良く宿屋に泊まることが出来て良かった…………だが1つだけ気になる事がある。
妙にいい匂いがするのだ、それも下から。少し気になったので掛け布団をゆっくり剥がすと。
「…………………」
絶世の美少女ちゃんシルヴィが僕の腰に手を回して抱き寄せていた。絶世と言っても誇張では無い。ホントに可愛いのだ。そしてそんな美少女が近くにいる。これはまさか………!
「え?…………えぇ!?シルヴィ!?」
少し時間を巻き戻すとこんなことが起きていた。
「ん、んん〜。もう朝かぁ…………」
イネスよりも少し早く起きたシルヴィは今の状況を察すると顔をとても赤くする。
「ん!?イ、イネスっ!?」
イネスの腰には私の両手が器用に回されている。そして、自ら力を込めてイネスを抱き寄せてしまっている。多分私の寝相の悪さだよね……………
だが……………
「なんだが……………落ち着くなぁ」
イネスの体は、私がこれまでずっと味わっていない温もりというものだった。両親を知らないシルヴィにとって、イネスは温もりを与えてくれる家族のようなものになっていたのだ。
「もうちょっとだけ………………このままで」
ギュッと両腕に力を込め、イネスをより抱き寄せて、自分の瞼を下ろすのだった。
と、いう事があった。
「ん、んぅーん………………え?………え!?」
シルヴィが起きた。当然ながら驚いている様だ。シルヴィは自ら行ったのである程度は抑えられているが、そんなの知る由もないイネスは驚いて大絶叫した。
「あ、イネスその………………おはよう?」
「ん、おはようシルヴィ」
だが挨拶されればちゃんと返すイネス。良く出来た人間である。
「それで、この状況はなに?」
「え、えっとぉ〜……………添い寝?」
なんでわざわざ添い寝などを………確かにまだ3月の最初だから寒いかも知れないけどさ。
「ハァ。分かったから離してくれるかな?」
溜息を付いたあと回された手を解いてもらう。じゃないと動けないからね。
「あ、う、うん………………よっ」
若干名残惜しそうに腕を離した。何がそんなに不満なのか分からない。
「まったく……………ご飯行く?」
時計を見ると7時丁度を指していた。いつもより遅いのは初めての魔物討伐に疲れたからだと思う。
「うん、行く行く」
と言ってシルヴィもベッドから起きて少しだけ整える。もしかするともう一泊するかも知れないね。お金が集まればだけど。
「はい完了、それじゃ行こっか?」
「了解」
そこから朝食を食べて外出の準備をする。今から昨日言ったステータス調査をするためだ。その為に調査師のところに行かねばならない。
「それじゃあ行くよ?」
「うん、ちゃんと付いてく」
そう言って宿屋を出た。大通りを道なりに進み、一目見るだけでは何の店か分からない様な店の前に立った。大通り沿いということで客足は少なくないようだ。だが……………
「今日はまだ朝早いから人がいないね」
「…………え?あ、うん」
ちょっと返答に困ってしまった。まぁこれからはこういう場合うんそうだねと言っておこうかな。
と思っていると、シルヴィが店の扉を開けた。そして中に入って行くので僕もそれに続く。
「お?らっしゃい」
「この人のステータス調査お願い出来ますか?」
と言ってシルヴィが僕を指差した。
「おう、分かった。料金は先払い…………だが、お前さん見ない顔だな」
と言って男の店主が顔を見て来た。
「あ…………はい。昨日、来たばかり………です」
「お?昨日この街に来たのか。ってことは初めてここを使うって事だな。じゃあタダだ」
た、タダ?無料ってこと?随分と気前がいい店主さんだな……………
「あぁ、この店の信憑性を上げる為にな。うちの水晶はかなりいいものを使ってるし、魔法も問題なく貼ってるからミスがないぜ」
「それはありがとうございます店主さん」
「ありがとう……………ございます」
「なになに良いってことよ!それよりお前さん、早くこっち来いって」
と言われたので店主の前まで移動する。そして店主は調査方法を説明し始めた。
「この水晶に両手を置いて、魔力を流すんだ。そしたら目の前の板に結果が出る。以上だ」
なるそど随分と簡単なようだ。多分この水晶に送られた魔力を内部で解析して、それを魔法を介して板に映す…………といった感じだろう。
「それじゃ、早速始めてくれ。魔力の集め方は流石に分かるよな?」
分からない。まず魔力というものを知らない。
「…………分かんないです」
「は?おぃおぃ分かんねぇのかよ…………」
店主はヤレヤレと言った感じで言った。




