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神と呼ばれた少年

掲載日:2008/11/20

 ある小さな村に小さな男の子がいました。男の子の名前はベルと言いました。


 ベルは生まれつき普通の人には無い特別な力がありました。それは望めば何でもその通りになる力でした。


 特殊な力の事を知ったベルのお父さんとお母さんは、その力を使い色んな事を叶えさました。暮らしが豊かになると、ベルの両親は働かなくなりました。


 噂を聞き付けた村の人達も毎日やって来ました。村人達も働かなくなり、何かがいる時や、困った時はベルにお願いしました。


 ベルは毎日毎日、何かを望んでいました。


 沢山の人達の願いを叶えていくうちに、ベルには欲しい物がわからなくなりました。


 そこでベルは、夜中にこっそり村を抜け出して、自分の欲しい物を探す旅に出ました。幸い旅に必要な物は望めば出て来るので、後はベルの勇気次第でした。


 ベルが色んな町や村を見て回るうちに、沢山の人を見ました。ベルは貧しい人や困っている人に力を貸しながら旅を続けました。


 ある日、小さな村の貧しい女の子にお金をあげようとしましたが、いらないと断られてしまいました。


 なんであの子は受け取らなかったんだろかと、ベルは旅をしながら考えましたが、答えは見付かりませんでした。


 それから何年かすると各国の町や村で神の力を持つ少年がいると噂が流れました。


 少年の噂を聞き付けた東の最果の国の王様は沢山の兵士に少年を探させました。同じように西と南と北の最果の国の王様も兵士に少年を連れて来るよう命令しました。


 ベルが道を歩いていると東と西と南と北から沢山の兵士がやって来ました。


 四方を囲まれたベルは歩けなくなり、その場に立ち止まりました。


 東の兵士が言いました。我が主の命に従い貴様を連れて行く、と。


 西の兵士が言いました。君の力を貧しい我が国に貸して欲しい、と。


 南の兵士が言いました。お前の力は我が国の物だ、おとなしくしろ、と。


 最後に北の兵士が言いました。貴方は神だ、我々を正しい道に導いて欲しい、と。


 ベルは困り果て、あの女の子の事を話しました。そして、納得の行く答えを出した国の兵士に付いて行くと言いました。


 東の兵士が言いました。その女の子はきっと悲劇を気取ってたんだろう、と。


 西の兵士が言いました。その女の子はきっと君の優しさに戸惑っていたんだ、と。


 南の兵士が言いました。その女の子はきっと死にたがりだったのさ、と。


 最後に北の兵士が言いました。その女の子はきっと誇りを持っていたんですよ、と。


 どれもこれも、それっぽい答えでしたが、ベルは納得が行きませんでした。しかし、それを聞いた東と南の兵士は黙っていませんでした。


 手に武器を取り、猛けり狂ってベルを強引に連れて行こうとしました。それを見た西の兵士と北の兵士も黙っていませんでした。


 東と南の兵士、西と北の兵士達は戦争を始めてしまいました。


 ベルは怖くなりその場から必死で逃げ出しました。走って走って走って、逃げ着いた先はベルが暮らしていたあの小さな村でした。


 いえ、小さな村があった場所でした。ベルが旅をしていた数年の間に村は廃れて、そこに住む者はどこにもいませんでした。


 ベルは思いました。黙って村を抜け出したもんだから、皆で自分を探しているんだ、と。



 それから何年もたちましたが、今もベルは旅を続けています。


 ベルはようやく大切な物とと言うのが、何なのかがわかったような気がしました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「それっぽい」という言葉が若干まわりから浮いているように思えましたが、内容は良かったです。 私は、四つから選ぶなら「北の兵士」の「誇り」が近いと思います。タイトルにも「神になった」とあります…
[一言] はじめまして 作品を読ませていただきました 何だか不思議なお話ですね 東西南北の兵士が云う言葉のすべてに意味がこめられているような気がしました
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