安らかな時間
2人に保護された私は安全なところに確保されまだ仕事がある2人を見送り、のんびりしたメイドが私の相手をする。
丁寧に体を洗われた後、綺麗な服をくれて体に負担のないご飯をくれる。
体を洗われたときに気づいたけど今の私は10才にも満たない子供になっている。
それにそれだけじゃなく同世代と比べるまでもなく貧弱な体になっていて見るからに悲壮感が漂う。
「ごめんねー、まだちゃんとしたご飯は体が慣れてからねー」
カボチャに似た離乳食みたいなのを懸命に食べる。
食事する動作がもどかしく体が悲鳴をあげてるわ、まるで全身が筋肉痛で正直ツラいけど私は生きるんだ!
夢のために!自分のために!何より幸せになるために!
「て、あら?食べさせようとしたけどもスゴい執念ね、大丈夫?まだツラいはずよね?」
「うぅ………正直ツラいわ………でも………………早く1人で出来るようにならないと………」
「もう………子供が遠慮なんかしないのー、甘えられるときに甘えなさい、ほらあーーん。」
「そうね………お願いします………はむ………あれ?痛みが引いていくわ。」
「ふふーん、スゴいでしょーこれねー知り合いの双子に貰ったレシピのお陰よーはい次あーーん。」
「はむ………もぐ………もぐ………美味しいわ………………なんか………ほっこりするわね………。」
「あーーそうねーー、多分それは双子の妹の影響ね、こんなところにも現れるとは末恐ろしいわね、はいあーーん。」
「はむ………もぐもぐ………その双子はどんな人たちなの?」
「そうねーー、なんと言えば良いのかなーー自由でー妹大好きシスコンの姉とーー、食べるのが大好きでーー色々と優秀な妹の人形みたいな美人双子だねーー、はーーいあーーん。」
「はむもぐもぐ………じゃあこれも妹がつくったレシピかしら?」
「ちがうよーーこのレシピは姉の考案だねー料理をするのが姉とそれを食べるのが妹だねー、姉はねー料理スゴいのよーあたしなんかじゃ足元にも及ばないのよー、はーーいあーーん。」
「はむもぐもぐもぐもぐ………これ美味しいわよもぐもぐ………これよりもスゴいの?」
「あらーー嬉しいわーーありがとー、でもねー今のあたしが料理出来るのがその双子の姉のお陰なのよー、それまでは料理なんか出来なかったんだからーーはーーいあーーん。」
「はむはむもぐもぐ………ホントなの?今まで食べてきたなかでも美味しいわよこれ、だとすると相当優秀な先生ね。」
「そうだよー、多分近い将来会えるじゃあないかなーー、あの双子は色々とスゴいわよー今じゃ勇者と魔王なんか目じゃないよーーはーーいこれが最後のあーーんだよーー。」
「はむはむもぐもぐ………もぐもぐ………美味しかったわ、ご馳走さま。それで勇者と魔王がいるの?そしてそれよりもスゴいのその双子は?」
「はーーい、お粗末様ーー、はーーいこちらー食後のお茶よーー、そうだよー勇者や魔王はいてーー今でも有名だけどーやはり双子の方が断トツだねーーでもーーこれはーー裏の事情を知る人達だけでー世間一般的にはー偉業が勇者とー魔王が行っている事になっていることがー多いわねー。」
「どう言うことなの?その双子は?あら、美味しいわこのお茶。」
「ふふふーそうでしょー!これもー双子のお陰なのよーー、そうねーー良くも悪くも自由なのよー、それにー妹が絡んでないと基本面倒くさがりなのよねーだからー平気で成果を他人である勇者にしたりー、面倒ごとは魔王に責任ぶん投げたりしたりしてー色々とスゴいのよーー。」
「なにそれ………それじゃその双子は裏でしか有名なヤバい人たちなの?」
「ううんー、表でも有名だよー、とにかく美人双子だからねー、それだけでも有名だけどーーどちらかと言うとー娯楽とー料理でーー有名だよーーこの屋敷にもーーその娯楽がー色々とあるからー元気になったらーー好きに遊ぶと良いよーー。」
「そう………ね………そうして………みるわ………その双子には………会って………みたいね………」
「あらあら寝ちゃったわね、色々とひどい目にあったみたいだしこれからは幸せになるのよ………」
1人の少女はメイドに安らかに休めるベッドにお姫様抱っこで運ばれる。
今はただ安らかな時間を楽しむことに専念した方が良い、何故なら少女にはまだ試練が待ち受けているからだ。