第2話『入学式(後編)』
入学式が始まってから、30分。
菜々美は座るのに飽きてきていた。
あーー・・・早く終わんないかなーー・・
菜々美は足を崩したくてたまらなかった。
イスは普通の折りたたみイスなのだが、菜々美は足が届かないのだ。
つま先だけ床につけているのは・・・キツかった・・・。
「えー、次は校長先生のお話です」
えっっ!!?マジかよ〜〜〜!!!
菜々美は愕然としていた。
そう、校長先生のお話・・・それは、子供の強敵なのだ。
退屈でつまらなくて・・・あぁ・・
「では、校長先生お願いします」
司会の先生からマイクを受け取ったのは・・・
ナ・ナマズ!!!??
ステージに立ったのは・・ナマズのようなおじさんだった。
っていうか・・・
ち・ちっちぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
一年生全員はそう思ったに違いない。
だって身長は・・・145cmといったところだろうか。
ナマズ先生は、その、自分のつながった太い眉毛をぴクンと動かし言った。
「入学おめでとう!!私は校長の、小野田太郎だ!!
君たちが入学するのを心待ちにしていた・・・そう、新しいダイヤの輝き
を持った君たちを!君たちの素晴らしい輝きを、才能を、見逃さぬよう
全力を尽くし・・・磨き上げてみせる・・・!!」
両手を広げ、天井を見上げながら言った。
「君たちが楽しい中学校生活を送れるよう、協力する事を約束しよう」
そう言って、小野田は教壇から降りて元の位置にもどって行った。
な・長くなくてよかった。
菜々美はほっとした。
まあ、それからは・・・
三年生と一緒に校歌を歌ったり、PTA会長の話だったりと・・・
無事、入学式は終了した。
教室に戻ってきた。
ふと、教室を見回すと・・・
仲のよかった友達は一人もいなかった。
はア・・・菜々美は床を見てため息をつく。でも・・・
これくらいでヘコむ菜々美ではない!!
さっそく友達づくりだ!!
菜々美はそう決心し、女の子たちの輪の中に突入していった・・・