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Losers  作者: ビーナ
1章:這い上がる者、蹴落とす者
8/49

樹海の怪物

 リンネ・オルタナティブが敵対者の排除を誓った次の日の朝――ルシファーがオーナーの雑貨店『Leo』にはいつも通り、ルーザーとリンネがいた。オーナーであるルシファーはリンネが床に就いた後もワインのボトルを開けまくり、現在はベッドの中で二日酔いと戦い、呻いていた。

「リンネさんは……大丈夫なんですか?」

「ええ、問題無いわ。ちゃんと量を見定めて飲んでいたもの」

 角弓達に誘拐された次の日ということもあり、ルーザーは店の中での接客、そして、リンネもルーザーの護衛ということで店内にいた。

「……いよいよ潰れませんか、この店?」

「私はそう思ったことが既に両手両足の指で数え足りない程あるけれど――意外と平気なのよ。腹立つことに、あいつ金持ちだから」

 店が潰れないということはリンネ達の家が無事だということなのだが、それにしても不満気に言ってくれる。そして、ルシファーの財産が豊富であることは、この店の商品が高級仕様であることから何となく察することができる。

「こんなの、誰がどんな用途で買うんですか?」

 そう言って、ルーザーが手に取ったのは良く分からない突起がたくさん付いた棒だった。材質は金属のようだったが、独特な触感があり、重さの割に弾力があるのが分かった。

「知らない。お客さんも知らない物を買おうとはしないでしょうけれど、余程の物好きでしょうね。自分でも分からない物を買おうとするなんて」

「買った物に意味を見出すのではないと思いますよ。買うという行為自体に意味を見出すのです――なんて、よく聞くような言い方ですか」

 毎日のように客がいない店内だったが、今日に限っては違っていた。

 長い金髪を後ろに束ねた運転手の女性――角弓突破が商品を眺めていた。

 何故彼女が運転手であるかが分かるのか――昨日ルーザーを誘拐したツーマンセルの片割れこそが彼女、角弓だからである。加害者と被害者がこうも早く再会するというのも珍しい。

「よくもまあ、こんな朝早くにこんな人気の無い店に顔出せるものね。その辺で客を見つけて、さっさと運転手に戻った方が余程世のため人のためになるでしょうよ」

「だからこそですよ。こういうわだかまりは早い段階で解消させるべきでしょう」

 リンネが露骨に皮肉をぶつけるも、意にも介さず角弓は笑みを浮かべる。笑みはリンネではなく、ルーザーに向けられたものだ。

「不干渉の停戦協定を結んでいる身の上としては、確かにルーザー君達の接触は褒められたものではないでしょう。君が私に良い印象を持っていないのも当然」

「……………………」

「ですが、私もプロの『運び屋』として依頼者から仕事をいただいた身としては、そのことをそう簡単に謝罪する訳にもいかないのですね」

「じゃあ、あんたは一体何しに来たの? まあ、見れば分かると思うけれど、私はあんたに対して殺意を抱いているのよ」

「でしょうね、まったく。相互不干渉の協定を結んでおいて良かったですよ」

 溜め息を吐き、金の長髪を指で弄る角弓。

「では、契約書でも書きましょうか? 何か物として残せば、あなたは怒りを納めてくれるのでしょうか?」

 商談をするかのようなノリで角弓が言う。実際のところ、角弓にとってリンネ達は自分の身を守るための一時的な壁に過ぎない。

「あんたさ――ルーザーに何か変なこと言ったでしょ」

 途端にルーザーの表情が曇る。図星のようだ。

「こいつを連れ戻してから、何だか態度が余所余所しいのよ。あんた、何か言ったでしょ?」

「ああ……何だ。そんなことですか」

 得心行ったように角弓は微笑し、ルーザーの方を見る。見られた本人は目を逸らし、ゆっくりと店から出ていこうとするが、リンネが肩を掴んで逃走を食い止める。

 店内を気まずさが襲い、澱んだ空気が充満する。まるで苛められていた生徒と両親、苛めていた生徒と両親が一堂に会しているかのような状態――実際のところ、誘拐の被害者と加害者という苛め以上に重篤な犯罪なのだが。

「いえいえ、別に嫌味を言ったつもりはないのですよ。ただの疑問を――どうしてリンネさんはルーザーを連れてもっと遠くまで逃げなかったのかな、と」

「別に……ルシファーの命令を受けたから、ここに連れてきただけよ」

「それは本当ですか? いえ、それならそれで構わないのですが――ルーザー君を一人ここに置いて、あなたはもっと遠くまで逃げることも可能だったのではないかと思いましてね」

 露骨に舌打ちをするリンネに角弓はニタリと笑いかける。以前自分を追い込んだ万能の『死神』のこんな表情を見ることができて、一矢報いたといった感じだ。

「ルーザー君があなたにとってのアキレス腱なのかな、と思いましたよ。もし、あなたを殺せるとしたら、彼がキーになるのでしょうね」

 曇っていたルーザーの表情がたちまちに青ざめていく。

 どうしてリンネが自分に対してここまで親切にしてくれているのだろう、とは疑問に思っていた。勿論、依頼を受けたからといって、研究施設の人間のほとんどを殺害してしまう彼女のことを善人とは思わない。ただし、そう感じて尚、誘拐された自分を取り返すために単身で角弓達を追跡した。

 だが、ルーザーが青ざめたのは、リンネが自分を守ることに対して何か背景があるからではない。

 そんなことはどうでもよかった。

 自分がいることで、リンネ・オルタナティブという恩人を弱くしてしまっている。あの地獄から救い出してくれた彼女を、自分が危険に晒してしまっている。

「待て、待ちなさい。私がここにいるのは依頼人に無理矢理住まわされて、ルーザーの面倒を見るように言われたからだし、あんた達から全力で取り返そうとは知ったのだって、その依頼の範疇よ。何を勝手な解釈を吹聴してくれてるの」

「勝手な解釈ですか。ですが、彼が貴方の弱点になるという点は否定されな……」

 角弓の言葉を遮るように、リンネが彼女の胸倉を掴み上げる。即座にルーザーが止めに入ろうとするも、憤怒の形相を浮かべるリンネの表情を見た瞬間、足が竦み、口の中の水分が蒸発した。

「……これ以上下らない話をするようなら、協定なんてすぐに破却して、このままあんたを絞め殺しても構わないのよ?」

 美しい黄緑の瞳は薄く陰り、純白の髪は風もないのにユラユラと一本一本に命が宿っているかのように蠢く。かつて見たことがないレベルでの怒り――何がリンネの逆鱗に触れたのかは言うまでもない。

「あの時、あんたらの口車に乗ったのはそれがルーザーが早く戻ってくる、一番手っ取り早い方法だったから――けれど、それを無効にする要因をわざわざくれるって言うなら、私は貴様を何の躊躇いも無くぶっ殺してやる」

 リンネの背後から空間を切り裂くようにして大きな鎌が現れる。今まで確かに何も無かったはずの空間は、その鎌を迎え入れるように自ら空間を割いたように見える――それだけの威圧感がリンネとほとんど同じ大きさの鎌からは放たれていた。

「もういっそ、このまま刈り殺そうかしら? あんたのその余裕そうな表情見ていると、何だかあの馬鹿を思い出して苛立つのよ」

 それが一体誰のことであるかについては敢えて言及しないでおくとして、リンネの指に掛かる力が徐々に強くなる。

「詫びる気は無い、ただ煽るだけ――百害あって一利なしとはまさにあんたのことね、角弓突破」

「おや、私の名前を知っていましたか」

「改めて調べたら、そこそこの有名人じゃないの――裏の世界のね」

 主に『運び屋』と呼ばれ、『誘拐屋』と呼ばれる人攫い専門の男とタッグを組んで仕事をしており、人質、人身売買のような犯罪に手を染めることもあれば、犯罪組織に捕らえられた一般人を奪還、送迎といった人の命を救うケースも存在しているため、良くも悪く金次第の女であるということが分かった。

 今回はそれが悪い場合だった――そして、リンネ達からの第一印象も悪いものとなったのだった。

「あなたほどではありませんよ、リンネ・オルタナティブ。報酬さえ支払われれば、どのような汚れ仕事も請け負う。私達は同じ志を持つ仲間じゃないですか」

「あんたと志を同じくした覚えはない」

「私がここに来たのはですね、この間の続きをしようかと思いまして」

 話を強引に方向転換させ、本題を切り出す角弓に、苛立ちが込み上げ、腕に掛かる力を強めるリンネだが、今度こそルーザーが制止に入る。

「この間の続き……って、俺の誘拐、か?」

「それは相互不干渉の協定に抵触するでしょう」

 苦笑する(単純に胸倉を掴まれてそろそろ息苦しくなってきているだけかもしれないが)角弓はルーザーの方を見て、

「研究施設へ連れていくと言ったでしょう。職員が全滅した今なら、比較的安全に施設内を探索できます」

「!」

 元モルモットだったルーザーからすれば、地獄と同義だったあの場所に戻ることはただ心の傷を抉るだけでしかない。行った結果、メリットがあるとは限らない。

 だが、どうして自分があんな目に遭わなければならなかったのか?

 どうして自分が生み出されたのか?

 親は一体誰なのか?

 それらの疑問を解決する手掛かりは得られるかもしれない。自分を連れ戻すために『誘拐屋』と『運び屋』に依頼したということは、研究施設の関係者、あるいは幹部がまだ存命しているということだ。本人から直接話を聞きだす、という手段も取れるかもしれない。

「自分のルーツを知れる良い機会かと思いましてね。これでこの間の遺恨は互いに水に洗い流そうじゃないですか」

「自分の依頼者を売るって言うの?」

 自分達に有利な展開であるとはいえ、少なくとも報酬でどんな仕事もするという点では共通していたリンネが責めるような視線を送る。

「私達の依頼者は研究所とは違う組織の方でして、報酬という繋がりが無い以上、守る義理はありませんよ」

 悪びれる様子も見せずに言う角弓。左の親指と人差し指で輪を作り、お金のジェスチャーをする姿が何とも生々しい。

「だから、あなた達をあの研究施設まで案内することに何の問題も無い訳です」

「……信用できない」

 ようやく角弓を離し、リンネが口を開く。手にした大鎌の刃先だけはすぐに殺せるようにと、角弓の喉元に向けられている。

「あんたが何を考えて、何をしようとしているのか、全く理解できないし、するつもりもないけれど――何よりわざわざルーザーのトラウマを抉るような真似はしたくない」

「私はあなたではなく、ルーザー君に提案したつもりだったのですが? そもそもあなたは少し過保護ではありませんか?」

 母親でもあるまいし、と呟き、黙って聞いていたルーザーにずいっと顔を近付ける。

「それでどうでしょう? 今ならば特別に無料であなたをあの研究施設跡地にご案内致しますが」

 リンネが見守る中で、ルーザーは答える。

 どれだけの危険や死のリスク、心の傷を深く抉るようなことになろうとも、やはり、自身のルーツを知りたかったから。

「俺も……あんたは信用できない」

「なるほど」

「……だけど、今はそれしか知る術は無いんだろ。だったら――」

 だったら、連れて行け――そう叫ぼうとした直後、首筋に鈍痛が走り、視界が急に暗転する。

 ルーザーの意識が一瞬にして刈り取られた。



***



「あんたはまあ……知らないだろうけれど、あの研究施設は科学だけではなく、魔導……つまり、魔術をも研究していたのよ」

「人造人間……科学的な技術だけで生み出されていたなら、あなたはホムンクルスではなく、アンドロイドになっていたでしょうね」

「人間のクローン製造なんて、倫理的にもアウトな研究――陰で細々とやるしかないでしょう」

「彼らは細々と活動できなかったから、あなたみたいな人に目を付けられて、壊滅させられたのでしょうがね」

「目を付けたのは私じゃないわよ、私の依頼者よ」

「殺したのはあなたでしょう?」

 互いに第一印象と裏の世界での評判が良くないためか、更には主義も異なるためか、口喧嘩が勃発していた。

「大体、ルーザー君を気絶させる必要ありましたか? あれ、後で私に罪被せないでくださいね」

「信用されなかったら、それはあんたの日頃の行いが悪いせいよ」

 二人の声はラジオから流れる曲よりもハッキリと聞き取れるのに、耳に入り込んでは脳に情報を残さずに通り過ぎていく。覚醒したばかりの頭では上手く状況の整理ができない。

 まず、首筋に残る鈍痛は、手刀か何かで気絶させられた時のものだろう(どうして気絶させられたのかはさておき)。

 次に、ここに車の後部座席だ、しかも、二度目になる角弓のワンボックスカー。まさか昨日の今日でこうも早く自分の誘拐で使われた車に乗せられることになるとは思わなかった。

(俺はまともに車にも乗せてもらえないのか……)

 思わず頭を抱えたくなるも、前回と違うのは、運転をしているのがこのワンボックスカーの持ち主である角弓ではなく、リンネ・オルタナティブであるという点。もう一つは前回は角弓とコンビを組んで自分を誘拐した、あの長身の男――名前は確か、歩谷唐比等がいないということだった。いや、あの男は布地と一体化する能力を持っていたから、もしかすると、今自分が座っている座席と同化しているのかもしれなかった。そう思うと、一刻も早くこの車から下りたくなるのだが――

「あら? 起きましたか。あと数分も経てば研究所の方に着きますので」

「寝てなさい、あんたがこれから見るのが決して良いものだとは限らないわよ」

 鋭いリンネの言葉に意識が急速に覚醒するのを実感した。『Leo』からあの研究施設までは車でもかなり距離があったはずだ。ルーザーを一度気絶させたのは、彼が一人であの場に向かわないように、道を覚えさせないようにか――

「そんなに寝てたのか、俺は?」

「ぐっすりですよ。普段相当ブラックな労働環境に身を置いているんですね」

「馬鹿なことを言わないで。ブラックなのはあの店のオーナーであって、上司に問題は無いわ」

「サラッと責任逃れして恥ずかしくないんですか?」

「ついでに言うと、あんたもなかなかに手厳しいからな」

 返事は無く、代わりにブレーキが掛かる。急ブレーキによって、角弓はフロンドガラスに、ルーザーは前の座席に顔面を打ち付ける状態となった。

「着いたわよ。御託はいらないから、さっさと降りろ」

 額を擦りながら車から降りるルーザーの視界に、脱出した際に初めて見た地獄の風景があった。

「私は来るのは初めてですが……随分と寂れた場所ですね」

 目を細めて呟く角弓はボックスカーにロックを掛けてから、周囲を見渡す。当然というべきか、無人の研究施設は静寂に包まれていた。世間にも秘匿とされていた建築物であるため、無人になったからといって肝試しに訪れるようなカップルもいないだろう。

「それは良いことよね。無駄な労力を費やさずに済む」

「もし、一般人が迷い込んでいたら――」

「ケースバイケースよ。ただの一般人だったら、気絶させてその辺に転がしておきましょう。研究施設の関係者に見えたら、拘束して情報を吐かせた後に殺す」

 それが普通のことであるかのように言い放つリンネだったが、ルーザーの表情が曇っていることに気付くと、溜め息を吐き、彼の頭をポンッと撫でる。

「まあ、まずはあんたの身の安全が最優先だろうから、戦闘にすら入らないかもしれないけれどね」

 一番好ましい展開は事が全て終わるまでルーザーが気絶しているというものだったが、流石にそこまで長い間眠り続けるということにはならなかった。

「お優しいですね、別に来ると決めたのはルーザー君なのですから、気を遣う義理も無いでしょうに」

「あんたと違って私にも一応赤い血が通ってるってことなんでしょうね」

「あはは! 何の冗談ですか、それ?」

「私のやり方が気に食わないなら、あんたはさっさと帰った方が良いわよ」

「まさか。あの『死神』と一緒に行動させていただく機会なんてそうそう巡ってきませんのに、それをわざわざ手放したりはしませんよ」

 カラカラと笑う角弓の言葉の一体何割が本心なのかは知れない。だが、やはりルーザーの身の安全を考えた場合、一緒に行動することの不安を全て拭い去ることはできない。将棋のように元々敵だった駒を完全に自身の戦力として制御し、扱えるようになれたらどれだけ楽だろうか、と愚痴を零したくなる。

 ふと研究施設に視線を移すと、無人のせいか外壁などの汚れや老朽が早い気がする――そのせいでこんなにも鬱屈とした気持ちになるのか。

「……………………?」

 首を傾げるリンネを早々に施設内に入ったルーザーと角弓が呼ぶ。返事をするリンネは改めて研究施設の外装を見やる。

 デザイン性はまるで無く、プラスチックの模型をそのまま人間が住めるサイズまで大きくしたかのようだ。人気の離れた場所に建てられたために雑草は生え放題となっており、膝の高さまで伸びきっていた。そして、その雑草に埋もれるように、施設の看板が横たわっている。スチール製の板にペンキで適当に描かれた文字は、雨ざらしにされたのか掠れて見づらくなってたが、何とか読み取ることができる。

「『飛鳥寺研究施設』か」



***



「飛鳥寺? いや、そんな名前は知らないけれど」

「そうよね。私も研究施設とだけしか言われなかったから、初めて聞く名前よ」

 施設内の照明は無人であっても辛うじて機能していた――仄暗い通路を歩きながら、リンネはこの研究施設の名前として付けられていた『飛鳥寺』という名前について訊ねた。

「飛鳥寺、ですか……私はどこかで聞いたような気がしますね」

「……まあ、話半分に聞いておきましょうか」

「詳細不明。性別、容姿、年齢、特徴らしい特徴がまるでないって噂ですね」

「つまり、何も知らないってことですか?」

 リンネは舌打ちをして、角弓の脇腹を小突く。小突いたにしてはダメージが大きそうな音が角弓の体の内部から聞こえたが――

「いや……情報提供をしたのに、この仕打ちはおかしい……」

「何も知らないことを状況提供と捉えるようなら、随分とあんたは自分に甘いわね」

「その罰が脇パンチだとしたら、あなたは他人に厳し過ぎますね」

 本日何度目になるか分からない、リンネと角弓の間を飛び交う火花を溜め息交じりに眺めつつ、ルーザーは自分がかつて収容されていた部屋の前で立ち止まった。かつては余命が僅かという状態で、ベッドから起き上がるだけで吐血する程もがき苦しんだ記憶が蘇る。

 『失敗作』とはいえ、多額の投資の末に完成したホムンクルスを簡単に死なせたくはなかったのだろう――感染症に対する抵抗さえ持ち合わせていなかったルーザーを保護(という名目で幽閉)するべく、彼の部屋は常時無菌状態を保たれていた。

「それも、最早機能していない……か」

 どのような技術かは知らないが、有害な菌をルーザーに接触させないように外気と遮断していた強化ガラスは無惨にも砕かれていた。これでは無菌も何もあったものではない。床に散らばったガラス片には変色した人間の血もこびり付いていた。言わずもがな、リンネ・オルタナティブに惨殺された職員達の血痕である。そして、強化ガラスを砕いたのもリンネ――つまり、この部屋、だけではなく、研究施設内の全てはリンネが押し入ったあの日から変わっていないことを指し示している。

 ただ一つ、殺された職員達の亡骸が一切残っていないことを除いては。

「手は加えていないはずですよ。確かに施設が壊滅したとは聞いていますけれども、人一人の遺体すら処理が容易ではないのに、研究員全員分の始末とか……どれだけ手間かって話ですよ」

 ただ角弓の耳に届いていない(省かれたとも言う)だけで既に組織の内の誰かが始末した、という可能性もあるが――それにしても、物騒な単語が次々と口から飛び出してくる。実際のところ、あの雑貨屋で仕事をしているよりも、こんな血生臭い世界に浸っている時間の方が圧倒的に長いだろう。

「……………………」

 リンネは室内を見渡し、思案顔で首を傾げる。

「何か、臭わない?」

「臭う……?」

 言われて、改めて嗅覚に意識を集中させる二人。研究施設という特殊な環境下における独特な香りか、あるいは所有されている薬品の匂いなのか、と思っていたが、認識すると鼻腔を刺激する特徴的な臭いによって二人は顔を顰める。

「これって、果たして嗅いで大丈夫な臭いなんですか?」

「さぁ……? 俺も長いことこの部屋にいたけれど、こんな臭い初めてで――」

 人間が大量に死んだ――惨殺された空間を鑑みれば、これは死臭なのだろうが、それにしても相変わらず死体は確認できなかった。

(いや……確か、俺自身施設の連中の死体を確認した訳じゃないのか)

 更に思い返せば、そもそもルーザーは死臭をいうものを嗅いだことすらない。だから、この悪臭が死臭なのかと訊かれると、返答に困るというのが実情だった。

「連中は死んだわよ、私が殺した。そして、この臭いは間違いなく死体が傷んだ時に出る腐臭よ」

 そんなルーザーの疑念を見抜いてか、リンネが断言する。

「いえ、それは私にも分かりますが、というか、別に殺害の審議を疑った訳ではないのですが」

 怪訝な表情でルーザーとリンネを見る角弓。このまま行くと変な勘繰りをされそうだ、と心の中で短く舌打ちをするリンネは、

「この部屋はまあ、臭い以外は気になる箇所は無さそうね――他の部屋も見て回りましょう」

 と、他の部屋の探索を促す。振り返って、ドアの方を向く。

 この時にリンネは気付くべきだった――この『飛鳥寺研究施設』で自分が殺した職員達の死体が何故ないのかを。自分が摘み取った命の責任を取る、というせめてもの義務を果たさなかったことを、リンネは後に後悔することとなる。



***



 振り返った先にあったものは樹海だった――いや、正確には樹海を構成するのは樹木ではなく、菌類が肥大化した『何か』のように見えた。勿論、このサイズの菌類、菌糸類など今までの人生で見たことはないし、想像だにしていなかった。一般的に菌と植物を結び付けるならば、ほとんどはキノコをイメージするだろう。実際、ドアの向こう――先程まで3人が歩いていた通路全体を埋め尽くしている正体不明の樹海を構成しているのは、キノコのようだった。図鑑でも見たことがないような種類のキノコは、多種多様にして色鮮やかなものからグロテスクな形のものまであった。

「うわっ……!」

 それらを見て全身の毛が逆立つような嫌悪感や視界に入れることさえ拒絶したくなるような衝動がルーザーを襲う。

 反応としてはややあっさりとしたものであるように思われるが、想像してほしい――先程まで確かに何もなかった場所を、突然虫が蠢くように、キノコが群生している様を。

 脳は状況の整理に大半を割かれ、瞬間的な判断がおよそ不可能となっていた。

「馬鹿!」

 ルーザーが叫ぶ。「え?」と声の方に顔を向けようとしたルーザーだが、その間に見えてしまった。ビチビチッ! と、やはりグロテスクに蠢く菌類が触手を生やし、自分に向かって迫っていた。あんな得体の知れない菌類が密生している樹海から飛び出した触手に触れることがどれだけのリスクを孕んでいるかは想像に難くなかった。

「っ!」

「えっ? ぁ――つぅっ……」

 視界が急に上方へと移った。後頭部を床に打ち付けることとなったが、あんな触手に捕まるよりはずっとマシだろう。ルーザーの重心が後方へと逸れたのは、即座に彼の元に駆け付けた角弓のスライディングをして、足払いをしたからだった。狙いを外し、しかし、軌道修正も叶わなかった触手はベチャッ、と水っぽい音を立てながら、壁に衝突し、そのままズルズルと床を這うようにして樹海の元まで引き寄せられた。

たこ烏賊いかみたいに、自分の腕みたいに動かすことはできないみたいですね」

 冷静に分析するように角弓は言うが、頬を伝う汗は彼女の動揺を如実に表していた。

「あの音からして、水分を多く含んでいるみたいだけれど……まあ、毒性でしょうね」

 リンネがさっき触手が衝突した床を指差して告げる。清潔感を保つように綺麗だった白い壁は、まるで火災にでもあったかのように黒く変色していた。

「毒……いや、細菌の類じゃないかしら?」

「どういうことでしょう……? 確かにここの方々は生物の研究をメインとしていましたが、まさか残されていた研究物が今になって動き出したと――」

「そんな訳無いでしょ。そんな都合が悪い展開――私達の中の誰かが壊滅的なまで不運じゃなきゃ、今まで眠っていたものが動き出すなんて……」

 言いかけてリンネはふと変色した壁をまじまじと見つめるルーザーに視線を移した。同様に角弓もルーザーを見やる。

 壊滅的なまでの不運。

 先日角弓と歩谷に誘拐された時のように、今回の施設を覆う正体不明の樹海も彼を狙った、敵からの襲撃だとしたら――

(いたわねぇ……。そんな、不幸な奴が)

 口元を引き攣らせながら、リンネは天井を仰ぐ。



***



 『飛鳥寺研究施設』。人道的、非人道的に拘わらず、知的好奇心に基づいて研究が行われるその場所で生み出された成果物――あるいは『異物』は、とても世間に見せられるものではなかった。

 この部屋はそういった『異物』を管理するための場所であり、研究施設の責任者のプライベートルームでもあった。

「聞いたところだとー、ここの室長ってそんな『異物ゲテモノ』を眺めて悦に浸ってたらしいんですよねー」

 語りかけるように、ボロボロドレスの女性――金谷都は飾るように並ぶ試験管を撫でる。

「でも、私達みたいな化け物からしてみればー、折角、妖怪から離れて安全な暮らしができるのに―、敢えて化け物を生み出そうとするなんて、意味不明なんですよねー」

 指先が触れた箇所からカビが試験管に纏わり付く。絵筆でキャンパスに絵具を塗りたくるように、金谷の体は空間にカビを塗り付ける。

「私ってこんな力持ってるから―、まともに誰かと触れることもできないんですよねー。まあ、そのことに対しては諦めが付いてるけどー、もうどうでもいいんですけれどー……」

 指先で撫でる、頬を擦り付ける、舌を這わせる――あらゆる動作は室内を汚していき、他の部屋以上に清潔が保たれていた、施設の責任者のプライベートルームはカビで埋め尽くされていた。

「でも、だからって、他人が幸せそうに手を繋いでたりするのを見るとー、無性むしょうに壊したくなるんですよー、穢して、犯したくなるんですよー」

 その時握っていた試験官が甲高い音を立てて、破裂する。飛び出した試験管の中の液体は、カビと接触し、揮発きはつしては異臭を放った。

「だからー、壊すんですよー。ルーザー君でしたっけー? 折角、地獄から生還したみたいですしー、相当悲惨な目に遭ったみたいだから―、見逃してあげなくもないんですけれどー」

 しかし、その選択は有り得ない。一つは、『組織』からの命令だから。二つは、(あのムカつく)参謀の銀川椎木に無断で来てしまったため、手ぶらでは帰れないから。

 そして、重要な三つ目――

「ルーザー君は今幸せそうだから。私よりも酷い目に遭っていないくせに、幸せそうだから」

 これが銀川が金谷の扱いに困っている所以ゆえんでもあった。

 他人の幸せを喜べない、激しく嫉妬し、破壊する――しかも、本人がそれに対して無自覚である。自分の人格の破綻に気付けていない。

『あの人にとっては、仲間内の勝利すらも他人の幸せに見えてしまうんでしょうね』

 参謀からはこのように評され、組織内での彼女の通り名は『異端者』となった。

「だから、不幸な私は幸せな彼を殺してもいいんです。不幸を御裾分おすそわけもいいんです」

 クルクルと踊るように回りながら、歌うように金谷が言う。ボロボロのドレスの裾からカビが零れる。

「あなたは別ですよー。だから、こうして生かしておいてあげるんです」

 ピタリと180度回転した位置で止まり、自分のカビで縛り付けている相手を見て、嗤う。

 カビは縄のように形成され、鉄程度の硬度を得ている。通常であれば、破壊することが叶わなくとも、抵抗することは可能だが、呼吸が困難である程にカビが空気中に充満したこの部屋では体力の低下を早めるだけだ。だが、金谷は『彼女』がこの状況下でも普通に生きていられることを知っている。

「あなたもなかなか不幸なようですからー、哀れに思って、こうして拘束程度で留めている次第ですー」

 対して、拘束されている女性終始無言を貫き、顎の先で首から鎖骨の辺りまで纏わり付いているものに触れる。カビで生成した拘束具ではなく、金属とプラスっチックで製造されたそのチョーカーはシンプルなデザインで、赤と緑の小さなランプが付いているだけだ。今は緑のランプが点灯している。

「可哀想にー。あなたの能力がいかに危険だからってー、小型爆弾を取り付けられて、死ぬまでを管理されるなんてー」

 言葉とは裏腹に、間延びした口調と眠たそうな表情は首に爆弾を取り付けられた女性をどうすればもっと利用できるかという企みを如実に表していた。そして、それは当然女にも分かっていることだ。

 毎日生死を握られた生活を送っていたためか、感情の起伏はほとんど消え去り、利用されるという状況にも慣れてしまっていた。

「……一つ、訊いていいだろうか?」

 この環境で死人同様に薄れてしまっていた自我が蘇ったのか、女は金谷に問いかける。

「どうぞー。私達は仲間ですから―。それよりも、あなた喋れたんですねー」

「私の存在をどこで知った? どうもしばらく研究施設の連中が私の様子を見に来ないと思ったら、今度はお前が来た。外で何が起こっている?」

「言いませんでしたっけー? ここの人達はほとんどが殺されましたよー。一人の成果物を奪いに来た死神にねー」

「死神……? ふむ……」

「それよりもー、私が作ったカビはまあ、時間が掛かるにせよ、あなたなら、その爆弾を外した上でー、自力でここから脱出することだってできたんじゃないですかー? どうして、まだいるんですー?」

 あなたは『被験体』である前に、ここの科学者なんですから――その言葉に、顎の先で首の爆弾を撫でる女は答えなかった。



***



 リンネが手を伸ばすと、虚空から飛び出したのは彼女の身長以上の長さの鎌が現れた。

 それは死神を象徴する大鎌――俗に『死神のデスサイス』呼ばれ、万物を切り裂く、特定の条件下においては無敵を誇る武器になる。

「もっと早く使ってほしかったんですけれどね!」

 自前の身体能力で次々と放たれる触手をかわしながらに文句を口にする角弓。回避に苦戦するルーザーを庇いながらのため、表情には焦りの色が滲んでいる。

「これの正体を見極めるまで使うのを避けたかったんだけれど――これが錆びることはないと思いたいわね!」

 風を切り裂く音と共に鎌を横薙ぎに振るう。

 入り口付近の壁を貫通して、通路に一文字の傷跡が残る。斬撃を受けた樹海の一部と触手は跡形も残らずに消滅した――が、滅却した部分は即座に周辺のキノコと癒着し、再生する。

 植物の再生力については聞き及んでいたが、ここまでの速度を目の当たりにすると想像を絶する生命力だ。確かに『死神の鎌』を使えば、切断自体は容易い。それどころか、人間の一般男性の腕力でも引き千切ることは叶うかもしれない。

(だからこその再生力……か)

 斬ることが容易いということは、触れさえしなければそれ程の脅威ではないということになる――いや、それはそれで十分に脅威なのだが(実際にルーザーが苦戦を強いられている)。

 要するに、どれだけ切り刻まれて、最終的には全滅しても構わないから、侵入者達を足止めしろ、というのがこの樹海に込められた意図なのだろう。

 もしも、ここが屋外であれば、車の機動力と突貫の威力で蹴散らせたのだろうが――

「あ、それいいですね」

 と、この状況を打破する策を思案していた輪廻から表情で読み取ったのか(迷惑なことに)、角弓が額の汗を拭いながら言う。

「……何が?」

 苛立ち交じりにリンネが訊ねる。ついでにルーザーが角弓の胸に抱かれるような体勢になっていることについて(役得と言うのだろうか?)も追及したかったが、緊急事態によりスルーする。

「要するに、その出入り口と通路を塞ぐ謎の樹海を突破すればいいんですね?」

「……後ろの壁をさっきみたいに切り裂けばいいんじゃないですか?」

 角弓の胸に埋もれる姿勢から脱却し、ルーザーが提案するも、二人はすぐに首を横に振る。

「あの樹海からは妖気を感じます――分かりますか、妖気? 妖怪が放つ気であり、スタミナであり、消費した後の残留物みたいなものです」

 指紋のようにね――角弓はそう言って、宙に人差し指で何かラインのようなものを描く。

「今のは私が察知したあの樹海の妖気を辿った――まあ、大雑把に告げると、この樹海はほとんどの通路を埋めています」

「この部屋の壁の先は研究室。部屋は移動できるけれど、問題の解決にはならない」

 言って、リンネはかつてルーザーが横たわっていたベッドから白いシーツを引き剥がし、触手が触れた黒ずんだ壁に投げ掛ける。壁の黒い染みは清潔さを保っていたシーツに広がり、侵食していく。

「これはカビですか……。それも通常であれば、有り得ない速度で菌が増殖している」

「カビ!? じゃあ、あの触手も――」

「菌を保有しているんでしょうね。菌=毒って訳じゃないんでしょうけれど。敵が操る菌が無害なはずがないわよ」

 改めて、触手の出現元となった鮮やかな色彩の樹海に視線を移す。敵の攻撃が菌だというだけでも驚愕に値するのに、その菌が可視できるレベルで集合している。

「除菌スプレーとかで消えたりしませんよね……」

 乾いた笑い声と共にルーザーが訊ねる。

「そもそも除菌スプレーを常備している程、私は女子力高くないわよ」

「スプレーが何缶あったところで、打開できる状況ではないのでしょうね……」

 心底面倒臭そうに角弓が呟く。手元にはリンネ程ではないがこのピンチを切り抜けるだけの手札もある。

(そう――文字通りの手札)

「あんた、何か持ってるの?」

 内側の胸ポケットに手を入れる角弓を見て、不意にリンネの視線が刺さる。生命の危機が迫る中で苛立ちのが募り、眼光に殺気が混じる。何かあるなら、さっさと出せ――と言外に仄めかす。

「あなたのそれで、一掃できないのですか?」

「やれるならやってるのよ。明らかに私の斬撃を超えた再生速度よ」

 幸いにも、あの樹海の菌に高度な思考があるということはなかった。攻撃されたからといって、即座に反撃されるということはない。触手を出して、リンネ達を襲ったのは本能的なものなのだろう。

「それで? あんたが今出そうとしてるのは、このピンチを脱却できるだけの代物なんでしょうね?」

「その恩恵にあやかりたいのなら、もう少し私に対して敬意やら敬語やらで示してほしいものですが」

 まあ、いいでしょう――溜め息交じりに呟いて、数枚の写真を取り出す。

「それは……?」

「写真、イラスト、図面と各種揃えていますが――さて、ルーザー君。これは何でしょう?」

 言って、両手のそれぞれの指の間に挟んだ『それら』をルーザーに見せる。何のつもりか、と僅かに戸惑うルーザーだったが、ストレートに質問に答える。

「え、と――車……自動車?」

 自動車――の写真、イラスト、図面をポケットに収まるサイズで印刷している。

「上出来です。これで動かせます」

 指に挟んでいた合計10枚の写真を入り口付近のカビの樹海に向かって放る。

 ブォン――異音と共に加速し、自在な動きを見せる写真。まるでそれぞれが意思を持ったかのように動き、乱反射する。やがて、菌の樹海に突入した写真達はその薄さ、強度から想像も付かない轟音と爆発を起こし、周囲の壁ごと粉砕してみせた。

「なっ……!?」

「あんた、実は爆弾魔だった訳……?」

「そんな当たり前の感想や質問は要らないですから、さっさと行きますよ。あの爆発を受けてもまだ殲滅できている気がしないんですから」

 絶句する輪廻とルーザーに辟易した様子で角弓は、周囲に再生している樹海の断片が無いかを確認している。懐に手を伸ばしている仕草からまだ先程のような『爆発する写真きりふだ』は残っているらしい。

「カビ……菌か。一人、知り合いに心当たりがあります」

 増殖が止まった樹海の破片を踏み砕きつつ、角弓が思い出したように呟く。靴裏からローラーが飛び出し、ルーザー達よりも前を走る。

「何それ? いい年して、ローラースケートにハマってる訳?」

「そんな訳ないじゃないですか。これが私にとって実践的な装備なんですよ」

「それで、知り合いなんですか――この奇襲を仕掛けた奴と?」

「知り合い……ではありませんね。あくまでも一方的にこちらが知っているだけです。ただし、それでも『彼女』の能力自体は凶悪だとして名が広まっているので、もしかすると、リンネさんの方がお詳しいのではないですか?」

「……………………」

 押し黙るリンネ。無言ではあるが、全身からどす黒い殺気が湧き上がってくるかのようだ。

「金谷都さんと言ってですね――私からできる説明としては、あの人はまともじゃないと言うことです」

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