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36話「戦いの玉座へ」

SCARLET36:戦いの玉座へ


・12月7日。金曜日

ついにカルビ大会を明日に控えた。

道場に集まる俺達。

「なんだ、お前いたのか。」

「ひどいですよ先輩。」

久しぶりに里桜が顔を見せた。

あの日久遠にボコられてそれ以来入院しながら受験した結果

ムカつくことに無事高校に入学出来て暇になったから

カルビ大会に参加することになったらしく

大倉会長からここで修行して来いと言われたらしい。

「誰だっけこの人?」

「えっと、確か前に一緒に稽古をした・・・」

「うをい!お前ら俺のこと忘れてるの!?」

「1年近く前だから仕方ないだろう。

特に久遠とは一度しか会ってないんだから。」

「いや、それ以前にも普通に道場での稽古で何回か会ってましたけどね。

・・・けど良かった。もう出番ないかと。」

何か意味深なことを言いながらほっと一息つく里桜。

「けどカルビなら俺も出るんだぞ?」

「はい、分かっています。もし当たったら速攻で棄権します。」

「一発でも当ててみろ。100をやろう。」

「・・・どうせ100円かパンチ100連発でしょ?」

「いや、100万発だ。」

「・・・俺はまだトースターになりたくないんでパスします。」

「ひき肉でもいいぞ?」

「そんな意味不明で暴力的な妥協案を聞いて

Yesを頷けるほど人間はマゾな思考回路に出来てはしませんよ!?」

「ちょうどいい。他に誰が出るかわかるか?」

「・・・そうですね。大倉うちからは馬場雷龍寺と龍雲寺に久遠寺。」

「久遠ちゃんだよ!」

「その3人は知っている。」

「なら斎藤さんが出るってことも?」

「何?斎藤が?」

「ええ。確かに現役は引退しましたが今度に限って

先輩の弟子と戦いたいからって参加するそうです。

道場の方では割と有名になってましたよ。

あと毒島さんとかですかね。」

「斎藤以外に有益な情報はなかったな。」

「待って!拳を握らないでください!

・・・え、えっと伏見からは遠山が出るそうです。」

「ほう、遠山が。」

「・・・いいリターンマッチの機会かもしれませんね。」

赤羽の表情が変わった。

あれからどれだけ実力の差が縮まったか確かに見物だな。

「そして、三船からはマスターホワイトが参戦するそうです。」

「・・・三船の完全人造人間パーフェクトサイボーグ

最強の白帯マスターホワイトか。」

「・・・あの男まで・・・」

「・・・何だかものすごいメンバーだね、今度のカルビ。」

「・・・ああ。明らかに全国クラスのメンバーが多すぎる。」

嫌なタイミングで参加を表明してしまったかもな。

あるいは俺が参加を表明したからこんな波乱に?

とにかく無事に戦いを終えられそうな相手がほとんどいない。

24時間後に一体何人が勝ち進んでいられているか・・・。

「今回のカルビ大会に参加する人数は250人。

例年よりも50人多いですから試合回数も多くなってると思います。

明日一日フルに使ってベスト16か8まで決めるそうですが

倍率は30倍か15倍か・・・。」

「・・・・・・」

流石に緊張が場を覆ってきた。

だからそれを破るためにも一発里桜を殴っておく。

「ぎゃ!!」

「すごい舞台装置だ。

大会の説明からそれで起きてしまった場の緊張を慰めつつ

俺のストレス解消までしてくれるとはさすが俺の弟子だ。」

「そんな褒められ方嫌すぎる!」

「・・・あれだね、死神さんは女の子には優しいけど

男の人には滅茶苦茶になるんだね。」

「私は前回のを見てなんとなくそんな気がしていましたけどね。」

「とにかくだ。ここまで来た以上敢えて特別なことはしない。

自分の力を信じろ。相手に臆するな。それだけで未来は応えてくれる。」

「お、俺を殴りながら言われても・・・がはっ!!」

「よって今からはいつもどおりの稽古を始めるぞ。

赤羽と久遠は腕立て・腹筋・スクワットを30回5セット!

里桜は外に出て上着を脱いで木の枝にぶら下がって1時間懸垂!」

「死ぬ!腕が!俺の社会的尊厳が!!死んでしまう!!」

「心頭滅却すれば尊厳の1つや2つ剥がされても無心でいられる!」

「そんな修行の成果は嫌すぎるぅぅぅぅぅぅ!!!」

「Go!Go ahead!to the hell!!!!」

「もはや普通に死ねって言ってるじゃないですか!!」

「今から死んだ気になっていれば実際に死んでも全く平気だ!

モーマンタイだ!だから死んでこぉぉぉぉぉぉい!!!」

「俺は生きる!生きてこの光を繋ぐ!」

「名前的にそれは俺のセリフだ!!パワーを絞り出してこいぃぃぃぃ!!」

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

ふう、やっと馬鹿弟子の上着を剥ぎ取って外に追い出せたぞ。

かわいそうに外でくしゃみの音が多発している。

余りにもかわいそうだからバケツに汲んだ氷水を

背中からぶっかけておこう。

「・・・私達女の子で本当に良かったよね。」

「・・・そうですね。」

仲良く二人で筋トレをする二人に視線を戻す。

「一応念のため聞いておきたいのですが。

甲斐さん、もし私が男だったとしたらあのようなことを?」

「そもそも引受けなかった。」

「・・・・・そ、そうですか・・・・。」

「よかったね美咲ちゃん。女の子で。」

「赤羽も久遠も明日は無事に勝てるほうがおかしいと

思って試合に臨むこと。

相手は全員自分よりもはるかに格上だと思って全力で当たれ。」

「・・・はい、分かっています。」

「久遠ちゃんだって負けるつもりはないよ?

大会に出場したら必ず優勝するってジンクスを成立させるんだ。」

・・・久遠はちょっと心配だな。

その才能や実力は間違いなく甘く見れないとは言え。

「・・・・・・。」

俺もあれだけ偉そうな事を言っても

馬場雷龍寺やマスターホワイト相手には勝てるかどうか分からない。

試合でこの二人と戦えるかどうか・・・。

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