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18話「青い稲妻」

SCARLET18:青い稲妻


・すべての一回戦目が終わり、

5分のインターバルを挟んで2回戦目が始まった。

「もう大丈夫なのか?」

「はい。お薬を頂いたので。」

「そうか。・・・次の相手は青帯中学1年男子の峰菱だ。

交流試合には何度か参加したことがあり

最高でベスト20に残ったこともある強敵だ。」

「相手は関係ありません。・・・・・ただ全力で行きます。」

そういって彼女は真紅の胴衣とともに戦場へと向かった。

相手の峰菱は中1にしてはなかなか背が高く、手足も長い。

経験も1年間ある。最初の壁かもしれないな。

「では、第二回戦開始っ!!」

号令がかかり、位置に着いた選手たちが行動を開始する。

当然彼女も動く。いつものスピードを取り戻していて

峰菱の懐に入り、素早く膝蹴りを腹に打ち込む。

「くっ、」

峰菱がひるむ。が、すぐにワンツーを返す。

中々いいパンチだ。

「ん?」

峰菱の手首に青い紐が見えた。紐の先端には金属がついている。

まさか武器として使うつもりか。ルール上は特に反則ではないが・・・・・。

「ふっ!」

パンチに合わせて紐が高速で宙を切る。

紐が彼女のガードしている腕に引っかかる。

「え・・・?

」「はあっ!!」

峰菱が紐を引っ張り、彼女のガードを無理矢理下げさせてから

ガードがなくなった場所に回し蹴りを打ち込む。

そしてひるんだ彼女にパンチの猛攻を繰り出す。

いい戦法だ。技のキレも抜群で2年目にしては中々。

だが。

「っ!!」

彼女のスピードを見切ることはできず、

激しく全方向から攻撃を受けていく。

「のっ!」

峰菱が飛蹴りを繰り出す。

が、彼女はそれを制空圏で防ぎ同時に

後ろ手に構えた拳を一歩してから峰菱の鳩尾にぶち込む。

さっそく玄武鉄槌を成功させたな。

予想外のカウンターに峰菱はひざまずく。

一本とはいかないがその一歩前の有効点は取れただろう。

「避けろ!」

「え?」

「遅い!」

忠告は間に合わず峰菱は彼女の足に紐を

ひっかけて全力で引っ張って彼女を転倒させた。

「せっ!」

峰菱が立ち上がり、下段払いを行なう。

倒れた相手に下段払いを行なうことで

本来は有効点以下であっても一本とみなすことができる。

つまり今ので峰菱は彼女の有効点を奪った挙句一本を手に入れてしまった。

「・・・くっ、」

しかも頭を打ったのか彼女は目を回している。

何とか立ち上がるがその瞬間を前蹴りで狙撃されてしまう。

が、彼女はその足を受け止めて峰菱のもう一方の足を足払いする。

「せっ!」

そして転倒した峰菱相手に下段払いを行なう。

これで互いに一本を入手した。同時に時間が来た。

判定は引き分け。よって延長戦になる。

「大丈夫か?」

「はい。・・・・まさかあんな戦い方があるとは・・・・。」

「確かに珍しい技だが合法だ。

そして装飾品による攻撃は攻撃とみなさないルールがある。

つまりあの紐による攻撃でなら反則をしてもいいことになる。

気をつけろ。」

「了解です。」

彼女にアドバイスを送り、延長戦が始まった。

さっきと同じように彼女はスピードを生かして峰菱に迫り、

息もつかせぬ間に連打を加えて行く。

が、それは罠だった。峰菱の紐が彼女の両腕を縛ってしまう。

「これでお前は逃げることも攻撃することも防ぐこともできない。」

両腕の自由を奪われた彼女に峰菱が重いブローを叩き込む。

「っ!」

威力に彼女がひるむ。が、後ずさることもできない。

そしてあの距離では足技は威力も速度も半減してしまう。

それを計算しているからか峰菱は自分の距離を維持し続けて

執拗に彼女に攻撃を加えて行く。

このままでは判定で負けてしまう。

両腕を封じられた彼女に執拗な攻撃を仕掛ける峰菱。

さすがに1分以上も殴られていれば彼女のダメージもたまっている。

残り時間は約70秒。

現時点では間違いなく判定で負けてしまう。

苦し紛れに彼女が下段蹴りを繰り出すも簡単に防がれてしまう。

が、その直後彼女は縛られた両腕を峰菱の胸に打ち込んだ。

「・・・!?あ、熱い!熱い!!!」

送熱を使っているのか。よほど熱いのか峰菱は汗が滝のように流れている。

「ふう・・・・・ふう・・・・・」

彼女も呼吸をして排熱をしているが、

それでもまだ送熱に慣れていないからか峰菱以上に汗を流している。

しかし、峰菱が苦しんでいる間に両腕の紐をほどく。

さっきまではほどく時間が与えられていなかったが今なら・・・・。

「はっ!!」

送熱を解除し、彼女が猛スピードで距離を取る。

そしてもうダッシュからの飛び蹴りが峰菱にぶち込まれ、

峰菱の巨体が後方に吹き飛ぶ。

「ぐぼっ!!」

強烈な一撃を受けて峰菱は倒れたまま咳き込む。

「せっ!」

彼女が下段払いを行ない、一本を入手する。

これで判定になれば彼女の勝利が決定した。

「・・・くっ!」

峰菱が何とか立ち上がる。

素人から見ても無理をしていることがわかるだろう。

「・・・素早く・・・!」

彼女が距離を詰めて回し蹴りを繰り出す。

が、

「くらえ!」

峰菱は防ぐと同時に紐を振るう。

紐の金属部分が彼女の股間に直撃した。

「!?」

金的への攻撃。本来は反則だが装飾品のため無効となる。

しかし、予想以上のダメージを食らったからか彼女の動きが鈍くなった。

女でも男並みの激痛があると聞いたことがある。

しかも今日彼女は生理痛が激しい日だ。

「まだ終わらない!」

苦しむ彼女の顔面を回し蹴りでひっぱたく。

再び峰菱が一本を入手してしまい、判定がわからなくなった。

互いにダメージは大きい。

判定前にどちらも倒れてしまう可能性も高いだろう。

少なくとも再延長戦はないだろうな。

残り時間は30秒。

「・・・う、」

彼女が立ち上がった。

まだ痛みがあるのか動きが鈍い。

峰菱の方も激痛を我慢しているように苦痛の表情をしている。

が、

「・・・・・。」

彼女が拳を峰菱の目前に向けた。

その拳の周りには制空圏が築かれている。

「う・・・・」直感で危険を感じたのか後ずさる峰菱。

が、すかさず彼女も距離を詰めて制空圏を近づける。

「うわあああああああ!!」

峰菱が回し蹴りを繰り出す。

が、彼女の制空圏によって弾かれる。

同時に彼女の後ろ手に構えた拳が峰菱の鳩尾にぶち込まれる。

「がっ・・・・あああ・・・・・あ・・・・・あああ・・・・・」

峰菱は痙攣しながらその場に倒れた。

「・・・・・せっ!」

下段払いを行ない彼女が2本目を入手する。

2本目を取れば形勢にかかわらずに強制勝利となる。

「勝者・赤羽美咲!」

ジャッジが下る。

「・・・・ふう、」

気が抜けてその場にひざまずく彼女。

「・・・よくやったな。」

彼女の肩に手を置く。

「・・・かなりギリギリでした・・・。」

「だが勝利は勝利だ。次の試合までゆっくり休め。」

「・・・・はい。」

3回戦目はすべての2回戦が終了してから10分後の開始だ。

休憩できるのはあと12,3分くらいだろう。

かなりの激戦だったからそれで完全に体力を回復させるのは無理だろうが、

少しでも体力を回復させるのが急務だ。

それに、次の彼女の対戦相手は彼女と同じスピードタイプの少女だ。

万全でなくては難しい相手だろう。

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