その2
悩んで悩んでギリギリです。
後5分のはずだったけど、ココはどこ?
青原さん宅からだと、家に向かって左手の空き地を通って段差を降りて で左右に道だけど。見たコトの無い 真っ直ぐの道に引かれて入ったら後ろに道 無いし。
ここ本当はレンコン畑だよね。
ほら あのレンコンの葉っぱの上にお爺さんが座ってる。
「お爺さん。また こんにちは。」
「はい こんにちは。」
「お爺さんは妖怪さんですか?」
「妖怪違う。まぁ人の子でもないがな。」
「子供には見えないです。」
「天然さん? 実はお願いが有るのじゃが。」
すかさず断っても良いけど、困った人?がいて 出来るコトがあれば 出来る範囲で手伝ってあげるのは お父さんの言葉。
まず自分を大切に。も云ってたけど。
「10歳の子供に出来るコトですか。」
「あんたにしか出来ん。」
ウ~ンやな予感しかしない。
「断りたいです。」
「そう云わんで。簡単なコトじゃけえ。あの穴の下まで行って抜け掛けてる栓を押し込んでくれたら良えんよ。」
あの穴も見たコト無いのだけど。先ずは確認確認。
10mくらい底は見えない。あと狭い。これは大人は入れない。
「ヘッドライトとロープとエイト環が要ります。家に帰れば有るんよ。」
「そう云う想うて持って来た。」
まぁそうだろうな。だからボクだったんだね。出来るコトは分かった。
約束が欲しいね。
「お爺さんやっても良えけど、約束して下さい。」
「なんね。」
「ボクのやるコトで皆が幸せになる は無理にしても 誰にも迷惑が掛からない を誓って下さい。貴方自身に。」
ボクは神様は信じて無い。だから自分のやったコトは自分の責任でやる。
他人にお願いする時は 相手の行動も自分の責任。
「天然さん? 概念の存在に 自身に誓えと。そりゃ重い誓約じゃねぇ。我XXXXは我自身に誓う ヒロの行動は多くの人を幸せにし、ほとんどの人に迷惑を掛け無い。迷惑の掛かる人はゼロでは無いがやらない場合とほとんど変わらない。」
ゴメンね良く分からない。でもエライ(とても)真剣だったし 大丈夫かな。
「ほいじゃ始めようかぁ。」
さてロープの固定場所は電信柱にして3回まわしておく。抵抗は必要。エイト環にロープを通してカラビナで止める。片方を舫い結びで体に固定しよう。一番最初にお父さんに教わった結び方。左手 背中 先を右手に握る。右手を左手とロープの間に上から。右手首に引っ掛かったロープの上に右手を出す様に輪を作って右手の指で左手で握ったロープを跨いで右手を輪から引き抜く。
言葉にすると大変だけど グッ クルッ チョイ スッで2秒も掛からない。
手帳をズボンの前に来る場所で固定。ロープが痛いからね。反対側を左手 跨いで 担いで右手で握る。あぁ裸足にならないと。昇りはチムニーが使えそう。
準備さえシッカリしておけば10mくらい簡単簡単。ビルで云うと3階建ての屋上だから怖い人は怖いかな。
栓はお風呂場の黒いゴムみたい。大きさは10倍? ボクの握り拳くらい。
押し込んで踏んづけてOK。大丈夫。
昇りは背中と裸足で突っ張りながら。ロープを張って休憩休憩。無理せず3回休んでちょっとずつ。
お爺さんに「お礼に何が欲しい?」と聞かれたので、「何の栓か教えて。」訊いてみました。
『冬の栓』だそうです。そおいや暖冬でしたね 今年。
冬は寒くないとね。寒いと困る人もいるけど、寒くないと困る人の方が大多数かな。
(天然さん ありがとう。あんたがそう想ってくれなかったら我は消えていたかも。)
お爺さん 喋ろうよ。それに重いよ何それ。後 道が戻ったのは嬉しいけど、レンコン畑に置いてきぼりは酷くない? 冬で泥が付かないのは嬉しいけど。(あの葉っぱはどこから?)。
土手を登ってトロトロ帰る。さすがに疲れた。
帰ったら2時。お母さんにブチブチ云われながら宇宙大作戦を見て昼寝します。
今日はおしまい。
お読み頂きありがとうございました。