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転生王女は魔法少女になる

作者: かんなわ

 「叔母様まったねぇ〜」

 いきなり後ろから肩を叩かれた。

 痛いやないかいとキッと睨んでみたら姫だった。


 姫は現王である兄の娘で、クラスメート。

 そして言葉通りの同い年の姪っ子…。

 前世だったら引くわ。

 このファンタジー世界だからこそ王家が子沢山だと世間も安定してヨイよねって許せるけどさー。

 転生して14年目。

 いい加減この生活にも慣れた。

 しかも王家に生まれたからなかなか待遇も良くてセレブ気分で言うことナシ。


 「叔母様言うな!」

 言い返したが既にいなく、そのまま走り去ってしまっていた。

 姫とは血縁者であると同時に、少し恥ずかしいけど前世風で言うと幼馴染の親友っていうのがシックリくるかな?それ位仲良くやっていた。

 

 …でも今は仲が良くない…というか嫌われて2年近く口を利いていなかった。

 仲直りする機会も、父が王座を譲るにあたり、私も城外に移り住むことになり会う機会がなかったからだ。

 ずっと会いたかった。

 だから学園に入学するのをものすごく楽しみにしてた。

 だけど入学して2週間まだ姫と会話する機会はなく、たまに声をかけてきたかと思えば逃げられる日々だ。

 嬉しかったけど肩透かし。

 姫の方から声をかけてきたし向こうも仲直りしたいのかな?なんて期待していたんだけど。

 やっぱり嫌われたままなのかななんて考えると嫌な気分になる。

 

 と、とりあえず元気そうね。

 コミュニケーションをとる機会はまだまだあるはず、次回よ!

 問題を先送り?ふふふふ。

 はぁ〜〜〜、後悔ばかりで溜息が。


 あの時の私を殴りたい…

 姫との仲が悪くなったのは2年前兄が魔王に殺されたと聞いた日のことだ。

 

 それまでの子供時代、転生者だった私はもしかして私が魔王と戦うの?と気が気じゃなかった。

 なにしろ前世の私は文系で…どちらかというと運動は得意じゃなかったからだ。

 でも隣に姫がいた。

 姫は勇ましかった。

 でも…兄が魔王との戦いで死んだと聞いた時、魔王を倒しに行くとはやる姫を、ショックで怖くて臆病風に吹かれた私は諌めるつもりで逃げに走る言葉を言ってしまった。

 それに訃報と同時に、異世界より勇者を召喚するのを拒否していた父が折れたのを聞いたせいもあった。 


 『王家の者が魔王を倒すのは間違いよ、勇者を使うのが正しいの』

 怖くて怖くて私は自分に言いきかせるのと姫に死んで欲しくなくて言っていた。

 ただ怖かったの。

 純真無垢に魔王を倒すと研鑽を積む姫を裏切ったのは私。

 私はあの子と一緒に戦うフリだけしてた。

 魔王と本気で戦うつもりなんてなかったんだ。

 ただの王女が魔王なんかに敵うはずがないと他人事のように思ってたんだ。


 それ以来姫は抜け殻のようになってしまった。

 魔王を倒すつもりで激しい修行をしていたのにパッタリとしなくなった。

 そして仮病、公務も授業もサボりまくり、そのうち癇癪を起こし盗んだ馬で王都一周したりとか、王城のガラスを全壊したり等…。

 かつての明るく真面目な可愛らしい姫はいなくなったと皆が言うようになった。

 悪評ばかりが拡がり、誰も姫のことを話さなくなっていった。


 謝りたい。

 それに姫に嫌われたと思うと発作のように前世の記憶が疼いてつらい。


 前世『私』は常に孤独だった。

 孤児で親も知らず。

 人当たりのイイふりばかりして、お金を稼ぐことしか考えてなかった。

 うまくやってはいたと思う、でもいつも他人との間に壁があるような気がしてた。

 消えない孤独感の中、ちょっとした逆恨みで殺された。

 つまらない人生だった。


 生まれ変わっても『私』は『私』だった、だけど現世の親の愛に安心できた。

 赤ちゃんが泣くのは当たり前だからバレなかったとは思うけど、生まれ変わってスグの頃は、与えられる愛情に前世での寂しかった心が溶けるみたいで泣きまくった。

 この世界に感謝した。

 私は愛される存在になったんだ。

 私は変わることができた。

 前世は過去になったはずだった。


 だけど今度は前世の記憶があるということがバレたら?という恐怖が私に付き纏うようになる。

 子供のフリは気分的に辛かった、できることもできないと嘘をつき、知識なんて当然隠す。

 『私』が邪魔だった。


 そんな辛い日々が姫との出会いで変わる。

 『私が魔王を倒すのよ』ってどんどん才能を開花させていた。

 まだ10歳にも満たないのにかなりの種類の魔法を(魔力が少ないので弱かったけど)発動させ自在に操り、剣術も将来を期待される程の腕前を身につけていく。

 不自然な程の強さ、だけど真摯な努力の姿勢が周囲を認めさせていた。

 つられて私も修行した、もう『私』を隠す必要なんてなくなっていた。

 最初は憂鬱だったけど二人で楽しかった、強くなった。

 私達は天才と言われた。

 恩人でもある姫。

 あの子のおかげで『私』は今の私になることができた。

 なのに今私の横に姫はいない。

 つらいよ、姫…一緒にいたいよ。


 あの時死んでもいいから、姫と魔王に戦いを挑めばよかった。

 そうすればこんな寂しい日々なんてなかったかもしれない。


 それからも相変わらず微妙に避けられる日々は続いた。

 姫は相変わらず馬鹿というか自由だった。

 剣術部に乱入し暴れまわったり、ものづくり部で奇妙なオブジェ作ったり、魔術部で大爆発を起こしたり、ついでに調理部で美味しい食べ物を作ったとか聞く。

 毎日色んな場所で問題を起こしているらしい、だけど徐々に姫の周りに人が増え始めていた。


 イライラした。

 どうして一緒じゃないのに楽しそうなの?

 どうして私の話を聞いてくれないの?

 王女がそんな悪評ばかりでどうするの?

 私がとめないと。

 話さないと

 とめないと

 捕まえないと

 こらしめなくちゃ


 胸の奥から疼くような焦り、落ち着かない。 

 イライラが思考を乱すのかしら?

 私を悩ます声。

 馬鹿馬鹿しい。

 私はただ謝りたいだけなのに

 うっとしく声はささやき続けた

 見えない私の奥に刺さり続けた

 

 ほんと、どうして聞いてくれないのかしらね?聞いて欲しい、また仲良くしたいだけなのに!

  

 ねぇ、こらしめましょうよ?

 姫を私だけのものにしちゃいましょ?


 !?

 違う、私は謝りたいの、また仲良くしたいの。


 ええ、わかってるわ。

 姫に話を聞かせなくっちゃいけないわよね?


 そう、姫と話したい。

 

 でもなんで聞いてくれないの?

 聞いてよ!


 そう、話を聞かせないとね。

 聞かせなくっちゃ。


 明日、姫と話をしよう。

 いい加減もう耐え切れない。

 無理やりにでも聞かせよう。

 そう決めたらなんか力が抜けてきたのか眠気が強くなる。

 私は部屋の明かりを消し、ベッドの中で丸くなる。

 前世みたいに爪を噛みながら寝てた。


 翌日、心の闇に身体を支配された私は姫を襲うことになる。

 姫は私を助けてくれた。

 そして転生した私達の本当の戦いがはじまったことを教えてくれた。

 私はもう怖さに負けない、姫を信じる。

 今度こそ姫の本当の意味でのパートナーとして戦うわ。

 


ご覧頂きありがとうございます。

文の練習中のため本編の前を短編としたものなので嫌な感じと文章内容おかしいと思ったら申し訳ありません。

姫は赤ちゃんの頃から魔王を倒すのは自分だと勘違いしていたのですが他の人に倒され、引込みがつかなくなりグレました。

その余波をくらってこの話の主人公は嫌われちゃったとウジウジしています。

なお文章後半は闇に心を囚われていくシーンを簡略巻きで書き終えてしまいました、ごめんなさい。

この後二人でコンビを組んで魔法や体術を駆使して敵と戦う予定ではあります。

ご縁がありましたらまたいつかお願いいたします

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