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007

 教室に着いてそのまま荷物を整理していると朝の恒例とも言える悲鳴が近づいてきた。


 「姫ーーー。と、ついでに永森もおはよう」


 「凛ちゃん、おはよう」


 「…………」


 登場音とでもいうような黄色い声をバックに入り口から笑顔で颯爽と凛がやってきた。久人はすでに本を読んでおり顔を上げる気配はない。

 先ほど興味本意で覗いてみたがフランス語っぽい外国語がびっしり書かれており驚いた。今までたまに目についた専門用語の説明を求めたりすることはあったが今回はすぐに亜姫の興味は削がれた。


 「……今日も無視か」


 やれやれと凛は首を振り、隣の席の久人を隠す形で横に来た。

 久人が夢中で読んでいるのか恒例のスルーを発動しているのかは不明である。

 王子の登場にクラスメイトからも声があがるも一部の生徒は何事もなく過ごしている。

 毎回悲鳴を上げる女性陣。それを横目に何もないかのように過ごす男性陣。――――というように別れていた為、最初は原因の凛と男性陣とは険悪だと思っていた。しかし、気軽に挨拶を交わす所を見るとそうではないことはすぐにわかる。久人いわく中学時代に一悶着あっての現状らしいが―――まぁ、頭に響く声が毎回続けば険悪にもなるだろう。

 男性陣に同情する亜姫もまた普段は騒音としてスルーしていたが、今日はいつもと違い段々近づいてくる声と比例するように頭痛も酷くなっていった。


 「姫。なんか顔色悪い気がするけど大丈夫?」


 心配そうに覗いてくる凛の声でさえ不快感でいっぱいになってしまい思わず眉間に深いシワを寄せ睨んでしまった。だが、そんな反応など気にせず頬に触れてくる。そんな凛の一挙一動に周囲の者たちは声を上げる。

 先ほどまで何ともなかったことが嘘のように頭痛は女性陣の叫び声をきっかけにどんどん、どんどん酷くなっていく。


 「姫。急に顔色が悪くなって「邪魔」


 凛を押しやり久人が来たのが足元を見ているだけでわかった。


 「姫、大丈夫だから」 


 少し柔らかい口調と短い言葉。それだけで全てを任せるのには十分だった。

 亜姫は安心して意識を手放した。

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