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003

こんにちは(*´ω`*)

長い間、進んでませんでしたがお待たせしました?

不定期更新になりますが楽しんで頂ければ嬉しいです♪

 保健室にある6人掛けテーブルの一角にはノートパソコンとコップが置かれていた。

 ベッドが並ぶスペースからは死角になっていたがどうやらデスクワークをしていたらしい。二人を迎え入れると藤柄はすぐにその席に腰を下ろした。


 「私は仕事が一段落してから食事にするわ。あなたたちは気にせず食べなさい」


 藤柄に言われた通り二人は適当な席に着き自身の荷物を漁る。

 亜姫は食欲がなかったが薬を飲むなら何か食べた方がいいと言われたためデザートに用意していたゼリーを食べることにした。

 横では凛が三段重ねの重箱を取り出している。

 最初の頃は一人前だというその量に驚いた。しかし、蓋を開けると同じ品が並ぶお弁当に更なる衝撃を受けた。

 一面の玉子焼き。一面の唐揚げ。一面のおにぎり。一人前と言うよりは数人で食べると言われた方が納得する量とメニュー。それら全てを綺麗に平らげてしまった凛に驚愕したのは懐かしい記憶である。まぁ毎回一緒に昼食を過ごせば見慣れた光景になってしまったが、スラリとした体型の一体どこに収納しているのかは未だに謎である。


 「凛ちゃん、さっきの説明して」


 「説明?――――まさかと思うけど姫は知らないの?」


「?凛ちゃんが王子と呼ばれてるのは知ってるよ」


 廊下を歩けば王子という愛称で凛は挨拶される。二人一緒にいれば嫌でも耳に入るため知らない方がおかしいだろう。

 なのにパソコンと向き合っていた藤柄も何故か驚いて顔をあげている。二人の反応の意味が分からず亜姫は首を傾げた。


 「学内では私たち四人有名だよ。今まで姫が知らなかったことが不思議なくらい」


 「四人!?」


 「そう!私、藤柄先生、永森、そして姫」


 「……その姫って……もしかして私!?」


 「もちろん。もしかしなくても姫は姫だよ」


 「三人の共通点って容姿端麗だよね。私、美人じゃないけど……」


 「姫はまだ可愛い系だからね!ゆくゆくは美人になる予定。でも、姫の場合外見だけで有名って訳じゃないんだよね」


 「?」


 「原因の一つは永森だね」


 「久ちゃん?」


 「無口な秀才が唯一構う異性だからね。しかも永森自身あの容姿だから一部の女の子たちからは氷の貴公子って呼ばれて有名なんだよ」


 「氷の貴公子って………キザすぎる」


  思わず苦笑いがでてしまう。


 「本人も知っているはずだけど無反応だよ。しかし、姫の耳に入っていないということは秘密にしときたかったらしいね」


 凛の唇が三日月を描いた。

 いつもの爽やかな微笑とは違い闇をまとうこの表情を亜姫以外に知る生徒はそう多くいないだろう。


 「まぁ、私たちって初等部からのエスカレーター式だから今さら永森に話しかける子はいないかな。どうせ無視されるか簡潔に答えるかだからね。ただ、そこがいいって遠巻きに眺める子たちはいるけどね」


 「う~ん、いとことしては複雑な心境……かな?」


 「ははっ、そこ疑問形なんだ。――――という訳で今まで同級生と一線を引いてた永森が話し掛けたまに笑顔を見せる。しまいには『姫』って愛称で呼ぶんだから自然と有名にもなるよ。当初はあの永森がそんな呼び方をする女性徒がいると学園中で話題になっていたしね。信じていなかった人たちも皆その光景を見ては驚愕していたんだけど………知らなかった姫に驚かされるよ。まっ、そこが可愛いん所でもあるんだけどね。でも、まぁ、私とも仲がいいって理由もあるけど姫自身にも原因はあるんだよ」


 「凛ちゃん、途中タラシのセリフが聞こえた気がする。………覚えがないんだけど……」


 「タラシのセリフなんて心外だなぁ。心底そう思っているのに………」


 「それ余計に質が悪くないかなぁ?」


 「ははっ。まぁ、褒め言葉として受け取っておくよ。それはそうと心当たりがないのは仕方ないよ。私や永森と違って姫は高校から入学したからね。基本、中・高から新しく入って来る子っていないから途中からだと嫌でも注目されるんだよ」


 「不可抗力だよ。入学した時点で注目の的になるなんてどうしようもないじゃん」


 「そうだよ。仕方がないことだから諦めるしかないよ。例え通常より注目されていてもね」


 凛は悪戯が成功した子どものように笑うが亜姫は自分の状況を知りため息が出てしまう。


 「はぁ~~、わかった……。別に生活に支障はないからいいけどでも私の場合、久ちゃんや凛ちゃんの影響で主に知られているってことでしょう。こういうのって呼び出しとかあるんじゃないの?噂では王子ファングラブがあるって聞いたことあるけど、私そっちからも呼びだされたことないよ」


 「姫、それはドラマの見すぎじゃないかな。まぁ、ファンクラブの存在は否定しないけどね」


 「本当にあるんだファンクラブ。しかも、本人公認。今までの凛ちゃんを見てれば意外とは思わないけどーーはぁ、ケンカ売られたら買うつもりでいたのに……残念だなぁ」


 「……心底残念そうだけど体調不良が続く人のセリフじゃないよ。仮にしようとした子がいても事前に阻止するから姫が関わることなんてないよ」


 凛が苦笑しながらもそう続けた言葉はまるで処理済みといっているではあったが確証もないため何も返せない。


 「そうよ。少し良くなったからといって過激な行動はいけないわ」


 ノートパソコンをいつの間にか片付けた藤柄も会話に混ざりだした。昼食は飲み物だけらしい。


 「でも、意外だわ。あなたたちって高等部から一緒なのね。……確か二人は違うクラスだったと思うのだけれど、そのわりには随分と仲がいいわね」


 「入学する前に知り合ったんですよ」


 「懐かしいなぁ。病院での出会いっていうのもなんだか変な気がするけど……」


 「確かに知人のお見舞いに行っていたのが途中からは姫のお見舞いがメインに変わっていたしね」


 「ふふっ。凄い偶然ね。そういえば、清水さんは入学直前まで入院していたんだったわね。学校には慣れたかしら?勉強は大丈夫?」


 一部の先生には亜紀が病弱であるため普通の中学に通えていないことは知られているが万が一のため保険医には更に詳しい状態を話していた。

 亜姫には三年前より昔の記憶がない。

 事故に合い記憶と両親を亡くしたが思い出が無いぶん悲しみはなかった。あの頃を思い返すと感情が欠如していたと思う。

 父方の親類はいなかったため引き取り先として一番に名乗り出たのは母方の祖父だったらしいが、どうも記憶が曖昧である。

 思い出せる一番古い記憶は暗闇の中、差し出された手。多分あれは祖父の手だったのだろうと今考えれば思う。

 手を引かれ連れてこられた広い屋敷。そこには祖父と数人のお手伝いさんが住んでいた。

 祖母も既に亡くなり血の繋がった身内が他に一緒にいない為か祖父は異様に可愛がってくれた。何も言わずとも様々な品物を買い与え、外出の際には必ずボディガードをつけた。不自由しないようにと様々なことをしてくれた祖父の気持ちは嬉しかったが限られた自由しかないのは哀しかった。

 だから我が儘と分かっていても高校は本邸から離れた全寮制の学校に行きたいと言い出した。きっと説得するのに苦労すると覚悟していたが予想は大きく外れた。祖父が所有するマンションに住み、白紀宮(しらきののみや)学園高等部に通うことを条件にあっさり許可を得られたのだ。


 「学校にちゃんと行った記憶がないので比べられませんけど、久ちゃ……じゃなかった。永森君?」


 「ふふふっ。いつも通りの呼び方で大丈夫よ」


 「いつもと違う呼び方だと違和感が半端ないんですよねぇ。えっと……久ちゃんと凜ちゃんがいるので楽しいです。勉強は久ちゃんが教えてくれるから大丈夫ですが、できればなるべく授業も受けたいです」


 「ふふっ。楽しいなら良かったわ。授業は無理しないように受けましょうね」


 「あの永森が勉強を教える所なんて想像できないなぁ……」


 「ん、そう?久ちゃん、教えるの上手いよ。…………皆も教えて貰えばいいのに……」


 勉強を教えるのを期に久人に友人が出来ればと考えた亜姫は無意識に最後の言葉を呟いていた。もちろん返答など求めておらず本人は口にした自覚はない。


 「姫だからだろうな」


 「ん?」


 「何でもないよ。そういえば、まだ病院には定期的に行ってるの?」


 言葉の意味が分からず聞き返そうとしたが話題を逸らすように質問を投げ掛けられた。いつもよりトーンが低かったのでもしかしたら独り言だったのかもしれない。


 「ん、行ってるよ~。行き忘れると(しょう)ちゃんの秘書さんが迎えに来て強制的につれて行かれるんだよね~」


 「しょうちゃん?」


 「あぁ。祖父のことです。何故かそう呼ばれたがるんです。同じ孫の久ちゃんは普通に爺さんって呼んでいるんですけどね」


 「清水さんのお爺様って、あの永森会長でいいのよね?」


 「あの?「そうですよ」


 被せるように即座に返答した凛に驚き亜姫は振り向いた。


 「代々この地域を納め今もこの地に強い影響力を持つ永森家の現当主にして数多の事業に手をかける永森グループ総帥・永森商蔵(ながもりしょうぞう)。ここに住んでいる人間なら知らない者はいないでしょう。高齢ながらもその手腕、容姿に置いても他者を圧倒し一部では『永遠の紳士』と呼ばれファンもいるとか言われていますね」


 「なんで凛ちゃんがそんなこと知ってるの!?商ちゃんそんな有名なの?って、え?ファンクラブ?ファンクラブが存在するのっ!?これはあれ?遺伝なのっ!?」


 身内である自分以上に他人であるはずの凛が得ている祖父の情報に亜姫は衝撃を受けた。


 「遺伝という流れなら清水さんにもファンクラブがあるわね」


 「「……………………」」


 二人の無言が同じ意味を指すのかは不明だが亜姫に限って言うと無言が藤柄に対しての答えだった。自分のファンクラグなどあるはずがない。今までの会話から察してほしいというのが無言に隠された言葉であった。

 そんな三人の会話を見計らったかのように昼食終了の予鈴がスピーカーから鳴り響いた。

お読み頂きありがとうございました(*´ω`*)

次回も不定期になりますがお付き合い頂ければ嬉しいですヾ(o゜ω゜o)ノ゛


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