002
こんにちは!
以前投稿していたものを編集しなおし分けました(><)
私的に見やすくしたつもりですが……楽しんで頂ければ幸いです(;´∀`)
「…………さん……清水さん……」
魅惑的な声が降り注ぎ亜姫は目を覚ました。射し込む陽光が眩しく視線をやれば、声の主は顔だけをこちらに向けてカーテンを開けている。
「お昼になったけど具合はどうかしら?」
「……藤柄先生?」
目が合うと微笑まれたが心臓に悪い。
保険医の象徴たる白衣を妖艶に着こなしてしまう藤柄櫁は同性でもときめいてしまう美貌と色香の持ち主である。臨時講師のためいつもいるわけではなく、亜姫が来た時にはもう一人のメインでいる年配の女性が対応してくれた。どうやら眠っている間に交代したらしい。
「顔色はよくなったみたいだけど……これから大丈夫そう?」
スピーカーからは昼食を知らせるクラシック音楽が優雅なメロディを奏でている。
少し休めば治ると思った頭痛は持続していたが、やはり我慢出来ないことはなかった。
「とりあえず、薬を飲むためにも教室に戻ります。もし悪化するようなら帰ろうかと……」
「そうね。それがいいと思うわ」
「ありがとうございました」
お礼をのべ保健室から出て行こうとすればドアが勝手に開く。
目の前には久人が立っていた。四限目の移動教室が終わってそのまま来たらしく脇には教科書を抱えている。
「治まったか?」
「ビックリしたーー!うん、さっきより大丈夫。心配させたみたいでごめんね。保健室まで連れてきてくれてありがとう」
「相沢が後で迎えに来ると思う。クラスの奴があいつに教えるって言っていたからな」
苦虫を噛み潰したような表情からも察せられる通り鉢合わせるのが嫌で直行したらしい。
「久ちゃんはまた一人でご飯?」
「その方が楽だからな。人と余計に絡むつもりはない」
「また、そんなこと言って。……まぁ、人それぞれだと思うから無理矢理には誘わないけど久ちゃんの気が向いた時は言って」
まるで母親の心境だと亜姫はしみじみ思い、腕を組み頷く。
そんな亜姫の頭に触れようと久人は手を伸ばすが、寸前で横から腕を捕まれ阻止された。
「永森、女性に無闇に触れるのはセクハラだ」
声と共に久人を押しやり現れたのは美青年と呼ぶに相応しい容姿の女性徒だった。スカートをはいていなければ勘違いする者は多いだろう。
「凛ちゃん!」
相沢凛の登場と共に舌打ちが聞こえたのは気のせいだろう。
捕まれた腕を払うと久人はすぐにその場からいなくなった。
「無言のまま……か……。余程私は嫌われているな」
「そんなことない。久ちゃんは人付き合いが苦手?……いや、嫌いなだけだから」
誰にいうでもなく凛が呟いたのはわかっていたが、一応正しい認識はしてほしかったため訂正はしておく。
「ふふっ。別に気にはしていないが、それじゃフォローになっていないよ。むしろ下げてる」
凛は亜姫の横髪に触れると愛しそうに笑いかけた。
「別にフォローしているわけじゃないからいいよ。それはそうとして、凛ちゃんは久ちゃんのこと言えないと思う」
「?自分で言うのもなんだが、私は社交的だと思うが?」
「いや、そこじゃなくて…………そこなのかな?」
凜の場合は同性に対し社交的過ぎるのだ。無闇に触れるとこを指摘しようとしたが、数人の女生徒があげた悲鳴にかき消されてしまった。
原因はわかっている。凜が亜姫の髪をひとふさ手に取り、唇を落としているからだ。まるで物語にでてくる王子さまのようなワンシーンは注目を浴びてしまう。現に時間の経過と共に雑音と生徒の視線が増えていっている。どうにかしなければと思案するもいい考えが思いつかず眉間の皺が無駄に増えるのが嫌でもわかった。
「はいそこ、出入り口でイチャつかないの。そして野次馬を増やさないでちょうだい。王子と姫と貴公子は学内では有名人なんだから自覚しなさい」
「姫?貴公子?」
王子は凜のことだとすぐわかる。しかし、姫と貴公子とは……嫌な予感しかせず亜姫は首を傾げるが凛に同様の反応はない。ただ笑顔で、さりげなく亜姫を藤柄から隠すように凛は一歩前に出た。
「女王陛下にそのようにおっしゃていただけるとは光栄でございます。とりあえず中で食事をしてもよろしいでしょうか?病人もいることですし……快適に過ごせる場所だとここが最良ではないかと進言致します」
凛が二人分の鞄を見せ提案した内容はすぐに視線の渦から逃れたい亜姫にとっては有難かった。
ふざけたような丁寧な物言いがどこか少し怒気を含んでいるようにも聞こえ引っ掛かったが藤柄に気にした様子はない。ただ目前の顔を交互に見てため息をつき、まるで『困った子たちね』と言うかのような仕草で再度招き入れてくれた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます(*´ω`*)




