閑話 帰ってきて、一番やりたいことは?
帰ってから一番最初に何をしたか?
(兄の人形を破壊)
帰ってきて一番嬉しかった事は?
(二度目の嫁ぎ先は探さなくて良いと言われたこと)
帰ってきて、一番やりたいことは?
***
身長は元から高かった。
おまけに健康である。
公式記録は病弱で歩けない。
真っ赤な嘘だ。
嘘ばかりの世界で育った。
だからといって慣れてたまるか。と、思う。
国の為になると信じたからこそ、仲間の娘たちの事を考えればこそ、眠った。
だが、そのやり口は納得できない。
説明もなく、だまし討とは卑怯千万である。
目が覚めて、生きててよかったと安堵すると思ったか?
馬鹿め、冗談ではない。
体力が戻り目覚めたのは、日にちもわからない深夜だ。
一人で着替えると、愛用の乗馬鞭を手に取る。
部屋がそのまま残っていたことを嬉しがると思ったか?
慌てて整えたとわかっている。
愛用の鞭は元より、いつも持っている。
似た内装だが、壁の絵は似ても似つかない家族の肖像。
すべて処分しているくせに、衣服まで同じような物が揃っていた。
饗して歓待か?
彼女はふっと鼻で笑った。
習慣で鞭を持ったが、まぁ、この時は頭が完全におかしくなっていた。
静まり返った王城で、彼女は更に奥へと入った。
不寝番の侍女が悲鳴を上げながら追いすがる。
男装で足の長い彼女には追いつけない。
近衛は何とか宥めようと声をかけながら追いすがる。
公王の居室に入るところで、新たな近衛や侍従が立ちふさがる。
が、蝿のようなものだ。
退けと指示するもどかない。
ならばと押しのけて進む。
公王のところへと側付きの少年が駆けて行くのを見送った。
元気の良い子供が眠気も吹き飛んで、青い顔で走っていく。
あら大変。
と、思いつつも、近衛が近づくと笑って退けと顎をしゃくる。
いよいよなればと、飛びかかってくるかと思ったが、彼らは全く弱腰だ。
やってみろよという、高位の貴婦人とは思えない態度。
まぁ近衛の方も、公王から妹殿下への扱いを指示されているのか、無理やり抑える気はないようだ。
で、寝台の上で、半分寝ぼけている王。
それをひっぱたいてやろうかと思ったが、この男は妹の癇癪など屁とも思っていない。
何しろ、国のためと送り込んだ嫁ぎ先、知らぬと言われて信じられるかという扱いだった。
それでも覚悟を決めて、最後は自分で棺に入った。
だが、それも終わってみれば、何と救いのない話よ。
彼女は、嘘も程度がある事。
そして同じ扱いでも、誠意が必要だと思っている。
嫁ぐ前に、知らせないのは、信じていない事だ。
この着飾った人形以下だという事。
信頼も何もかも人形以下であるという事。
瞬間、沸騰した怒りに任せ、硬い乗馬靴で等身大の人形を蹴りつけた。
王が初めて寝台の上で引き攣った息を吐く。
腹、胸、顔、と硬い靴底でミシミシと踏みつける。
それから人形の頭に両手をかけると掴んで引きちぎった。
実に、彼女は力も強いのだ。
その頭を寝台横の大きな窓に向かて投げつける。高価な硝子窓が砕け散って破片が外へと広がった。
ついでに拉げた胴体を片手で持つと、その窓の残骸を蹴り破って露台へとでた。
殿下殿下と呼びかける周りをよそに、その胴体を半分に折ると、見晴らしの良い露台から下へと投げ捨てた。
深夜だ。
下にいるとしたら兵士だ。避けられない方が悪い。
と、投げ捨ててから開き直る。
そして振り返ると、無言の近衛達と、オロオロする側付きの少年と侍従達が並んでいた。
ロドメニィ殿下は、公王を露台から睨みつけて笑った。
お前をこうしてやらないだけの分別はある。
だが、次はお前だ。
さぁ、捕縛するのか?
「妹は寝ぼけているようだ、片付けて新しい寝室を用意してくれ。それから、予備のアンネリーゼを」
それに鞭を鳴らした。
「しばらくは、お母様は封印かな、うん、封印だね。おかえり、妹よ。相変わらず、君は元気だね」
鼻で笑ってやると、公王は目元を隠した。
あぁそういえば、こんな妹だったと思い出したか。
外面は淑女で通しているが、中身は山犬。
ニコル姫とは真逆の性質で、男が大嫌いな加虐趣味の女だった。
では何故、そんな彼女がツアガに嫁いだのか。
混合体比率だ。
彼女は限りなく長命種に傾いた失敗例である。
つまり、長命種として通用する臓器配分だった為に選ばれたのだ。ニコルと違って健康で寿命もあるという理由でだ。
しかし、それは臓器配分だけの事で、彼女は体格も人族の中では飛び抜けて大きく。力も強く、そして気性も飛び抜けて荒かった。
男なれば武人に。
と、言う前に女で何が悪いのだと、一日鍛錬するような女であった。
***
次の日から、色々と公籍復帰の手続きを行う。
北の騒動が収まるまでの暫定の処置だ。
新たに東マレイラへと兵を送り出し、東部安定と共にツアガへ向かうのだ。
色々な記憶がよぎる。
嫁ぐ儀式、同行する花嫁達、ツアガの城でのこと。
説明を受けて、島へ渡る最後の日。
眠りは心地よかったが、どこかでこの国に、家族に裏切られたのだとわかった。
前の公王とは違って、正しく人を扱ってくれると、どこかで信じていたのかもしれない。
馬鹿なことであった。
これまでの事を、妹ならぬ甥に聞く。
そして姪にあたる娘の事もだ。
聞いて再び怒りがわく。
この無能者めが。
予備の人形遊びをしていた兄を殴る代わりに、もう一体人形をバラバラに破壊した。
涙目の兄に鞭を見せると、また、黙った。
次の日、政略の婚姻は一生強いない事を公王が約束した。
たぶん、こんな妹は誰もひきとらないと思ったのかもしれない。
さて、元気のありあまる公女殿下ではあるが、遊んで暮らせる未亡人の地位はいらない。
彼女は安穏と暮らすのは嫌だった。
端的に言えば、長い年月を眠って過ごした。
もう、眠りたくもないし、孤独に引きこもるのも嫌である。
そして変わってしまった故郷も、人にも活動的にあって回るつもりだった。
だが、最初にこの世界の状況をよく知らねばならぬと感じた。
信用ならない兄や議員連中ではない。
では、誰が適任か?
神殿は良心的だが、兄側だ。
かと言って元老院は今、機能不全で調整中。
軍部は獣人族の強硬派で埋め尽くされており、なんとも選び難い状況である。
唯一、甥のところが中立に近いも、やはり神殿だ。
まぁ選ぶとしたら、そこしか残っていないのも確か。
なので、甥の妹にも会うついでにと、神殿へと行くことにした。ここでいう行くことにしたとは、荷物をまとめて神殿に行くという意味だ。
未亡人としては極当たり前の、喪に服すというわけである。
嘘っぱちだが。
***
考えるよりも、行動する事は精神に非常によかった。
つまり、神殿の生活はよかった。
規則正しい生活と、仕事。
様々な階層の人間との交流に、親族との語らい。
荒んだ心が落ち着いた。
仕事は、中央大陸に巡らせる巡検使の新しい組織づくりだ。
神や魔物の世界になったと言われて、すんなりと納得できたのは、その魔物の世界にいたからだ。
そして神の気配も知っている。
甥と共に、新しい秩序を担う組織を作る。
実に楽しく面白い。
物を壊して回る性分に、非常にあっていた。
そしてその他の余暇は、神殿兵と共に鍛錬だ。
棍棒を振り回し、殴っては投げ飛ばし、陽が落ちるまで走り回る。それだけで生きている実感を嬉しく思った。
そう、生きて動いて、話して笑う。
だいそれた望みなどいらない。
死んでいった女達、娘たち。
皆、同じく生きたかったことだろう。
代わりに大いに生きて怒りを振りまいてやるのだ。
今度、あの腐れ人形を見たら、今度は燃やしてやろうと決めていた。
甥と一緒に、甥の家族である娘に会った。
猫を連れた、小さな少女だ。あぁかわいい、癒される。
そして当たり障りの無い、気楽な世間話をした。
実に癒される。かわいい。
甥が呆れていたが、普通の親族はいい。
だが、妹ではなく、姉であると何度も言われてから、そういえばこの少女が別種の精霊種であると思い出す。
癒されるが、普通ではなかった。
貴重な種であり、モルデンの男が命をかけた娘。
そしてアンネリーゼの娘。
思い出して、嫌な事に気がついた。
娘が帰ってから、一応確認した。
自分の考えは間違っているよな?
それに甥は、呻いて顔を覆った。
「他に、俺の従兄弟もかな。だが政治的にも嗜好的にも、そういう興味ではない。むしろ奴隷だ安心してくれ」
まったく安心できない。
「もし、そのような選択をしたら、公王は代替わりだ。妾が始末しよう。ついでにその親類も殺害してくれる」
「いや、コンスタンツェは、下僕だから」
「気持ち悪い」
「同意しか無い」
城に一時帰宅した。
嘘しか答えないと思ったが、一応真意を問いただす。
「もし、モルデンの末子が戻らねば、私が結婚する以外無いと思うんだよ、お母様」
言った瞬間に、アンネリーゼの人形に火をつけた。
油薬と火薬を無断で持ち込んで準備していたのだ。
一瞬で謁見の間にたちのぼる火柱。
阿鼻叫喚の騒ぎで流石の近衛も剣を抜く。
それに彼女は笑って言った。
「妾を殺すか?
構わぬぞ、だが、そこの無能も道連れよ」
公王は、ため息をつくと周りを下がらせた。
「もしもの話よ、戻らねばというな。こうして言っておれば、余計な話や考えを持つ者も減る。」
それに彼女は、目を釣り上げて睨んだ。
玉座にありながら、彼は見下されて背中に汗をかいた。
彼女は、昔、教えを乞うた教師と同じく、睨みつけるだけで相手を萎縮させる。
「彼女がいれば楽しいかなと思ったんだ、うん。彼女は良い子だからね。この薄暗い場所も、少しは暖かくなると思ったんだ、うん」
それに彼女は、力を抜いた。
「では、いよいよなれば、無理強いはせずに、きちんと話し合うのだ。妾のようなだまし討はするでない」
その言葉に、兄は頷いた。
後悔している。
加害者は兄であり、売払われたのは妹だ。
だから、どんな怒りをも黙って受けいれる。
実に、卑怯だったのは事実だからだ。
昔からの決まり事だと、普通の婚姻のように送り出した。
最後には無理やりだとしても、末路を知らせないのは酷い。
「でも、どうしてそう思ったんだい?」
「娘を見て、ゾッとしたぞ。もちろん、お前の嗜好にだ。
その腐れ人形にそっくりではないか。前は、そんな人形ではなかったはずだ。気持ち悪い」
妹からの軽蔑の眼差しを受けて、流石の公王も顔を手で隠した。
作られる人形は、確かに趣味嗜好を反映し、最近は優しげな面差しに変わっていた。自覚はある。
「お前のような腐れた男は、近寄っても害にしかならぬわ。親戚筋のコンスタンツェもこの後、脅しつけねばな」
意気込む妹に兄はため息をついた。
「あれは、信心だ。許してやれ」
「黙れ、変質者が」
公王は胸をおさえた。誰も無礼な言動を咎めないのは、無言の肯定か。まだ、少しは常識があるらしい。
「娘の人形を作ったら、燃やす。いいな、職人にも伝えておけ。妾は偶像崇拝を許さぬ。神殿にも伝えておく。神聖教でも許されぬであろう。破門になる覚悟をしておけとな」
「心の慰めなのだ」
「では、似ていない姿にしろ。我慢ならぬが、見えない場所なら許そう。ただし、絶対に似せたら燃やす」
「何だか、炎の使徒みたいだね、うん」
「では伝えておこう、王城には燃やすべき不浄があるとな」
「私の負けだ」
***
夢の中で、寄り添ってくれていた猫はどうしただろうか?
ふと、仕事の合間に思う。
可愛らしい猫であった。
神殿の一室で、書類を処理していた。
開け放たれた窓からは、カラリと晴れた空が見える。
そして神殿には実に猫が多く飼われていた。
いつの間にか家具の上や隙間にいたりもする。
猫が好きな身としては、やはり、神殿は暮らしやすく楽しく思えた。
毎日が幸せであり、どこか現実味が無い。
生き残った。
助かったのだ。
だが、わかっていても、心はまだ、北にあるのだ。
助かったのは、たまたまだ。
娘が犠牲になり、それを何とかしようとしたモルデンの末子が来たからだ。
本来は、眠ったまま死んでいた。
恨みを言う場も与えられずにだ。
恐ろしい、理不尽だ、ひどいじゃないか。
あの場所に行った生贄達は、皆、夢も希望も捨てねばならなかった。
ここにこうして生きている事の貴重なこと。
決して、兄にはわかるまい。
決断するも何もかも王の役目であろうが。
それでも卑怯だと今でも思う。
これで終わってほしいものだ。
娘が目覚めたという事は、ツアガは滅びたという意味だ。
後は与えられた夜を凌ぐ力を探さねばならない。
後日会った甥の従兄弟は、兄の言うとおり信者であった。
要注意には変わりないが、どう見ても異質すぎた。
そんなコンスタンツェからの提案を、ずっと考えていた。
要約すると、王都を捨て南に下ろうと言う提案だ。
それは実に興味深い話だ。
だが、何処か心が動かない。
何故だろうかと考える。
まぁ理由は一つだ。
兄を一人にするのが嫌なのだ。
憎いと思うが、兄は孤独だ。
一度捨てられた身ではあったが、あれの顔を見ると、どこか可哀想にと思ってしまう。
馬鹿な話である。
捨てられても結局は、兄を大切に思っている自分も、たしかに残っていた。
これもまた、死ぬこと無く救い出されたおかげであろう。
水が戻り、祭りが行われ。
神殿にも新たな職階の者の教育が始まる。
娘のおかげが、都での怪異は静まっていた。
眠っている間の騒動を聞く。
この穏やかな都が普通と思っていた。
外殻が毎日、処刑者で溢れ、焚き火の如く火刑が続く。
乾燥し働く場を失った者であふれた街並み。
夜になれば異形が這い回る恐怖に満ちる。
それが今では散発的になり、娘が暮らす場所を中心に、すべてが穏やかになっていた。
確かに、これは娘自身がここにいて良い状況ではない。
このままでは生き神として神殿に据え置かれるか、もっと不幸な道に進んでしまいそうである。
モルデンの末子が帰還し、南に下るのが一番の解決と考えるも、それも不安が多い。
が、まず、男が戻る事が前提だ。
兄の気遣い?却下だ。
***
今度の人形は、瞳の色だけ違っていた。
「まて、まだ、型を作り直している途中だ、燃やすなっメイ、頼む、まだ、出来上がっていなくて、眠れなくなるから」
久しぶりに王城に呼び出されてみれば、腐れ人形が目に入った。
可愛らしい茶の用意がされていたので、案内のままに座ったところで気がついた。
思わず指で眉間の皺を伸ばす。
急激な怒りと殺意に、久しぶりの癇癪が爆発しそうだ。
初めて会った頃は、抱えられる大きさの人形であった。
その頃も、それを母親と称して愛でていた。
促成成長の弊害、信じられないが、だそうだ。
精神的な部分に影響がでるのは、混合体の育成研究で実証されている。
眠れないというのも、焦り具合から本当かもしれない。
控える侍従が脂汗をかきながら、彼女に向かって頷いている。
仕方がないので、そこは慈悲をかけた。
「早く作るようにしろ。出来上がったら、それは処分だ。職人に、もし今度、似せたら、お前のところに直接、妾が向かうと伝えておけ」
噛んで含めるように侍従に言う。
侍従と公王が頷く。
そして侍従は人形の車椅子を引いて慌てて下がっていった。
実は、ロドメニィ本人は、ちょと不思議だった。
彼女自身には公女としての財産以外に、公王に対する武力も派閥も持っていない。
兄が何故、こうして自分の言動を受け入れているのか、ちょっと不思議だった。
王としての役割だった。
お前自身も、王の系譜として当然であったのだ。
で、突き通してもいいのだ。
今更、どうして?と。
「忘れているけどね、公式に妹なのは、君だけなんだよ。うん。
君だけが、僕が死んだ時の次代空白を埋められるんだ、うん。
次の混合体の予備はあるけどね、それでも、それがここに座るには時間がかかる。
その間の空白を埋めるのは、君が一番手なんだ。
そして、僕の中では、君が、一番いいのだ。」
そう言われて、彼女は、怒りと悲しみと、複雑な思いに目をそらした。
「でも、こんな椅子には誰も座りたくないのは、知ってるしね。うん、そうだね。
こんな話は、まぁもしものことさ。僕は、まだまだ生きるし、好きに国を動かすのさ。
さて、ちょっと脱線したけれど、これを見せようと思ってね」
人払いをさせて、影の人員だけになると、兄は妹に紙の綴を渡した。
数枚の綴りは、今回のツアガ掃討投入された人員の名簿だった。
「モルデン末子と並行して、投入した人員だ。マレイラ方向での待機組、山越えもね、うん、含めると結構な数を送った。
まぁ本命は本命だけど、囮でもあった。もちろん、知らせていたぞ」
睨まれた兄は、慌てて言いたす。
「やっと死亡確認の作業と救出活動が軌道に乗ってね、神殿からも順次人員を送れそうだからね、うん」
「公式発表とは差があるな」
「それは、うん、そうだよ。ツアガは内乱によって壊滅するのだから」
「こうなる前に、何故?」
「そう、だね。でも、僕たちは見えないんだよ」
恐る恐るといった風に、兄は妹に言った。
「僕たちにはね、何も見えないんだ」
失念していたが、確かに、唯人には見えないし聞こえない。
見えない者は気が付かない。
ああして壊れたから、手が付けられた。
もっと早くというのは、結果論だ。
「これは当分、伏せておくことになる。最後だね、うん、最後の頁を見てごらん」
最後の数枚は、モルデン末子の部隊の生存者だ。
それに息を吐く。
「戦争にならずにすみそうだね」
「妾も兄を殺さずにすみそうで、ほっとしたぞ」
笑えない冗談に兄妹は顔を見合わせた。
「時に、君も南に行くのか?」
「知っておいでか」
「辺境伯がな、計画を仕切っているよ。まぁ、このままここに置いておくには無理があるのは、承知しているよ」
鱗の頬に手を置く兄は、微笑んでいた。
奇矯な兄である。
卑怯な兄である。
だが、それでもまだ、見捨てるには忍びない心がある。
「ここに残るぞ、馬鹿な事を聞くな」
驚く兄の様子に、彼が予想もしていなかった事を知る。
まぁ日頃、人形を壊して焼く妹だ。さっさと出ていくと思ったのだろう。
「妾の自由になる財産を新しい事業につぎ込み、南とつなぐのだ。当分は神殿で活動し、軌道に乗ったら、また、こちらに来て行政府と調整だ。
まぁ、議会を通すから安心しろ。いや、邪魔をするなよ」
***
(兄妹喧嘩)




